TOKYO PRO Market
TOKYO PRO Market(とうきょうプロマーケット)は東京証券取引所が開設する日本で唯一の特定取引所金融商品市場(いわゆる「プロ投資家向け市場」)である。 株式市場であるTOKYO PRO Marketと、債券市場であるTOKYO PRO-BOND Marketがある。
元々は建て付けが別であるTOKYO AIM取引所として、2009年6月1日、東京証券取引所とロンドン証券取引所(LSE)の共同出資によって設立された。指定アドバイザー制度を中心としたロンドン証券取引所が運営する成長企業向け市場であり、1600社以上が上場されているAIMの上場制度を手本に、これまでの取引所市場では困難だった柔軟な規制体系を特徴としている。2012年3月にLSEとの合弁が解消され、東京証券取引所の完全子会社となった。2012年7月に東京証券取引所内部の市場(1部、2部、マザーズと並ぶ)となりTOKYO PRO Marketへ名称変更された。
Contents
概要
投資家はプロ投資家に限定される。プロ投資家とは金融商品取引法に定められる特定投資家を指し、金融機関などの適格機関投資家のほか上場会社や証券会社による承認を得た一定の投資経験と金融資産を持つ株式会社や個人投資家も含まれる。
このことによって企業情報の開示面(言語、会計基準)や新規上場基準の面などにおいて、一般投資家保護の観点から、法律上の強い要請がある既存の取引所では実現困難な柔軟な規制体系が可能となった。また新規上場を希望する企業が、上場するにふさわしいかの評価については基本的に取引所は行わず、取引所が指定する指定アドバイザー(J-Adviser)が行い基準の設定もそれらが行う。
2011年6月10日にTOKYO AIM取引所は医薬品開発のベンチャー企業「メビオファーム」の新規上場申請を受理。同年6月24日に上場が承認され、7月15日に初の上場を果たした[1][2]。
しかしその後も上場は予定を含め2社にとどまり、赤字が続いたため2012年3月28日付で東証はLSEとの合弁を解消[3]。同年3月にLSEの保有する株式を東証が全て取得して一旦100%子会社化し、同年7月1日には東証内部の市場として名称TOKYO PRO Marketとなった。[4]。2012年5月28日には冷凍洋菓子メーカー「五洋食品産業」が第2号銘柄(TOKYO AIM最後の銘柄)として上場した[5]。 なお、上場に際し公募増資により資金調達を実施したのは五洋食品産業のみ(メビオファームは中止)であり、その他はすべてノーファイナンス上場である。(2016年4月現在)
上場銘柄
TOKYO PRO Market
- Notes
- 1)2012年5月28日、TOKYO AIM上場。2012年7月1日、TOKYO PRO発足と同時に移行した。唯一のTOKYO AIM時代から続く銘柄。上場時のJ-Adviserはフィリップ証券。リーディング証券を経て、2018年2月28日よりみずほ証券に変更。大手証券のJ-adviser就任は初の事例。
- 2)TOKYO PRO移行後の第1号上場銘柄。
- 3)スズキ太陽技術より社名変更。
- 4)2016年10月24日、上場申請を取り下げ。
TOKYO PRO-BOND Market
銘柄名、上場日、銘柄コード
- ING BANK N.V. Japanese Yen TOKYO PRO-BOND Market Listed Bonds - Second Series (2012)、2012年12月20日、00020799
- ING BANK N.V. Japanese Yen TOKYO PRO-BOND Market Listed Floating Rate Bonds - First Series (2012)、2012年12月20日、00030799
- Banco Santander-Chile Japanese Yen TOKYO PRO-BOND Market Listed Bonds – First Series (2014)、2014年4月25日、00040799
- Banco Santander-Chile Japanese Yen TOKYO PRO-BOND Market Listed Bonds – Second Series (2014)、2014年4月25日、00050799
- Banco Santander-Chile Japanese Yen TOKYO PRO-BOND Market Listed Floating Rate Bonds – First Series (2014)、2014年4月25日、00060799
