阿部進
阿部 進(あべ すすむ、1930年6月11日 - 2017年8月10日[1])は、教育評論家。
略歴
神奈川県川崎市出身。神奈川県立神奈川工業高等学校(機械科)・横浜国立大学学芸学部特殊教員養成課程卒。川崎市内で小学校教諭を務めたあと、1964年(昭和39年)に教職を退き、創造教育センターを設立し野生学園を主宰。1980年(昭和55年)には児童文化の活性化を目標に劇団はかせを主宰。麻布科学実験教室を創設。評論家の道へ進む。
「カバゴン」を自称し、高度経済成長期から亡くなるまで精力的に教育活動を行っていた。現在でも使われる「現代っ子」は、1962年の阿部の造語。[2]
「カバゴン」は、『日清ちびっこのどじまん』に出演した際に、番組での視聴者からの公募の結果選ばれたものである。投票結果の1位は「ブタゴン」だったが、ブタはエースコックを連想させるため、同番組のスポンサーである日清食品に配慮し、2位だった「カバゴン」に決定した[3]。 また番組内では、「怪獣カバゴン」という持ち歌があった。
1970年代には漫画雑誌週刊少年ジャンプにコラムを連載し、当時、同誌に連載され、PTAから厳しく糾弾された漫画『ハレンチ学園』を擁護した。それが縁で、『ハレンチ学園』がテレビドラマ化された時には次回予告に登場したこともあった。
その後、旧・ポピー(現・バンダイ)から発売された超合金のパッケージ裏面に親に向けたメッセージを掲載したり、週刊少年ジャンプの手塚賞の審査員をつとめたり、TBSラジオの全国こども電話相談室の回答者として登場するなど、子ども向けのメディアに精力的に関わっていった。
知的障害児の親の会「手をつなぐ親の会」の結成にも関わる。
一時期、体重が100kg近くあり、血糖値も高く、失明寸前にまで追い込まれたことがあったが、医師・三木一郎の指導により、1日当たり3.6ℓ~5ℓのミネラル水と、海水から作った天然塩を1日25g摂取するという「塩水療法」を取り入れる。これにくわえ毎日1万歩程度の散歩と小松菜のジュースを飲むことで、失明寸前から病状を改善することに成功した。[4]
著書
教育
- 『教師の条件—人間づくりの道 』明治図書出版, 1958年
- 『特殊学級指導記録』 明治図書出版, 1960年
- 『現代子ども気質』新評論, 1961年
- 『現代っ子採点法—親があっても子は育つ三一書房, 1962年
- 『こども対おとな—マスコミのなかの現代っ子』三一書房,1962年
- 『わが子に強くなりたい親へ』明治図書出版, 1962年
- 『現代っ子教育作戦』国土社, 1963年
- 『現代っ子教育法—しつけかた・伸ばしかた』講談社,1963年
- 『子どもはここまで知っている—性教育はこれでいいのか』有紀書房, 1964年
- 『学校教育の疑問に答える』三一書房,1965年
- 『問題持つ子の教育相談』明治図書出版, 1965年
- 『わが子の個性発掘』徳間書店, 1966年
- 『幼児のちえあそび』三一書房, 1967年
- 『おやじにまかせろ—阿部進の教育原論』文化放送, 1968年
- 『われらにとって教育とはなにか—対話』潮文社, 1968年
- 『阿部進のちびっ子教室』三一書房, 1969年
- 『勇気ある教育—おやじはわが子の生活に割り込め』毎日新聞社, 1969年
- 『「なぜ?なぜ?」こどもの性教育—困っているママのための一問一答』明文社,1970年
- 『われらにとって教育とはなにか』潮文社,1972年
- 『子どもを知らない親たち—子どもたちに何を教えるか』日本経済通信社, 1976年
- 『子ども・野生への解放—カバゴンの家庭教育』住宅新報社, 1976年
- 『3歳までに決まる—0歳からの新子育て学』KABA書房, 1978年
- 『6歳までに伸ばす—4歳からの新子育て学』KABA書房,1978年
- 『1日10分勉強法—学校でダメにさせられた子どもがよみがえる』KABA書房, 1978年
- 『入学までに教える—知恵を開く第一歩』KABA書房,1979年
- 『遊びを広げる紙工作』KABA書房,1979年
- 『勉強好きにする家庭作戦—一年生で勝負は決まる』学習研究社, 1980年
- 『わたしの動物園』KABA書房,1981年
- 『大志と野望—ウィリアム・スミス・クラークの足跡をたずねて』KABA書房 1981年
- 『阿部進おもしろ授業—国語がルンルン実況現場』KABA書房, 1983年
- 『うめきちおんや?』KABA書房, 1983年
- 『うめきちまってて』KABA書房,1983年
- 『ゆめみるラッコ ― シアトルからの海のたび』KABA書房,1983年
- 『おふうたいそうできちゃうもん』KABA書房,1984年
- 『カバゴンの工作教室』日東書院本社,1984年
- 『カバゴンの紙工作』日東書院本社,1984年
- 『おふうのいちにち』KABA書房, 1984年
- 『血液型気質別教育法—目からウロコが落ちるわが子発見法』KABA書房, 1985年
- 『カバゴンの放課後楽校—とにかく、おもしろくなくちゃァいけない』新評論, 2008年
- 『気質に見合った人の伸ばし方』
- 『いま語る戦後教育』
- 『みんなでつくる「総合的な学習の時間」』
- 『保育者よわが園児にのめり込め』
- 『知恵は3歳までに決まる』
- 『子どもをダメにするしつけ』
- 『才能を4~5歳までに伸ばす』
- 『子育てSOS!』
- 『入学までにこれだけは教えたい』
- 『子育てに野生をとり戻せ』
健康
- 『癌からの生還—M式免疫療法の秘密』三一書房, 1997年
- 『血液型気質別教育法』
- 『やせて元気になる食事—糖尿病からの「ズバリ生還食」大公開』KABA書房,1993年
- 『糖尿病からの生還—1日25グラムの塩が、僕の命を救ってくれた!』新風舎, 2004年
ディスコグラフィー
- 怪獣カバゴン(1967年、キングレコード BS(H)-651)
関連項目
- てれびくん
- 日清ちびっこのどじまん(フジテレビ系)
- アッポしましまグー(NET系)※人形劇の司会。
- うたえちびっこ!ガッテンだ!(朝日放送系)※「ちびっこのどじまん」の復活版。司会。
- スペクトルマン(フジテレビ系) ※怪獣カバゴンに改造される阿部先生役で出演。
- 家族そろって歌合戦(TBS系) ※1970年代後半(推定)から番組最終回まで審査員を務めた。
- ハレンチ学園 (テレビドラマ)(東京12チャンネル〈現:テレビ東京〉)※評論解説を務めた。
- どっこい大作(NET/現テレビ朝日系)
第35話にゲスト出演。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 “阿部進さん87歳=教育評論家 「カバゴン」で人気”. 毎日新聞 (2017年8月12日). . 2017-8-12閲覧.
- ↑ 日本教育新聞2007年5月28日日本教育新聞
- ↑ 田埜哲文『ひみつのアッコちゃんのコンパクトはなぜ…』徳間書店、1993年、198-200頁。ISBN 4195551331
- ↑ 「かばごん」 阿部進さんの塩水療法(インターネットアーカイブ)
外部リンク
- 阿部進事務所
- カバゴンの放課後楽校 (ブログ)