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'''レーザーディスク'''('''LaserDisc''', '''LD''')は、直径30[[センチメートル|cm]]の[[ディスクメディア|ディスク]]に両面で最大2[[時間 (単位)|時間]]の[[映像]]を記録できる[[光ディスク]]規格である。
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'''レーザーディスク'''('''LaserDisc''', '''LD'''
  
== 歴史 ==
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映像信号と[[音声信号]]を超高密度で記録した円盤。専用のプレーヤで再生する。1960年以降,ヨーロッパ,アメリカ合衆国,アジアの多くのメーカーがさまざまな記録・再生方式を開発した。再生方式で大別すると,光学方式と静電容量方式([[電気容量]])の 2種になる。光学方式は,[[パイオニア]]の商標であるレーザーディスク LDの名で呼ばれた。ディスクにピットの長短の形で情報を記録し,レーザー光で照射して反射光の変化を電気信号に変えて読み取る。この方式の代表格は MCA/フィリップス方式である。静電容量方式には,原理的に音楽用レコードと同じくディスクの溝の変化をピックアップで読み取る CED方式と,ディスクに情報信号とは別に記録されているトラッキング信号によって溝なしでピックアップを案内する VHD方式とがある。光学方式,VHD方式とも,静止画,スローモーション,ランダムアクセスが可能。[[DVD]]やブルーレイディスクなど新しい記録媒体の普及に伴い,生産が縮小。2009年1月,唯一 LDの生産を継続していたパイオニアが生産・販売を終了すると発表した。
=== 誕生 ===
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[[1972年]][[昭和]]47年)9月に[[オランダ]]の[[フィリップス]]が光学式ビデオディスク規格としてVLP(Video Long Play)方式、同年12月に[[アメリカ合衆国]]の[[ミュージック・コーポレーション・オブ・アメリカ|MCA]]がディスコビジョン(Disco Vision)方式を発表。[[1974年]](昭和49年)9月に両社の規格が統一され「フィリップス/MCA方式」として発表された。[[1978年]](昭和53年)[[12月]]にアメリカで製品化され、フィリップスの[[子会社]][[マグナボックス]]が世界初となる家庭用LDプレーヤー「マグナビジョン」'''VH-8000'''を発売。パイオニアとMCAの[[合弁会社]]ユニバーサルパイオニア(UPC)が、アメリカ市場で[[1979年]](昭和54年)2月に業務用[[レーザーディスクプレーヤー|LVプレーヤー]]'''[[:en:Pioneer PR7820|PR-7820]]'''、[[1980年]](昭和55年)6月に家庭用LDプレーヤー'''VP-1000'''を発売した。日本ではパイオニアが製品化し、[[1981年]](昭和56年)[[10月]]に第1号機'''LD-1000'''の発売によって市販化された。
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「レーザーディスク」は[[日本]]国内では[[パイオニア]](現・[[オンキヨー&パイオニア]])の[[商標|登録商標]]であり<ref>「LaserDisc」は1980年7月8日出願、1983年11月25日登録(第1637043号)。「レーザーディスク」は1982年4月20日出願、1990年11月30日登録(第2284421号)。</ref>、同社以外のメーカーでは規格名である'''レーザービジョン'''('''LaserVision''', '''LV''')が用いられていた。[[1989年]]([[平成]]元年)にパイオニアが「レーザーディスク」の[[商標]]を無償開放したことで他メーカーも使用できるようになったが、使用有無は各メーカーに委ねられた。
 
 
 
日本市場では当初はパイオニアのみがLV(LD)のプレイヤーを製造発売し、「絵の出る[[レコード]]」という[[キャッチコピー]]が使われていた。[[パナソニック]]をはじめ多くの電機メーカーは[[ビデオテープレコーダ|ビデオデッキ]]市場で[[VHS]]方式を広めた実績がある[[日本ビクター]](後の[[JVCケンウッド]])が開発した[[VHD]]陣営に属していたため、[[規格争い]]を繰り広げることになる。しかしVHDの市販化が遅れたこと、[[水平解像度]]が240[[TV本|本]]程度だったVHDに対し、レーザーディスクは400本以上あること、[[ピックアップ]]が[[レーザー]]による非接触式で再生によるディスクの[[摩耗]]が無いなどのアドバンテージに加え、[[ソニー]]、[[日立製作所]]、[[日本コロムビア]]、[[ティアック]]、[[日本マランツ]]。VHD陣営から鞍替えしたパナソニック、[[三洋電機]]、ヤマハ、[[東芝]]、[[三菱電機]]、[[日本電気ホームエレクトロニクス]]などがLDプレイヤーの市販に参入したことによって、1985年以降光ディスクのシェアの過半数をLVが獲得し、VHDとの[[規格争い]]に勝利した。
 
 
 
VHD陣営のメーカーも参加して開発した[[CD-DA|音楽CD]]の量産技術が、同じ光ディスク方式であるLDの技術とコストの問題を解決させ、LDを勝利に導いたと言われる<ref>神尾健三『画の出るレコードを開発せよ!』 [[草思社]]、[[1995年]]、p208-p209</ref>。
 
 
 
=== 普及 ===
 
初期のLVはメインとなった[[映画]]ソフトが7,000円 - 1万円前後の価格設定で発売されていたが、[[1980年代]]終盤からパイオニアLDC(後の[[NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン]])が中心となって「エバーグリーンシリーズ」「[[ブロックバスター]]」等と称して5,000円を切る価格帯で次々と人気ソフトを発売。やがて他社もこれに追随する価格帯の製品を増やした。レーザービジョンプレイヤーについても1985年に10万円を切る価格で発売された[[YAMAHA]]のLV-X1を皮切りに、パイオニア、[[ソニー]]、[[パナソニック|松下電器産業]]、[[ケンウッド]]といった各社から「ロッキュッパモデル」と言われた69,000円台の普及価格帯のプレーヤーやCD/LDコンパチプルプレーヤーが次々と登場し、LDは[[1990年代]]前半を最盛期としてユーザーを拡大、多くの映画、[[音楽]]、[[ドキュメンタリー]]、[[アニメ]]、[[スポーツ]]、その他各種のコンテンツがLDで発売された。
 
