クレジットカード現金化
クレジットカード現金化(クレジットカードげんきんか)はクレジットカードのショッピング枠を現金にする行為である。おもに「商品買取り型」と「キャッシュバック型」の2通りがある。
概要
利用者は、業者からクレジットカードで物品を購入する。利用者は物品を購入したことにより、クレジット会社に対して代金支払い義務が生じる。一方、業者はクレジット会社から代金受領の権利が生じる。これは、一般的なクレジットカード使用の法律的な効果と同様であると思われる。
利用者は業者に購入代金の一定割合で物品を買い取ってもらい、現金を手にする。業者が売却した価格と、利用者が買い取った価格差が業者の利益である。この際、業者は古物営業法に基づいて古物商の資格で買い取りを行っている。
カード現金化を利用する者は、クレジットカードのキャッシング枠を限度額まで利用して、経済的に行き詰ったクレジットカードホルダーである場合が多い。
2017年にフリマアプリメルカリを舞台に、クレジットカード現金化を目的に現金を額面以上の金額で出品して落札される事例が相次いだことが報道されたことにより、各サイトは現金の出品規制をするなどの対策が取られた[1][2][3]。
違法性
「客の需要に応じた商行為」であり、限りなくグレーゾーンではあるが違法ではないという考え方がある一方で、「実質的には貸金業に該当する」という東京弁護士会の意見書[4]が日本国政府(衆議院・参議院・金融庁・経済産業省・消費者庁・警察庁)に提出されるなど、違法とする考えもある。実質的な金利が法定利息を超えた闇金融レベルであることもある。
このような事態に対して関係省庁は「カード現金化は違法」として取締に動いている[5]。2011年8月、警視庁は出資法違反(高金利の受領など)容疑で「キャッシュバック型」でショッピング枠を現金化していた男を逮捕し[6]、11月に懲役3年執行猶予5年の有罪判決が言い渡された。2017年11月、千葉県警・秋田県警・京都府警は出資法違反でフリマアプリメルカリを舞台に、クレジットカード現金化を目的に現金を額面以上の金額で出品していた男女4人を出資法違反で逮捕した[7]。
法とは別に、カード会社の会員規約では換金を目的としたショッピング枠の利用を禁止しており、それに違反した場合はカードの利用停止・強制退会、残債の一括請求をカード会社が行える約款を制定している。日本クレジット協会も、クレジットカードの現金化を行わないよう、公式サイト等を通じて利用者へ呼びかけをしている[8]。
海外の例
クレジットカード現金化は日本のみならず、海外でも見られる。
韓国においては「카드깡」(カードゥカン)と呼ばれている。「깡」(カン)は、日本語の割り勘が由来で、韓国において「割引」の意味に変化して、つまりカード(不法)割引の意味である。方法は日本と同じであり、カード所有者がカード割引業者において商品購入、カード決済を行い、業者が所定の割引率を控除したうえで、残りの現金をカード所有者に渡す手口である[9]。韓国にてカードゥカンは与信専門金融業法により禁じられた違法行為である。
最近では、クレジットカード以外の現金化手段も増えており(これらも慣習的に「XX깡」と呼ばれる)、例えばカジノの顧客に提供されるコンプポイントを違法に現金化する「콤프깡」(コンプカン)なども登場していて、現地の警察が捜査に当たっている[10]。
脚注
- ↑ 現金のフリマ出品に禁止 メルカリ、見つけ次第削除 日本経済新聞 2017年4月24日
- ↑ メルカリ 現金出品を禁止に 1万円札など額面以上で出品 毎日新聞 2017年4月24日
- ↑ メルカリ、「現金出品」に対策 現行紙幣の出品を禁止 - 岡田有花、ITmedia、2017年4月24日
- ↑ “「クレジットカードのショッピング枠の現金化」に関する意見書”. 東京弁護士会 (2011年2月8日). . 2011閲覧.
- ↑ “「カード現金化、取り締まりへ 「貸金業」と認定検討」:イザ!”. 産経新聞 (2010年12月21日). . 2011閲覧.
- ↑ “「カード現金化」で男逮捕 警視庁、出資法違反容疑で初摘発”. 共同通信. (2011年8月5日)
- ↑ “メルカリ現金出品、逮捕者は全国で4人に 「銀貨」などの隠語で取引”. 産経新聞 (2017年11月16日). . 2017閲覧.
- ↑ クレジットカードのショッピング枠の「現金化」の誘いに注意 日本クレジット協会
- ↑ 불법사채 온상 카드깡 … 고금리 선이자에 서민들 곡소리 亜州経済
- ↑ 강원랜드 주변 '콤프깡' 수사 착수 江原日報
外部リンク
- 「クレジットカードのショッピング枠の現金化について」 - 政府広報オンライン
- 「クレジットカードの現金化(各種相談の件数や傾向)」 - 国民生活センター
- フィッシング詐欺の注意 - 日本クレジットカード協会HP