- Malayan Banking Berhad JPY31,100,000,000 Senior Fixed Rate Notes due 22 May 2017 issued under USD5 billion Multicurrency Medium Term Note Programme、2014年5月23日、00070799
- First Gulf Bank P.J.S.C. JPY Tokyo Pro-Bond Market Listed Fixed Rate Notes due July 2019、2014年7月3日、00080799
- Malayan Banking Berhad JPY20,000,000,000 Senior Fixed Rate Notes due 21 August 2019 issued under USD5 billion Multicurrency Medium Term Note Programme、2014年8月22日、00090799
上場廃止銘柄
TOKYO PRO Market
社名 | コード | 本社 | 業種 | 売買開始日 | J-Adviser | 注釈 |
---|---|---|---|---|---|---|
メビオファーム | 4580 | 東京都 | 医薬品 | 2011年7月15日 | フィリップ証券 | 2013年6月7日上場廃止 |
エコグリーン | 3188 | 東京都 | 卸売業 | 2013年10月31日 | フィリップ証券 | 2015年10月8日上場廃止 |
MISAWA HABITA | 1427 | 群馬県 | 建設業 | 2013年7月31日 | フィリップ証券 | 2016年4月15日上場廃止 |
歯愛メディカル | 3540 | 石川県 | 卸売業 | 2016年6月17日 | フィリップ証券 | 2017年12月17日上場廃止 上場廃止翌日にJASDAQへ上場 |
TOKYO PRO-BOND Market 銘柄名、上場日、上場廃止日、銘柄コード
- ING BANK N.V. Japanese Yen TOKYO PRO-BOND Market Listed Bonds - First Series (2012)、2012年4月17日、2014年4月10日、00010799
TOKYO PRO Marketに係る指定アドバイザー(J-Adviser)
- フィリップ証券
- OKINAWA J-Adviser
- リーディング証券
- SMBC日興証券
- 元は日興シティグループ証券が資格をもっていたが2009年10月1日に資格を喪失、代わりに日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)が資格を取得。
- 大和証券
- 野村證券
- みずほ証券
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- GCA FAS
- 宝印刷
- アイ・アールジャパン
(2018年2月現在)[7]
J-Adviserの主な要件
- J-Adviserの資格取得申請日以前2年間においてコーポレート・ファイナンス助言業務に関する経験があること。
- J-QSを3名以上有すること。
- 取引所と共にプリンシプルベースの考え方に基づきTOKYO PRO Marketを運営するパートナーとしての意欲と能力を有していること。
- 日本の資本市場での経験及び知見を有すること。
- TOKYO PRO Marketの評価と秩序を毀損するおそれがないこと。
立会時間
- 前場 09:00〜11:30
- 後場 12:30〜15:00
売買・決済制度は東京証券取引所の扱いに準じる。
沿革
- 2007年10月 - 東京証券取引所とロンドン証券取引所の間で新市場創設「TOKYO AIM」に関する覚書を締結。
- 2008年12月 - 株式会社TOKYO AIM取引所の準備会社を設立。
- 2009年
- 2012年
脚注
- ↑ メビオファーム株式会社のTOKYO AIMへの上場承認について{{{1}}} (PDF)
- ↑ 東証プロ向けAIMがメビオファームの上場申請受け付け、第1号へ(ロイター)
- ↑ “東証、ロンドン証取との合弁解消 赤字続くプロ向け市場”. 朝日新聞. (2012年3月27日) . 2012閲覧.
- ↑ “東証、ロンドン取引所と開設した「TOKYO AIM」を吸収へ”. 産経新聞. (2012年3月27日) . 2012閲覧.
- ↑ 五洋食品産業 (日経)
- ↑ 事業の一部譲受けに関するお知らせ(宝印刷)
- ↑ J-Adviser一覧
関連項目
外部リンク