 
 
マイクミキサーを搭載した「レーザーディスクカラオケプレーヤー」や、LDプレイヤー一体型[[ミニコンポ]]「プライベート」も登場した。
 
 
 
[[1992年]]([[平成]]4年)頃からは、それまでの映画ソフトで主流だった画面の[[トリミング (映画映像の用語)|トリミング]]をやめ、できるだけ劇場公開時の画面サイズに忠実な[[画面アスペクト比#スコープ・サイズ|ワイドスクリーン]]サイズの画面で映画ソフトを次々に発売して映画マニアを中心にユーザー層を厚くしていった。
 
 
 
映画LDの中には、1本の映画をワイドスクリーンとテレビサイズの2パターンの商品で発売するなどマニアックなラインナップがなされたものも多い。これらの中には[[DVD-Video]]で発売されているソフトでは見ることができない画面サイズのものもあった。一方で、同じ映画のソフトが何種類も発売されていることから当時の一般的ユーザーを混乱させる副作用も生じた。
 
 
 
また[[テレビドラマ]]や[[アニメーション]]などのシリーズ作品を複数枚のLDに全話収録して一括販売する「[[DVD-BOX#LD-BOX|LD-BOX]]」という[[ボックス・セット]]形態の商品も数多く発売され、コアな[[ファン]]やマニアを取り込んでユーザー層を拡大させていった。
 
 
 
一方、LDのデジタル音声領域に[[CD-ROM]]と同様のデジタルデータを記録した「LD-ROM」が登場し、家庭用として[[レーザーアクティブ]]として投入。業務用としてはレーザーバーコードシステムと連携したLD-V540等が投入され産業用・教育用等で利用されていた。1980年代にパイオニアが自社パソコンとして発売していた[[MSX]]機器palcom(PX-7)等との連携でLDゲームをプレイする事が出来たが、これはLDのデジタル音声規格が策定される以前から存在していたものでLD-ROM規格とは異なる。後にパイオニアは[[Macintosh互換機]][[MPC (パーソナルコンピュータ)|MPCシリーズ]]を販売し対応したLDプレイヤーCLD-PC10を発表したが、LD-ROMとの連携は殆ど重視されなかった。
 
 
 
=== 衰退 ===
 
家庭用LDソフトは販売専用という戦略をとり、末期の一時期を除いて'''[[レンタルビデオ|レンタル]]は全面禁止'''<!--この点はVHDも同じ-->のため、視聴にはソフトの購入が必然であった。ソフトの発売種と量が増える一方で、生産ラインの少なさが次第に影響し始めた。[[1994年]] - [[1995年]]頃には、一部の人気商品を除いてほとんどの商品が初回ラインのみの生産で終了するようになり、発売と同時に販売元品切れとなるソフトが続出。新譜として発売された月に廃盤で入荷不可という奇妙な商品も相次いで出現した。需要に供給が全く追いつかない状態となる一方で、それまでは高額だったビデオテープソフトの低価格化と安定供給が進み、ユーザーのLD離れが始まった。なお、アニメLDソフトでは[[1980年代]]後半の時点でここで述べられたような供給体制の不備が一部のビデオ雑誌で指摘されていた{{要出典|date=2009年1月}}。Laserカラオケと一緒に粗製乱造され、画質マニアのLD離れも衰退の要因となった。
 
 
 
やがて[[1996年]](平成8年)にCDと同じ12cmサイズのDVD-Video規格(DVDビデオ)が登場。最初期のソフトラインナップはLDと同じく、ディスクメディアのポテンシャルを引き出すための高品質な[[オーケストラ]][[演奏会|コンサート]]やBGV、代表的なブロックバスター作品というバリエーションであり、出足が鈍かった。しかし[[1997年]]にはパイオニアLDCや[[バンダイビジュアル]]などがOVAのDVDをLDと併せて発売するようになり、[[1998年]]より洋画作品をLDで数多く発売していたパイオニアLDC(2000年頃まで[[タッチストーン・ピクチャーズ]]系中心)や[[ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント (日本)|ソニーピクチャーズ]](当初より[[コロムビア映画]]の他、ビデオソフトで[[パラマウント映画#日本法人|CIC・ビクタービデオ]]が販売元だった[[ユニバーサル映画]]作品の[[DVD]]ソフト販売元にもなっている)、[[ワーナー・ブラザース|ワーナーホームビデオ]]といった洋画メジャー系のコンテンツを中心に、比較的廉価な価格帯で充実したソフトを発売するようになった。例えばブロックバスター作品の場合、LDソフトでは一作品5,000円 - 8,000円程度の価格帯が主流だったのに対し、DVDソフトは当初でも3,900円 - 6,000円程度だった。こうして、DVDと比べると大型で耐久性も劣るLDはその地位を急速に奪われていく。
 
 
 
1999年(平成11年)頃からは[[VAIO]]や[[iMac]]などで[[DVD-ROM]]ドライブが搭載される家庭用[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]が、[[2000年]](平成12年)[[3月]]には当時の[[DVDプレーヤー]]よりも安価でDVD-Videoが視聴できる家庭用[[ゲーム機]]「[[PlayStation 2]]」が発売され、DVD-Videoの再生環境は爆発的な普及を遂げることになる。DVD-Videoは[[レンタルビデオ]]が容認されていたこと(これは[[コピーガード]]を標準規格として採用できた事が大きい)が追い風となり、ソフト市場やレンタルビデオ店も加速度的に膨張した。これによって大部分の[[映像ソフト会社|映像ソフト]]・レコード会社がLDの制作・発売を終了し、LDは最後まで映像メディアの主役となることはなかった。
 
