原清敬

提供: miniwiki
移動先:案内検索

原 清敬(はら きよたか、1974年8月 - )は、日本生物学者環境学者生化学・応用微生物学・生物工学合成生物学)。学位博士(理学)東京工業大学2001年)。静岡県立大学食品栄養科学部准教授大学院食品栄養環境科学研究院准教授。

協和醱酵工業株式会社研究員早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構特任助手神戸大学自然科学系先端融合研究環特命准教授などを歴任した。

来歴

生い立ち

1974年8月に生まれ[1]東京都三鷹市で育った[2]小学生の頃、タイヤに溜まったの中で動いている生物を見つけ、顕微鏡で調べたところ、動いていたのはミジンコであることがわかった[3][4]。これをきっかけに微生物に興味を持ち[4]東京工業大学生命理工学部に進学した[5]。入学前は微生物の応用研究をやりたいと考えていたが、入学後に基礎研究にも興味を持つようになった[4]。東京工業大学で教鞭を執っていた大島泰郎海野肇に相談したところ、大島から「今どうしても決められないのであれば、応用研究から基礎研究に移るのは難しいが、逆なら頑張れば可能」[4]と助言されたことから、基礎研究色の強い理学系の生体機構学科を選択した[4][5]。生体機構学科では福森義宏の門下となり、磁性細菌走磁性定量についての研究に取り組んだ[4]1997年3月、東京工業大学を卒業した[5]。その後は東京工業大学の大学院に進学し、総合理工学研究科にて学んだ[5]。恩師である福森が金沢大学に転任したことから、大学院の修士課程以降は吉田賢右の門下となり、アデノシン三リン酸合成酵素分子内での回転機構の研究に取り組んだ[4]博士課程に進んでからも、引き続きアデノシン三リン酸合成酵素の研究に取り組んだ[4]2001年9月、東京工業大学の大学院における博士課程を修了した[5]。それに伴い、博士(理学)学位を取得した[6]

研究者として

2002年4月より、文部科学省が所管する科学技術振興事業団博士研究員となった[7]。翌年5月協和醱酵工業に入社し、研究員として勤務した[7]主任研究員である森英郎の下で、大腸菌遺伝子評価遺伝子破壊による有用物質生産宿主の創製に取り組んだ[4]2006年3月早稲田大学にて先端科学・健康医療融合研究機構の特任助手に就任した。先端科学・健康医療融合研究機構においては、生命医療工学インスティテュートに所属した[8]木野邦器が主宰する研究室に籍を置き、エネルギーによるアデノシン三リン酸再生など、有用物質を持続的に生産する研究に取り組んだ[4]2009年3月神戸大学に転じ、自然科学系先端融合研究環の特命助教に就任した。2012年4月、神戸大学の自然科学系先端融合研究環にて特命准教授に昇任した。自然科学系先端融合研究環においては、重点研究部に所属し[9]酵母を用いたファインケミカルの生産の研究に取り組んだ[4]2015年6月静岡県立大学に転じ、食品栄養科学部准教授に就任した。食品栄養科学部においては、主として環境生命科学科講義を担当した[1]。同時に、静岡県立大学の大学院の研究組織である食品栄養環境科学研究院の准教授を兼務した[1]。大学院においては、教育組織である薬食生命科学総合学府環境科学専攻の講義を担当した。なお、それら本業の傍ら、甲南大学講師を非常勤で兼任していた[10]

研究

専門は生物学であり、生化学、応用微生物学、生物工学合成生物学といった分野の研究に従事している[11]。具体的には、微生物を用いて、再生可能資源から有用な物質の生産を試みている[12]。さらに、微生物の細胞内のエネルギーを向上させることで、その生産性の向上を図っている[12]。また、微生物を用いて、食品飼料肥料などといった機能性化合物醗酵、生産を試みている[12]

主な業績としては、大学院生の頃にアデノシン三リン酸合成酵素の研究に取り組んだが、その結果、電荷を持つアミノ酸が集まる領域が、回転トルクの発生部位だとする従来の定説を覆し、実際にはアデノシン三リン酸の合成分解制御する活性スイッチ部位であることを明らかにした[4]。また、神戸大学に勤務していた頃は、西田敬二近藤昭彦谷内江望らとゲノム編集技術の研究に取り組み、デオキシリボ核酸の2本鎖を切断せずにゲノム標的部位の塩基情報を書き換える新技術を開発した[13][14][15]

研究成果は『Journal of Bioscience and Bioengineering』や『Applied Microbiology and Biotechnology』、『Genome Announcements』、『Microbial Cell Factories』といった学術雑誌などで発表している[16]。そのほか、学術書や専門書の分担執筆なども行っている[16]。たとえば、日本化学会編纂する『化学便覧』の応用化学編は、第7版からは「バイオマス利用技術」を独立した章として新設したが[17]、その部分を近藤昭彦とともに執筆している[16]

学術団体としては、日本生化学会、日本ゲノム微生物学会、日本生物工学会日本農芸化学会、日本化学工学会、日本環境化学会などに所属している[18]

