高等教育局
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高等教育局(こうとうきょういくきょく)は、文部科学省の内部部局の一つ。高等学校等の教育課程は後期中等教育に位置づけられており、初等中等教育局が所掌している。高等教育局は大学をはじめとした高等教育機関を所掌する。
職務
組織
- 高等教育企画課
- 大学振興課
- 専門教育課
- 医学教育課
- 学生・留学生課
- 国立大学法人支援課
- 私学部
- 私学行政課
- 私学助成課
- 参事官(学校法人担当)
特筆事項
- 2012年11月1日、大学設置・学校法人審議会の答申を受けて、翌2日に田中眞紀子文部科学大臣が秋田公立美術大学ほか2大学の新設を不可とする公表を行った[1]。田中はマスコミの取材に対して、就任間もない大臣(前月10月1日就任)が大学の認可・不認可という重要事項を自分の一存で決められるものではなく、事務方の意向に沿ったものであるとした。一方、大臣官房長の前川喜平(当時)は、「今は認可しない」ということと「不認可」とは異なるとして、田中の言葉が不適切だったと指摘し、官僚側と田中との間に意思疎通上の齟齬があったとした[2]。この会見の2日後の同月8日、文部科学省は不認可の決定を撤回し、高等教育局長で秋田県副知事を務めたことのある板東久美子が認可状を手渡した[3]。
- 2014年度より、これまでの「グローバル人材育成支援」事業(予算20億円)に加え、「スーパーグローバル大学創成支援」事業が実施に移され、新たに77億円の事業予算を獲得した[4]。学生数などを基準として配賦される補助金とは異なり、審査・更新によって配賦が決定する補助金であるため[5]、。
- 特定非営利活動法人TABLE FOR TWO International理事の船橋力をプロジェクト・リーダーに起用した官民協働海外留学創出(トビタテ!留学JAPAN)事業の実施事務局である[6]。
- 大学の学士号の種類が、2007年の時点で従前の29種類から580種類へと大幅に増加した事態を受け、高等教育局は学士号の種類について一定のルール化を図る方針である旨の見解を示したが[7]、何ら措置を講じなかったため[8]、2012年の時点では700種類を超すまでになった[9]。しかし、その後も措置を講じることはなく[9]、文部科学省の依頼に答申するという形で2014年9月に、日本学術会議が「(学士の)内容が不明確で国際的にも通用しない」とする報告書を提出することとなった[10]。
- 2014年10月29日、大学設置・学校法人審議会の答申を受けて、幸福の科学大学の開設認可申請を不可とした[11]。幸福の科学学園は文部科学省に抗議する一方[12]、不認可期間について説明を求めた。文部科学省は5年間認可しない旨の通知をおこなった[13]。
- 学校教育法第135条では、「専修学校、各種学校その他第1条[14]に掲げるもの以外の教育施設は、同条に掲げる学校の名称又は大学院の名称を用いてはならない」とされており、第146条では「(この)第135条の規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する」としているが、自治体の生涯学習施設が大学・大学院を名乗ることを黙認してきたため、私立大学並みの年間授業料を徴収する無認可大学についても是正措置がとれないままでいる。
- イギリスのタイムズ紙の付録冊子「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」が発表する世界大学ランキング上位200校に入る日本の大学を、2020年までに10校ぐらいまでに増やすことを目標としている[15]。
- 2014年度に開催されていた「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」で、大学を学術機関と職業訓練機関に分けようとする素案が波紋を呼んだが[16]、2015年度に入った5月7日に、別途「第1回実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会」が召集された。文部科学省主導の下、首相官邸に設けられた産業競争力会議の6月4日の会議がこれを追認する形で、同会議議長の首相自らが大学の職業訓練機関化の方針をプレス発表した[17]。なお、「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会」は生涯学習政策局との共管であり、文部科学審議官が統括している。
- 高等教育の制度設計に一貫性や整合性がなく統制もとれていないため、学位・資格の授与や生涯学習政策なども絡んで制度的な混乱が看過できない状況にあり、加えて雇用のミスマッチやニート増大の元凶のひとつにもなり始めているといった報告が多方面からなされている。