 
 
LDからDVDへの過渡期である1996年から2000年(平成12年)にかけて、同一タイトルをLDとDVDで併売するスタイルがパイオニアLDCや[[バンダイビジュアル]]が発売元の[[洋画]](ブロックバスター作品)とOVAを中心に見られた。
 
 
 
過去に発売されたLDソフトの映像を視聴するだけの機器になりつつあった[[2002年]](平成14年)、パイオニアがLDプレーヤー事業から撤退する報道があったものの<ref>[http://www.itmedia.co.jp/news/0205/23/njbt_01.html パイオニア、LDプレーヤー事業から撤退へ] IT Media [[2002年]][[5月23日]]</ref><ref>[http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20020524/pioneer.htm パイオニア、LDプレーヤーの生産を終了の方向で検討] AV Watch 2002年[[5月24日]]</ref>、消費者からの要望があったために細々と生産・販売を継続する方針を取った<ref>[http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20020723/pioneer.htm パイオニア、LDプレーヤーの製造・販売を継続へ ―事業継続の要望が数十件寄せられる] AV Watch 2002年[[7月23日]]</ref>。
 
 
 
また、DVDが発売された時点で、[[カラオケボックス]]ではすでに[[通信カラオケ]]が台頭していたものの、当時は技術仕様の問題から音質が貧弱だった。その一方で、レーザーディスクカラオケは[[レコーディングスタジオ|スタジオ]]収録や楽曲のオリジナル音源と[[プロモーションビデオ]]などの[[歌手|アーティスト]]本人出演映像を収録できる点から、[[演歌]]・[[歌謡曲]]をはじめとする「定番曲」を繰り返し再生する用途では一定の評価を得られており、[[ランニングコスト]]から通信カラオケ機器導入に消極的な一部の[[パブ]]・[[居酒屋]]・カラオケ[[スナックバー (飲食店)|スナック]]といった[[飲食店]]や、[[壮年|壮年者]]を中心としたカラオケファン(歌謡曲愛好家)が自宅で楽しむなど根強い需要が[[2000年代]]に入っても残っていた。しかし新曲対応の鈍さが最大の弱点であることは変わらず、[[2004年]](平成16年)に登場した[[DAM (カラオケ)|BBサイバーダム]]が過去に自社([[第一興商]])や当時のコロムビアミュージックエンタテインメント(後の[[日本コロムビア]])などが制作したレーザーディスクカラオケの映像や音源を[[ストリーミング]]配信する機能を盛り込み、クオリティ面での不利が払拭されたため、この領域の衰退に拍車をかけた。それでも[[2007年]](平成19年)[[3月]]までは、個人向けに20cmのカラオケソフトが細々と発売され続けた。
 
 
 
=== 終焉 ===
 
2007年(平成19年)3月、市場衰退により世界唯一のディスクプレスメーカーとなった[[メモリーテック]]が製造ラインを廃止。これによりレーザーディスクの歴史は幕を下ろした<ref>[http://contents.oricon.co.jp/news/ranking/44602/ LDの生産が全世界で終了。最終プレスは川中美幸] ORICON STYLE [[2007年]][[5月20日]]</ref>。最後まで制作を続けたのは[[テイチクエンタテインメント|テイチク]]の家庭向け市販カラオケソフト(20cm LDシングル)「音多ステーション」シリーズであり、2007年(平成19年)3月発売の[[三門忠司]]の楽曲が収録された規格番号「22DK-1018」まで、毎月4タイトル以上の新譜ソフトの発売を続けた。
 
 
 
[[2006年]](平成18年)[[12月]]に発売した[[演歌歌手]]・[[川中美幸]]の『[[金沢の雨]]』などが収録された規格番号「22DK-995」がラストプレスとなり、製造ライン終了に伴う式典を行った。
 
 
 
ソニー・松下電器産業などはLDプレーヤーを1999年度(平成11年度)までに販売終了・撤退し、DVDへ軸足を完全に移した。それ以後、パイオニアだけが以下の機種をLDプレーヤー最終機種として発売していた。
 
* DVL-919 - 1998年10月発売。スタンダードモデルのDVDコンパチブル(一体型)プレーヤー。当機以前よりDVDコンパチブルモデルは[[CD-DA]]に加え、[[CD+G|CDグラフィックス]]/[[ビデオCD]]の再生に対応している。
 
* DVL-K88 - 1998年1月発売。同時発売のDVL-909(DVL-919の前機種)にボーカルマイク端子やキーコントロールなどカラオケ機能を付け加えた。
 
* DVK-900 - 1998年10月発売。LD時代より実質的に継承した、[[スピーカー]]・[[アンプ (音響機器)|アンプ]]がプレーヤーと一体化したテレビ台型の大型媒体であるDVD[[オールインワン]]カラオケシステム。
 
* CLD-R5 - [[CD-DA]]とのコンパチブル型エントリー機。1995年頃発売開始。
 
これらは発売後モデルチェンジをすることなく、10年以上にわたり細々と生産・販売を続けていた。しかし[[2009年]](平成21年)[[1月14日]]、上記4機種について合計約3000台をもって生産を終了すると発表を行い、[[2009年]]度(平成21年度)限りでの販売終了が決定された<ref>[http://pioneer.jp/support/oshirase_etc/ld_info/ レーザーディスクプレーヤーをご愛用のお客様へ〜レーザーディスクプレーヤー生産終了のお知らせ〜] [[2009年]][[1月14日]]</ref>。
 
