草地
草地(くさち、そうち)は、おもに草など、木以外の植物が生えている土地。草原がもっぱら大規模なものを指すのに対して、草地は比較的狭い範囲のものにも用いる表現である。草地では、草を刈って干し草を作ることもあれば、牛、羊、山羊といった家畜を放牧して草を食わせることもある。
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農地としての草地
イギリスやアイルランドでは、草地を意味する言葉「meadow」の原義(古英語 mædwe)は、干し草を毎年刈る草地、すなわち「haymeadow」のことであった。これに対して、おもに放牧に用いられる土地は「pasture」と称され、草地(grass pasture)のほか、ヒース、ムーア、森林放牧地(wood pasture)が含まれる。「Grassland」という場合は、「meadow」と「grass pasture」の両方が含まれる。
農地としての草地では、多くの場合に各種の牧草が播種されるため、「meadow」は「牧草地」とも訳される。
日本における行政上の取り扱いでも、放牧採草地は土地改良法第二条第一項に基づき農耕地として扱われる。
遷移相としての草地
畑、牧草地、その他の農地、あるいは、他の何らかの理由でいったん切り開かれた土地も、耕作放棄されたり、放牧されなくなると、草が成長しすぎるようになり、植生の遷移相として草地が成立する。しかし、いったん草地が成立しても、その状態は長続きしない。やがて木本が見られるようになると、初期に草地へ進出した植物はその日陰になってしまい、勢いを失う。
ヨーロッパ人による植民以前の北アメリカでは、アルゴンキン語族(Algonquian)、イロコイ族、その他のアメリカ先住民たちは、定期的に森林の一部を切り開いて、遷移相としての草地を作り、餌を求めて鹿が集まるようにして、鹿狩りをした。各地に残る「ディアフィールド」(Deerfield)という地名は、先住民たちがかつてこうした狩りを通して土地管理(land management)を行っていた名残である。
恒久的な草地
木本の成長が、環境要因によって制約されるような状況の下では、恒久的な草地が成立する。例えば、以下のような要因により、木が育たず、草地が維持されることがある。
- 高山ツンドラ(alpine tundra、alpine meadow) - 標高の高さ、厳しい気候条件。
- 沿岸草地、沿岸草原(Coastal meadows) - 海水のしぶきに含まれる塩分。
- 乾燥草地 - 降水が少ないため。
- プレーリー - 周期的に生じる深刻な旱魃と森林火災。
- 湿性草地(Wet meadow) - 湿地に準じ、一年中水に浸っている。
参考文献
関連項目
- 海岸平野(Coastal plain) - 平野の分類
- 畑
- Flooded grasslands and savannas - 氾濫原の一種
- Flood-meadow - 氾濫原の一種
- 草原
- 沼
- パンパ
- 牧草地
- 平野
- 台地
- プレーリー
- 放牧地(Rangeland)
- サバナ (地理)
- Sods - ウェストバージニア州東部のアレゲーニー山脈に見られる山頂部に近い草地
- ステップ (植生)
- ツンドラ
- Water-meadow - 灌漑された草地
- 湿性草地(Wet meadow)
- Veld - 南アフリカ共和国ないしアフリカ南部の草原