- "「薬学部」、「看護学部」、「専門職学位」、「経営学修士」、「法科大学院」、「公共政策大学院」、「臨床心理士」、および「専門職大学院」"
- 2015年(平成27年)3月の教育再生実行会議の第6次提言を受けて、「職業実践力育成プログラム(BP)認定制度」を設けた[20]。厚生労働省との連携で、専門職学位や公的資格の取得を目指す課程ではなくとも、相応の「履修証明」であればこれに認定し、教育訓練給付制度の対象として、厚労省から年最大48万円の受給を可能とした[21]。
- 2015年に退職した吉田大輔・前局長の早稲田大学への再就職に関して天下りのあっせんの疑惑が報じられた(文部科学省における再就職等規制違反)[22]。
歴代高等教育局長
( )内は退任後の経歴
- 工藤智規 2001年1月6日 - 2003年1月10日 (文部科学審議官)
- 遠藤純一郎 2003年1月10日 - 2004年7月1日 (独立行政法人教員研修センター理事長)
- 石川明 2004年7月1日 - 2006年7月 (日本私立学校振興・共済事業団理事[1]
- 清水潔 2006年7月 - 2008年7月11日 (生涯学習政策局長)
- 德永保 2008年7月11日 - 2010年7月30日 (国立教育政策研究所長)
- 磯田文雄 2010年7月30日 - 2012年1月6日 (東京大学理事)
- 板東久美子 2012年1月6日 - 2013年7月8日 (文部科学審議官)
- 布村幸彦 2013年7月8日 ‐ 2014年1月17日 (一般財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事・副事務総長)
- 吉田大輔 2014年1月17日 ‐ 2015年8月4日 (早稲田大学大学総合研究センター教授)
- 常盤豊 2015年8月4日 - 2017年7月11日 (生涯学習政策局長)
- 義本博司 2017年7月11日 - 現職
脚注
- ↑ 田中文科相考え直して…編入希望絶たれた短大生 - 讀賣新聞 YOMIURI ONLINE(2012年11月3日)アーカイブ。
- ↑ 3大学不認可、事実上撤回 田中文科相「新基準で審査」 - 朝日新聞デジタル(2012年11月6日)アーカイブ。
- ↑ 文科省、秋田・愛知の2大に認可書 - 世界日報 (2012年11月10日)。
- ↑ スーパーグローバル大学等事業, スーパーグローバル大学創成支援 - 文部科学省ホームページ資料。
- ↑ 平成26年度「スーパーグローバル大学創成支援」採択構想の決定について - 文部科学省ホームページ。
- ↑ 2020年までに日本人留学生の倍増を目指す! - DIAMOND online(2014年2月4日)。
- ↑ 学士号急増580種 文科省、ルール化検討へ - 朝日新聞(2007年11月04日 asahi.comアーカイブ。
- ↑ 『大学の学部・学科に「キラキラネーム」が出てきた理由』 - livedoorニュース(2012年12月8日)。
- ↑ 9.0 9.1 『「学士」乱立700種、嘆く学生「即答できぬ」』 - 読売新聞(2013年7月31日)アーカイブ。
- ↑ 報告「学士の学位に付記する専攻分野の名称の在り方について(PDF)」 - 日本学術会議・大学教育の分野別質保証委員会(2014年9月17日)。
- ↑ 幸福の科学大学は開設「不可」大学など8校を新設認可 文科省審議会答申 - 産経新聞 2014年10月29日
- ↑ 「幸福の科学大学」不認可で下村文科相に抗議 産経新聞 2014年11月26日
- ↑ 幸福の科学大の設置5年間認めず 文科省 日本経済新聞 2015年4月28日
- ↑ 参考; 学校教育法第1条「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする」
- ↑ 第7研修 テーマ:「グローバル化と日本の教育」 - 福岡産業振興協議会 「第20回東京セミナー」。
- ↑ 旧帝大と慶応以外は「職業訓練校化」すべき? 文科省の「有識者資料」に議論白熱 - キャリコネニュース(2014年10月27日)。
- ↑ 大学を「職業教育学校」に…19年度実施方針 - YOMIURI ONLINE(2015年6月4日)アーカイブ。
- ↑ 薬学教育6年制の大いなる誤算 −serendipityの後始末− - 医薬ジャーナル 2006年6月号(Vol.42 No.6)。
- ↑ 第3章 大学等の多様な発展 - 文部科学省。
- ↑ 職業実践力育成プログラム(BP)認定制度について - 高等教育局。
- ↑ 平成28年度「職業実践力育成プログラム(BP)」認定課程一覧 - 高等教育局。
- ↑ 文科省、元幹部の天下りあっせんか=再就職監視委、初の勧告も 時事通信社 2017-1-18
関連項目
外部リンク