その後、DVL-919の注文が生産予定台数に達したものの、一部の消費者の注文が複数の販売店に重複したことによる若干数のキャンセルが発生した。
 
このキャンセル分を、2009年(平成21年)[[9月25日]]までの間、パイオニアインターネット直販サイト「パイオニアオンラインショップ」にて販売され完売した<ref>[http://pioneer.jp/support/oshirase_etc/ld_info/info2.html レーザーディスクプレーヤーをご愛用のお客様へ〜生産・追加販売終了のお知らせ〜] [[2009年]][[9月25日]]</ref>。これらの機種は2009年(平成21年)の生産終了後、最低8年間は修理に必要な補修部品を保有するほか、過去の機種でも補修部品に在庫があれば修理に応じる体制を併せて発表している<ref>[http://pioneer.jp/support/oshirase_etc/ld_info/qa.html 本件についてのQ&A] 2009年9月15日</ref>。
 
 
 
なお、LDプレーヤーの最終機種としては、DVL-919よりも後の1998年(平成10年)[[12月]]に発売されたDVDコンパチブルの[[プレステージ (マーケティング手法)|プレステージ]]モデル「DVL-H9」が存在する。発売当時のLDプレーヤー・DVDプレーヤーのリファレンス(プレステージ)モデルに搭載された映像回路を両方搭載の上、最新機能も盛り込ませた贅を尽くした高価格機種であり、2002年(平成14年)6月に生産終了、2003年(平成15年)頃にカタログ掲載から消えている。
 
 
 
== 規格 ==
 
[[ファイル:Laserdisc FM pulse modulation.png|thumb|200px|ダイレクトFM変調による記録方式]]
 
[[電子情報技術産業協会|日本電子機械工業会]]により、EIAJ CP-3302(光学反射式再生専用ビデオディスクシステム(レーザービジョン 60Hz/525ラインM/NTSC))として規格が定められていたが<ref>[http://home.jeita.or.jp/tsc/tsc-haisi.html 廃止JEITA規格について]、社団法人[[電子情報技術産業協会]]、2007年9月</ref>、1999年1月以降は[[国際電気標準会議]]によって[[国際規格]]に定められた、IEC 60857 Ed.1.0 Pre-recorded optical reflective video disk system ‘Laser Vision’ 60Hz/525 lines-M/NTSC(録画済み光反射ビデオディスク装置 'レーザビジョン’ 60Hz/525ライン-M/NTSC)が使用されている<ref>[http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/Com/FlowControl.jsp?lang=jp&bunsyoId=IEC+60857+Ed.+1.0%3A1986&dantaiCd=IEC&status=1&pageNo=0 IEC 60857 Ed. 1.0:1986 (b) Pre-recorded optical reflective videodisk system 'Laser vision' 60 Hz/525 lines - M/NTSC]、[[日本規格協会|JSA]] Web Store</ref>。
 
 
 
LDフォーマットのディスクはポリメチルメタクリレート([[アクリル樹脂]])の記録面に[[アルミニウム|アルミ]][[蒸着]]を施したもので、アクリル樹脂は吸湿により反りが発生するため、片面記録であっても両面張り合わせディスクが基本である。直径30cmと20cmのものがあるが、20cmディスクにはCDと同じ[[ポリカーボネート]]を使用した張り合わせ無しの薄型も存在する。これは「LDシングル」と呼ばれ、非対応のプレーヤーでは厚さを調整するスペーサ(LDシングルアダプター)を重ねて使用する必要がある。なお通常のディスクは盤面が銀色で、末期に登場したレンタル専用商品は金色にして区別している。
 
 
 
CDと同様、信号の記録は非常に細かい楕円形のくぼみ(ピット)で行われている。ピット幅は0.4[[マイクロメートル|µm]]、深さは0.1µm。ピットの列を[[トラック (記録媒体)|トラック]]と呼び、トラックピッチは1.67µmである。このピットがディスク表面に内側から外側に向かって[[螺旋]]状に並び、[[周波数変調|ダイレクトFM変調]]した[[NTSC]]信号をスライスした[[矩形波]]に従って記録されている。このピット数は[[CLV]]片面ディスクで300億個に達する。
 
 
 
両面記録ディスクではA面/B面と呼ぶ。レコードと違ってピックアップはディスクの下にあるため、実際に再生されるのは裏面の記録内容で、[[レーベル]]に記載されている面と実際に信号が記録されている面は逆である。なお反対側の面を再生するにはレコードのようにプレーヤーから取り出してひっくり返す必要があるが、後にディスクを取り出さずに連続再生できる、ピックアップがU字形に移動する両面再生プレーヤーも発売された。初搭載したのは海外市場で[[CED]]及び[[TED]]、日本国内ではVHD陣営に属しビデオディスクに於いては多くのノウハウを持つ[[三洋電機]]が[[1987年]]にレーザーディスク陣営参入第一弾として、満を持して発表した'''SLV-J1'''(AV対応モデル)と'''SLV-J2'''(カラオケ対応モデル)だった。<!--愛称はLevin。両面再生機能は「ジェットターン」と呼ばれた。この名称は1990年代後半から2000年代にかけて同社の排気循環型[[サイクロン掃除機]]のシリーズ名に使われた。-->
 
 
 
=== 映像 ===
 
映像は[[アナログ]](ダイレクトFM)方式を採用し、記録はレーザー光を使って読み出す。当初はピックアップに[[波長]]632.8[[ナノメートル|nm]]の赤色[[気体レーザー|ガスレーザー]]([[ヘリウムネオンレーザー]])を採用しており、'''LD-7000'''から波長780nmの[[赤外線]][[半導体レーザー]]を採用した。映像はNTSCのビデオ[[帯域幅|帯域]]が4.2[[メガヘルツ|MHz]]のため、1MHzあたり80本の計算で水平解像度336本となる。[[CAV]]方式では内周部336本から始まり外周部440本になり、平均して水平解像度400本以上と言われる。[[CLV]]方式では常時330本前後になる。直径30cmのディスクではCAV方式(回転数1800[[rpm (単位)|rpm]])の標準ディスクで片面30分、CLV方式(回転数1800 - 600rpm)の長時間ディスクで片面1時間の映像を記録できる。
 