人物

中学生から大学生まで軟式庭球を続けており、『ソフトテニスマガジン』を愛読する[19]。また、野球の観戦も好んでおり、小学生の頃から西武ライオンズのファンである[20]

ごはんがおいしいと、どんなおかずでも食事が豊かになる。やっぱり、日本人お米でしょう」[21]と主張するほどを好んでおり、炊飯器ではなくで炊くなどのこだわりを持つ[21]。また、ポカリスエット昆布茶を愛飲する[22]

略歴

著作

分担執筆

寄稿

  • 原清敬・吉田賢右「DELSEEDモチーフ」『生体の科学』52巻5号、医学書院2001年10月15日、502-503頁。ISSN 0370-9531{{#invoke:check isxn|check_issn|0370-9531|error={{#invoke:Error|error|{{issn}}のエラー: 無効なISSNです。|tag=span}}}}
  • 原清敬・下立夏香森英郎「大腸菌ATP供給活性向上変異体の効率的探索と物質生産への応用」『バイオサイエンスとインダストリー』68巻3号、バイオインダストリー協会、2010年5月1日、190-193頁。ISSN 0914-8981{{#invoke:check isxn|check_issn|0914-8981|error={{#invoke:Error|error|{{issn}}のエラー: 無効なISSNです。|tag=span}}}}
  • Ye Xiaotingm・原清敬「もっと光を。――人工光合成細菌の魅力」『生物工学会誌』92巻8号、日本生物工学会2014年8月25日、444頁。ISSN 0919-3758{{#invoke:check isxn|check_issn|0919-3758|error={{#invoke:Error|error|{{issn}}のエラー: 無効なISSNです。|tag=span}}}}
  • 原清敬「共生由来オルガネラの改変――共生が駆動する微生物発酵生産」『遺伝――生物の科学』70巻2号、エヌ・ティー・エス2016年3月、110-114頁。ISSN 0387-0022{{#invoke:check isxn|check_issn|0387-0022|error={{#invoke:Error|error|{{issn}}のエラー: 無効なISSNです。|tag=span}}}}

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 「教員情報詳細」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース静岡県立大学
  2. 「好きなラーメン屋――江ぐち」『研究者の横顔#46 原清敬早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構
  3. 「好きな生き物1――ミジンコ」『研究者の横顔#46 原清敬早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構
  4. 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 4.11 原清敬「微生物の命の力によるものづくり」『環境リレーコラム28 (2016年2月号)静岡県立大学食品栄養科学部環境生命科学科・大学院薬食生命科学総合学府環境科学専攻2016年2月
  5. 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 「学歴」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース静岡県立大学
  6. 「学位」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース静岡県立大学
  7. 7.0 7.1 「主な経歴」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース静岡県立大学
  8. 「原清敬」『研究者の横顔#46 原清敬早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構
  9. 「構成員」『神戸大学 自然科学系先端融合研究環 22重点研究チームの紹介 創製光分子科学研究神戸大学自然科学系先端融合研究環
  10. 「主な社会活動」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース静岡県立大学
  11. 「専門分野」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース静岡県立大学
  12. 12.0 12.1 12.2 「主要研究テーマ」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース静岡県立大学
  13. Keiji Nishida, et al., "Targeted nucleotide editing using hybrid prokaryotic and vertebrate adaptive immune systems", Targeted nucleotide editing using hybrid prokaryotic and vertebrate adaptive immune systems | Science, American Association for the Advancement of Science, August 4, 2016.
  14. 科学技術イノベーション研究科・広報課「DNAを切らずに書き換える新たなゲノム編集技術『Target-AID』の開発に成功」『DNAを切らずに書き換える新たなゲノム編集技術「Target-AID」の開発に成功 | 国立大学法人 神戸大学 (Kobe University)神戸大学2016年8月5日
  15. 河田孝雄「神戸大の西田特命准教授ら、DNAを切らずに塩基を置換するゲノム編集『Target-AID』をScience誌で発表――本庶佑氏が発見した脱アミド化酵素AIDの成果も活用」『神戸大の西田特命准教授ら、DNAを切らずに塩基を置換するゲノム編集「Target-AID」をScience誌で発表:日経バイオテクONLINE日経BP2016年8月5日
  16. 16.0 16.1 16.2 「主要研究業績」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース静岡県立大学
  17. 「第7版のポイント」『化学便覧 応用化学編 第7版丸善出版
  18. 「所属学会」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース静岡県立大学
  19. 「好きなスポーツ――ソフトテニス」『研究者の横顔#46 原清敬早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構
  20. 「好きな野球チーム――ライオンズ」『研究者の横顔#46 原清敬早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構
  21. 21.0 21.1 「好きな食べ物――米」『研究者の横顔#46 原清敬早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構
  22. 「好きな飲み物――ポカリスエットと梅こぶ茶」『研究者の横顔#46 原清敬早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構

関連人物

関連項目

外部リンク


テンプレート:Env-stub