ケーペウス
ケーペウス(Ἀρχαία ἑλληνικὴ: Κηφεύς、Kēpheus、ラテン語: Cepheus)は、ギリシア神話に登場する人物で、同名の人物が複数知られている。長母音を省略してケペウス、ケフェウスとも表記される[1]。その主なものは、
の3名である。以下に順に説明する。
エティオピア王
このケーペウスは、エジプト王ベーロスの子で、アイギュプトス、ダナオス、ピーネウスと兄弟[2]。エティオピアの王で、カッシオペイアの夫、アンドロメダーの父である。
カッシオペイアが自分の美しさを自慢したため、ネーレーイスたちの怒りをかい、アンドロメダーを神託に従って海の怪物の生贄に供さなければならなかった。しかしエティオピアを通りかかったペルセウスによってアンドロメダーは救い出された[3]。
神話では目立たない存在だが、ヒュギーヌスによればケーペウスは、ペルセウスがアンドロメダーを連れ去ろうとしたとき、アンドロメダーの求婚者アゲーノール(ふつう、求婚者はピーネウス)と共謀してペルセウスを殺そうとしたため、ゴルゴーンの首によって石に変えられたと述べている[4]。
またケーペウスはフェニキアの王で、イオペーを妻としたという話もある。
後にアテーナーによって空に上げられ、ケフェウス座となった[5]。
系図
アレオスの子
このケーペウスは、アルカディア、テゲアーの王アレオスの子で、アウゲー、リュクールゴスと兄弟。20人の息子と1女ステロペーがいた[6]。アルゴナウタイの1人とも言われる[7]。
ヘーラクレースはスパルタのヒッポコオーンを攻めるとき、テゲアーに来て、軍勢に加わることを求めた。しかしケーペウスは隣国アルゴスの侵略を恐れて断った。そこでヘーラクレースは女神アテーナーからゴルゴーンの蛇の頭髪をもらい、敵を撃退するすべとしてステロペーに与えた。こうしてケーペウスは20人の息子たちとともに戦争に加わったが、息子たちともども戦死してしまった[8]。
系図
リュクールゴスの子
このケーペウスは、リュクールゴス(アレオスの子)の子で、アンカイオスと兄弟。カリュドーンの猪狩りに参加したが、アンカイオスそのほかの数名とともに、アタランテーと狩に出ることを拒否した[9]。このケーペウスは、もしかしたら上記2番目のケーペウスと同一人物かもしれない。
脚注
注釈
出典
参考文献
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店(1960年)
関連項目
外部リンク
- エラトステネスの星座物語 15. ケフェウス座 (日本語)