 
 
トラックは螺旋状に記録されており、CAV方式の場合、NTSCの1[[コマ (映画・漫画)|フレーム]](1/30秒)の情報が螺旋の1周に記録されている(30回転/秒=1800rpm)。一時停止は1周を繰り返し再生、コマ送りは順次前後の1周に移動、変速再生はトラックの読み出し間隔を変更という仕組みになっている。また、CAV方式では全ての画面(フレーム)に番号が振られており(フレームナンバー)、このフレームナンバーで希望のシーンを探す「フレームサーチ」が使用できた。一方、CLV方式では一定の線速度で記録されているため、トラックとフレームの間に物理的な関連はなく、正逆サーチ以外の特殊再生はできなかった。このため、1980年代後半にプレーヤーにデジタルメモリーを搭載してCLV方式での特殊再生を実現した。デジタルメモリー初搭載のプレーヤーは[[1986年]](昭和61年)発売の'''LD-S1'''である。
 
 
 
LDフォーマットはNTSCの全ての帯域をそのまま記録していると表現されることもあり、[[映像信号]]についてはアナログ方式なのでDVD-Videoのような圧縮が一切ないのが特徴である。この点からDVDの[[MPEG-2]]による圧縮ノイズを嫌い、LDの画質を好む人もいる。特にコマ送り、正逆サーチなどの特殊再生ではLDが優れている。音質については[[デジタル]]記録であれば、圧縮がないLDのほうが完全に優位に立っている。
 
 
 
[[Multiple Sub-Nyquist Sampling Encoding|MUSE規格]]で[[ハイビジョン]]映像を記録した拡張規格「[[#Hi-Vision LD|Hi-Vision LD]]」もあり、Hi-Vision LD対応プレーヤーで再生できる。
 
 
 
このほか、映像・音声以外のサブコード領域に映画の台詞や英語字幕や歌の歌詞などの情報を記録した「LDグラフィックス('''LD-G''')」も存在する。
 
 
 
=== 音声 ===
 
[[ファイル:LD-mark.svg|thumb|200px|LaserVision/LASER DISCマーク]]
 
音声は開発当初はアナログ(FM)のみだった。[[1984年]](昭和59年)に世界初のCD/LDコンパチブルプレーヤー'''CLD-9000'''を市場に投入するに併せ、デジタル(44.1kHz/16ビット[[パルス符号変調#リニアPCM|リニアPCM]])音声の記録が未使用帯域に追加された。
 
 
 
[[1987年]](昭和62年)にCD VIDEO([[CDビデオ|CDV]])が新規に市場投入するのに併せて、[[CD-DA]]と同様の[[TOC]]情報が合わせて記録されたデジタル音声付レーザーディスクが一般的となった。「LaserVisionマーク」「CD VIDEOマーク」「DigitalSoundマーク」の3つがジャケットやディスクに併記されている。当初はこのタイプのディスクを「CD VIDEO LD」と呼んでいたが、元となるCDV規格が思ったように普及しなかったことから、[[1989年]](平成元年)頃からは「LASERDISCマーク」と「DigitalAudioマーク」の併記されたものがTOC付きLDと認識され、主流となった。
 
 
 
映画ソフトの外装に[[ドルビー・サラウンド]]の記載がされるようになると、アナログ音声トラックやデジタル音声トラックにもドルビーサラウンドの信号もそのまま記録されたので、それに適合するAVセンター([[アンプ (音響機器)#AVアンプ|AVアンプ]])を用いてドルビー・サラウンドやドルビー・プロロジック等のサラウンド音声が再生できるようになったが、1994年(平成6年)には映画館で採用され始めていた[[ドルビーデジタル]]が、1997年(平成9年)には[[デジタル・シアター・システムズ|DTS]]といったデジタル[[サラウンド]]が導入されたほか、ハイビジョンで製作されたマスターテープを用いたり、ワイド画面でワイドスクリーン作品をより高解像度で鑑賞できるように画面の横幅を3/4に圧縮した[[スクイーズ]]方式も一部ソフトで採用された。音質/画質は大きく向上し、これらの技術はDVDにも引き継がれている。
 
 
 
特にドルビーデジタルは、初期DVDソフトの音質がLD収録のものより劣ると言われていたため、[[ビットレート]]をLDの384[[キロ|k]][[ビット毎秒|bps]]からDVDは最大448kbpsまで引き上げることでLDを上回る音質を達成している。
 
 
 
ドルビーデジタル対応LDは、デジタル音声領域にPCM方式[[ドルビーサラウンド]]、アナログ音声のRchにドルビーデジタル(5.1chサラウンド)、LchにFM方式モノラルで音声が収録されているため、ドルビーデジタル音声で再生するには、ドルビーデジタル(AC-3)RF出力の付いているLDプレーヤーと、アナログ音声トラックのRchに高周波変調して記録されているドルビーデジタル(AC-3)RF信号を元のドルビーデジタル音声信号に変換できるRFデモジュレーター搭載AVセンター([[アンプ (音響機器)#AVアンプ|AVアンプ]])が必要である。RFデモジュレーター非搭載AVセンターで再生する場合では、デフォルトでPCMデジタル音声トラックのドルビー・プロロジックかドルビー・プロロジックIIによるサラウンド音声、または選択によるアナログ音声トラックのLch(モノラル)での再生になる。サラウンド・プロセッサー非搭載アンプのみで再生する場合では、デフォルトでPCMデジタル音声トラック(2chステレオ)または選択によるアナログ音声トラックLch(モノラル)での再生になる。再生に際して注意を要することは、アナログ音声トラックRchに記録されている信号は適切にデコードされないと雑音として発せられる、ということである。
 
