方面隊
テンプレート:陸軍の単位 方面隊(ほうめんたい、英:army)は、陸上自衛隊の最大の部隊単位であり、部隊は方面総監部及び基幹となる数個の師団又は旅団並びにその他の直轄部隊をもって編成されている[1][2]。その語感から旧陸軍の方面軍に相当すると見られがちだが、実際にはこれよりも一つ小さい単位の軍に相当するものであり、例えば東部方面隊の英訳も「Eastern Army」(直訳で東部軍)となっている。指揮官の方面総監は、陸上総隊司令官、海上自衛隊の自衛艦隊司令官と横須賀地方総監と佐世保地方総監、航空自衛隊の航空総隊司令官と航空教育集団司令官と同じ政令指定職5号の役職であり[3]、陸将が充てられ[4]、防衛大臣の直接の指揮監督を受ける[1]。有事の際などの防衛大臣の部隊運用に関する指揮命令に関しては、フォースプロバイダー(練度管理責任者)の陸上幕僚長ではなくフォースユーザー(事態対処責任者)の統合幕僚長を通じて受け、隷下部隊の運用にあたる[5]。東日本大震災の際にも、フォースプロバイダーの陸上幕僚長ではなくフォースユーザーの方面総監(東北方面総監)が統合幕僚長の下に編成される統合任務部隊指揮官に任命された。
なお、陸自の各方面隊は、空自の航空方面隊が1階梯上の航空総隊の指揮を受けて運用されるのとは違い、運用においては常時陸上総隊の指揮を受けるものではない。つまり陸上総隊はあくまでも旧中央即応集団に方面隊間の調整機能を持たせたという性格であり方面隊の上級司令部ではない。しかし、有事等には防衛大臣の命令により一部または全部の方面隊を陸上総隊司令官の指揮下に置くこともできるとされている。
Contents
各方面隊
次の5個が編成されており、担当する警備区域(方面区)の防衛警備や災害派遣等を担任している。
- 20px北部方面隊(北海道担当。4個師団・旅団基幹)
- 北部方面総監部 札幌駐屯地(札幌市)
- 20px東北方面隊(東北地方担当。2個師団基幹)
- 東北方面総監部 仙台駐屯地(仙台市)
- 20px東部方面隊(関東地方・中部地方東部担当。2個師団・旅団基幹)
- 東部方面総監部 朝霞駐屯地(東京都練馬区)
- 20px中部方面隊(中部地方西部・近畿地方・中国・四国地方担当。4個師団・旅団基幹)
- 中部方面総監部 伊丹駐屯地(伊丹市)
- 20px西部方面隊(九州地方・沖縄県担当。3個師団・旅団基幹)
- 西部方面総監部 健軍駐屯地(熊本市)
直轄部隊・機関
師団・旅団以外の主な直轄部隊・機関としては以下のとおりである。
- 普通科部隊(対舟艇対戦車隊(北方・西方))
- 特科部隊(特科団・方面特科隊・特科連隊(西方))
- 高射特科部隊(高射特科団・高射特科群・高射特科隊(東北方))
- 機甲科部隊(方面戦車隊(西方))
- 施設科部隊(施設団)
- 通信科部隊(方面通信群)
- 情報科部隊(方面情報隊(指揮官:1佐(二))又は方面情報処理隊(指揮官:2佐))
- 教育部隊(方面混成団)
- 航空科部隊(方面航空隊)
- 後方支援部隊(方面後方支援隊)
- 衛生科部隊(方面衛生隊)
- 会計科部隊(方面会計隊)
- 音楽科部隊(方面音楽隊)
- 訓練支援部隊(方面指揮所訓練支援隊)
- 兵站機関(補給処)
方面総監部の内部組織
- 方面総監(陸将)
方面総監部は、方面総監の幕僚組織である。
内部組織の沿革
- 2004年(平成16年)11月:近年テロの脅威が高まっているため、政府は日本が大規模テロや特殊部隊による攻撃などを受けた場合、防衛出動または治安・警護出動の命により陸上自衛隊が最優先で防護する「重要防護施設」(原子力発電所・石油コンビナート・政経中枢地区など破壊されると甚大な被害が出るおそれが高い施設や、国民への情報伝達ルートや通信手段を確保する放送・通信施設など)を全国に135箇所、指定。各方面隊にこの任務が与えられる。
- 2006年(平成18年)
- 3月27日:総務部法務課が法務官に改編される。
- 7月31日:方面総監を政策面から補佐する政策補佐官が設置される。
- 2007年(平成19年)3月28日:総務部に、地方公共団体等の連携を目的とした地域連絡調整課が設置される。
- 2010年(平成22年)3月26日:情報科職種の創設に伴い調査部が情報部に、調査課が情報課にそれぞれ改称される。
- 2017年(平成29年)4月1日:政策補佐官が参事官に改組される[6][7]。
- 2018年(平成30年)3月27日:総務部地域連絡調整課が廃止される[8]。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 自衛隊法 第一節 陸上自衛隊の部隊の組織及び編成
- ↑ 陸上自衛隊パーフェクトガイド (2003-2004),P47,学習研究社,ISBN 4056032033
- ↑ 自衛官#自衛官と防衛省内局及び他省庁の官僚との比較を参照
- ↑ 自衛隊法施行令 第二章 部隊 第一節 陸上自衛隊の部隊
- ↑ 統合運用について 防衛省 2010年3月
- ↑ 方面総監部、師団司令部、旅団司令部及び中央即応集団司令部組織規則 (昭和34年12月21日総理府令第62号)の改正(平成29年3月31日防衛省令第4号。平成29年4月1日施行)
- ↑ 海上・航空自衛隊の主要司令部政策補佐官も同日付で参事官に改組
- ↑ 方面総監部、師団司令部、旅団司令部及び中央即応集団司令部組織規則の一部を改正する省令(平成30年3月2日防衛省令第1号。平成30年3月27日施行 官報平成30年3月2日号外第43号)地域連絡調整課の業務は総務課と防衛部防衛課に移管。