 
 
このドルビーデジタル(AC-3)RFデモジュレーターは一部の高級AVセンター、またはサラウンド・プロセッサーにしか内蔵されておらず、最近のAVセンターにはデコーダーしか内蔵されていない場合が多いのは、最早ドルビーデジタル(AC-3)音声信号付LDよりもDVD/BDの再生に主眼が置かれているからである。また、単体でのRFデモジュレーターはいくつかのメーカーで生産されていたが、最後期のLDプレーヤーの生産終了を待つこと無くいち早く生産終了しているため、[[古物商|中古品ショップ]]または[[オークション]]以外での入手は極めて困難である。
 
 
 
なお、日本生産盤では滅多に見かけることのないDTS対応LDは、デジタル音声領域にDTS音声信号が収録されているため、光出力端子([[S/PDIF]])のあるモデルとDTS音声を再生できるAVセンターまたはプロセッサー/デコーダーがあれば一部の機種を除いて再生可能であるが、未対応AVセンターではDTS音声信号はノイズとしてしか再生されず、アナログサラウンド音声かアナログステレオ音声のみでの再生を選択することになる。
 
 
 
== 注意点 ==
 
=== ディスクの劣化 ===
 
LDフォーマットが市場へ投入された当初は「半永久的に[[劣化]]しない」という表現を使っていたが、[[1980年代]]中頃からこの表現は中止された。レーザーディスクに使用されたアクリル樹脂は[[吸湿性]]が高く、空気中の[[水蒸気]]を吸着することによりアルミ記録面が劣化し、[[ノイズ]]が発生した。原因は当時、まだアルミ蒸着技術が確立しておらず、製造時にミクロ単位の異物が混入したことによるものだった。一部のメーカーは良品との交換対応を余儀なくされ、劣化対策は当時メーカーにとって急務だった。
 
 
 
その後、アルミ蒸着技術の確立・精度向上と共にこの事象がほぼ解決されたのは[[1992年]](平成4年)頃であり、それ以前に製造されたレーザーディスクにはホワイトスノー・[[スノーノイズ]]などとも呼ばれるノイズが乗っているものが多い。なお、酸化保護膜付加・防錆加工・接着剤の材質改善といった改良が加えられた経年劣化対策済みのディスクでも、ごくわずかながらも劣化は進行する。
 
 
 
一般家庭の保存環境下ではLDシングルを除く一般的なLDの[[平均寿命]]は30 - 50年程度とされ、材質に[[ポリカーボネート]]を使用し平均寿命が30 - 100年程度とされるLDシングル、およびCD、DVD、[[Blu-ray Disc|BD]]に比べ短い。このような経緯から、後に開発されたDVD規格などでは「半永久的に劣化しない」という表現は消えている。レーザーディスクの生産を終了してから長期間経過しているが、劣化したディスクは盤面を見ても判断がつかず、実際に映像を視聴してみるまでノイズの有無は分からない。
 
 
 
=== S端子による映像出力 ===
 
1987年(昭和62年)に[[S端子]]が発表された後、それ以降に発売されたLDプレーヤーでは多くの場合、[[RCA端子]]([[コンポジット映像信号|コンポジット]])出力に加えてS端子出力も備わっている。しかし必ずしもS端子で接続したほうが画質が良いとは限らない。
 
 
 
VHSや[[8ミリビデオ]]など、[[輝度]](Y)信号と[[色]](C)信号が分離記録されている場合はS端子で接続したほうがY/C混合・Y/C分離が発生しないため画質が向上する。しかしLDの場合はもともとコンポジット信号で記録されているのでY/C分離は避けられない。プレーヤーとテレビモニタをコンポジットで接続すればモニタでY/C分離することになり、S端子で接続すればプレーヤーでY/C分離することになるため、モニタのY/C分離性能のほうがよい場合はコンポジットで接続する方が画質が向上する。
 
 
 
中・低価格帯でS端子を持つプレーヤーでは、ディスクから読み取ったコンポジット信号がそのまま出力されているわけではなく、プレーヤー内部でY/C分離したものをS端子に出力する一方で再度Y/C混合したものをコンポジット出力しているものが多い。これはコストダウンが理由である。このようなプレーヤーでは、S端子で接続したほうがよい。高級機種では、このようなことをしていないという意味で「ダイレクトコンポジット出力」などと謳っているものもある。しかし高級機器である以上、Y/C分離の性能には優れているため、矛盾した機能でもある。また、歴代のLDプレーヤーで最高級機とされる'''LD-X1'''は、Y/C分離した信号をデジタル処理して高画質化を図っているため、ダイレクトコンポジット出力ができない。
 
 
 
なおDVDコンパチブル機の一部は[[コンポーネント端子]]を備えるが、同端子からのLDの画像は[[モノクローム|白黒]]になってしまうため、この方法での正常な再生はできない。
 
 
 
== ゲームへの利用 ==
 
[[ファイル:Pioneer LaserActive CLD-A100.jpg|thumb|200px|[[レーザーアクティブ]]]]
 
従来のVTRとは異なり、ランダムアクセスを可能としたLDは[[ゲーム]]用途にも活用された。{{Main|レーザーディスクゲーム}}
 
*リモコンを利用したLDプレーヤー単体でプレイ可能なゲーム。類似するものに[[DVDプレイヤーズゲーム]]がある。
 
*家庭用[[ホビーパソコン]]である[[MSX]]パソコンでコントロールして遊ぶゲーム。アナログ音声部に[[データレコーダ]]形式のプログラムを収録している。
 
*[[アーケードゲーム]]にもLDは採用され、[[1983年]](昭和58年)から1980年代中盤までにかけてLD再生機能を用いたゲームがいくつかのゲームメーカーからリリースされ独特なプレイ方法のLDゲームは一つのジャンルを形成した。当時の家庭用ゲーム機ではできなかった「高画質の動画再生」という特徴を備えていたがゲーム内容が大雑把で単調なものもあった。古くは[[忍者ハヤテ]]、後にガンシューティングの[[マッドドッグマックリー]]などが稼働している。一部のメーカーは高画質の動画再生という点に着目し、[[野球拳]]や[[脱衣麻雀]]などに応用した。
 
*LDに[[CD-ROM]]互換データを記録した新規格「LD-ROM」を使用した[[レーザーアクティブ]]がある。1993年(平成5年)8月にパイオニアから発表・発売された。
 
**これは前面スロットに[[コンシューマーゲーム]]機の[[PCエンジン]]と[[メガドライブ]]の機能を持つ各専用オプションをに差し込ことで対応する。しかし両ハードともCD-ROMが普及しつつあり、レーザーアクティブが高価だったこと、ゲームショップが積極的に扱わなかった等の理由によりソフトはあまり供給されなかった。
 
 
 
{{Main|レーザーアクティブ}}
 
 
 
== Hi-Vision LD ==
 
{{ディスクメディア
 
|名称=ハイビジョンLD
 
|略称=Hi-Vision LD
 
|ロゴ=
 
|画像=
 
|画像コメント=
 
|種類=光ディスク
 
|容量=CLV:片面60分、両面120分
 
|フォーマット=[[Multiple Sub-Nyquist Sampling Encoding|MUSE方式]](映像・音声)<br />[[デジタル]](音声・オプション)
 
|コーデック=
 
|読み込み速度=
 
|書き込み速度=
 
|回転速度=
 
|読み取り方法=670nm赤色レーザー
 
|書き込み方法=
 
|書き換え=
 
|回転制御=CAV、CLV
 
|策定=三洋電機、ソニー、東芝、パイオニア、松下電器産業
 
|用途=映像、音楽
 
|ディスク径=30cm
 
|大きさ=300×300×2.5mm
 
|重さ=
 
|上位=
 
|下位=
 
|関連=
 
}}
 
[[1991年]]9月に、三洋電機、ソニー、[[東芝]]、パイオニア、松下電器産業の5社が[[Multiple Sub-Nyquist Sampling Encoding|MUSE方式]]を採用したHi-Vision LDの仕様を発表。映像信号帯域8.1MHzにアナログ帯域圧縮したMUSE信号を記録し、レーザー波長=670nm、[[開口数|NA]]=0.55のピックアップを用いて読み出す。これにより、直径30cmのディスク片面で60分、両面120分の長時間再生可能なフォーマットを確立した。
 
 
 
EIAJ CP-3303(光学反射式再生専用ビデオディスクシステム(ハイビジョンLD 60Hz/1125ラインMUSE)として規格が定められていたが、2004年9月に廃止されている<ref>[http://home.jeita.or.jp/tsc/tsc-haisi.html 廃止JEITA規格について]、社団法人[[電子情報技術産業協会]]、2007年9月
 
</ref>。
 
 
 
=== 規格 ===
 
ディスクの特性は、LVフォーマットとして制定されたEIAJ CP-3302(光学反射式再生専用ビデオディスクシステム(レーザービジョン 60Hz/525ラインM/NTSC))に準拠しているが、MUSE方式に合わせて一部変更が加えられている。
 
 
 
CAVディスクの[[角速度]]は1映像フレーム期間で1回転、CLVディスクの線速度は13.8m/s〜15.2m/s。トラックピッチは1.1±0.1µmとLVフォーマットより狭くなっており、MUSE信号、時間軸基準パイロット信号、EFM音声信号(オプション)が[[周波数分割多重化|周波数分割多重記録]](FDM記録)されている。
 
 
 
音声は、MUSE信号の垂直ブランキング期間に多重されているMUSE音声信号の他に、CD規格に準拠したEFM音声信号を追加多重する事が可能となっている。
 
 
 
これらの信号は、LVフォーマットよりも短波長の670nm赤色レーザーで読み取られ、NTSC(MUSE)FMアナログ信号に[[復調]]後、[[アナログ-デジタル変換回路|A/D変換]]されている。
 
 
 
== 年表 ==
 
[[ファイル:LaserRecorder.jpg|thumb|200px|書き換え型LaserRecorder]]
 
* [[1970年]] - パイオニアがビデオディスクの研究を開始。
 
* [[1972年]]
 
** 9月 - オランダのフィリップスが光学式ビデオディスク「VLP(Video Long Play)」を発表。
 
** 12月 - アメリカのMCAが光学式ビデオディスク「Disco Vision」を発表。
 
* [[1974年]]9月 - フィリップスとMCAが協議をし、フィリップス/MCA方式として両方式を統一。
 
* [[1975年]] - [[ドイツ]]の[[ベルリン]]で行なわれたフィリップス/MCA方式のデモにより、パイオニアが自社のビデオディスクに同方式を採用を決定。
 
* [[1977年]]10月 - パイオニアとMCAの共同出資でユニバーサル・パイオニア株式会社(UPC)を設立。
 
* [[1978年]]12月 - フィリップスの子会社マグナボックスがアメリカ合衆国でVLPプレーヤー「マグナビジョン」'''VH-8000'''を発売。家庭用としては世界初のLDプレーヤーとなったが、[[ジョージア州]][[アトランタ|アトランタ市]]限定のテスト販売で、販売台数は3ヶ月で385台<ref>神尾健三『画の出るレコードを開発せよ!』草思社、1995年、p.146</ref>。
 
* [[1979年]]2月 - UPCがアメリカで事実上の業務用第1号機PR-7820を発売。
 
* [[1980年]]
 
** 4月 - パイオニアがレーザーディスクの商標を採用。
 
** 6月 - アメリカでUPCが民生用機'''VP-1000'''を発売。
 
** 11月 - パイオニア、フィリップス、MCA、IBMによる「レーザービジョンアソシエーション」がアメリカで設立される。
 
* [[1981年]][[10月9日]] - パイオニアが初の日本向けの家庭用機'''LD-1000'''を発売。同時にソフト70タイトルをリリース<ref>伊藤隆紹「ソフト不足に泣く情報の革命児ビデオディスク」『[[創 (雑誌)|創]]』1982年8・9月合併号、p.45</ref>。
 
* [[1982年]]
 
** 4月 - UPCがパイオニアの100%子会社となり、パイオニアビデオ株式会社(PVC)に改称。
 
** 10月 - パイオニアがカラオケ向けのプレーヤーを発売し、1983年春から業務用カラオケ機器販売大手の[[第一興商]]がレーザーディスクを取り扱う。
 
* [[1983年]]
 
** 11月 - ピックアップに従来のガスレーザーチューブに代わり新開発の半導体レーザーを採用した'''LD-7000'''を発売。これによりプレーヤーの小型化と低価格化が進む。
 
** 12月 - ソニーがLDの参入を発表し、翌1984年4月からパイオニアLD-7000の[[OEM]]供給でレーザーマックスのブランドを用いてプレーヤー'''LDP-150'''を発売。
 
** [[アーケードゲーム]]市場で世界初のレーザーディスクゲーム「[[ドラゴンズレア]]」が発売される。パイオニアからLDプレーヤーと接続可能な[[MSX]]パソコンのPX-7が発売され、家庭向けにもレーザーディスクゲームが発売。
 
* [[1984年]]
 
** 6月 - 日本を中心としたアジア太平洋地域で「レーザービジョンアソシエーションパシフィック協会」(LVAP協会)を設立。38社が加盟。
 
** 9月 - パイオニアが初のCDとLDのコンパチブルプレーヤー'''CLD-9000'''を発売。同時にLDにデジタル音声がオプション規格として盛り込まれる。
 
** 12月 - それまでカラオケ向けで使われてきた20cmのディスクが一般向けソフトにも採用。
 
* [[1985年]]
 
** 2月 - [[日立製作所]]と[[日本コロムビア]]([[デノン|DENONブランド]])がパイオニアのOEM供給でプレーヤーを発売。
 
** 3月 - [[日本マランツ]]がパイオニアのOEM供給でコンパチブルプレーヤーを発売。
 
** 6月 - ソニーが自社開発のLDプレーヤー'''LDP-515'''(AV対応モデル)及び'''LDP-505'''(カラオケ対応モデル)を同時発売。それまでの水平解像度350本が370本に。
 
** 6月 - [[パラマウント映画]]と[[ユニバーサル・ピクチャーズ|ユニバーサル映画]]の権利を持つ[[ユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ|CIC]]がLDにソフト供給。これにより、アメリカの映画会社7大メジャーが出揃う。それまでLDに供給しなかったのは、VCRソフトがVHDの開発者である日本ビクターとの合弁会社「[[パラマウント映画#日本法人|CIC・ビクタービデオ]]」から発売されていたためである。
 
** 11月 - 日本楽器製造(後の[[ヤマハ]])が自社開発の'''LV-X1'''を発表しLDプレイヤーに参入。LDプレイヤーとしては初めて10万円を切り、水平解像度400本を達成した。
 
* [[1986年]]
 
** 長時間ディスク(CLV)では不可能だった静止画やコマ送り、スロー再生などの特殊再生をデジタルメモリの搭載により可能にした初のLDプレーヤー'''LD-S1'''がパイオニアより発売。
 
** [[ティアック]]がレーザービデオディスクレコーダの試作品「LV-200A」を発表<ref>{{産業技術史資料データベース|100210021182|レーザビデオディスクシステム「LV-200A」}}</ref>。
 
** 10月 - [[クラレ]]鹿島工場がレーザーディスク生産を開始。VLP方式生みの親であるフィリップスからの技術を導入した。
 
* [[1987年]]
 
** 松下電器産業(後の[[パナソニック]])が[[CDビデオ]](CDV)が再生できるプレーヤー'''LX-300'''を発表しLDプレーヤーに参入。
 
** 5月 - [[テレビアニメ]]『[[うる星やつら (アニメ)|うる星やつら]]』全話を収録した50枚組のソフトが[[キティ・フィルム]]より発売。[[DVD-BOX|LD-BOX]]と呼ばれる商品形態の第1号<ref>増田弘道『アニメビジネスがわかる』 [[エヌ・ティ・ティ出版|NTT出版]]、[[2007年]]、p130</ref>である。
 
** 三洋電機が自動両面再生機能を初めて搭載した'''SLV-J1'''及び'''SLV-J2'''を同時発表しLDプレイヤーに参入。
 
* [[1988年]] - LDを2枚収納可能で4面連続再生機能を備えたLDプレーヤー'''LD-W1'''(定価22万円、[[物品税]]廃止に伴い20万3400円に改定)がパイオニアより発売。
 
* [[1989年]]
 
** 4月 - [[トエミ・メディア|東芝EMI御殿場工場]]がレーザーディスク生産を開始。
 
** 10月 - パイオニアと[[ケイディディ|KDD]](後の[[KDDI]])が書き換え型(リライタブル)レーザーディスクを共同開発したことを発表。
 
** 11月 - パイオニアが自社の商標だったレーザーディスクを他社に無償開放。
 
** 11月 - [[ソニー・ミュージックエンタテインメント (日本)|CBS・ソニーグループ]](後の[[ソニーDADCジャパン]])静岡工場がレーザーディスク生産を開始。
 
** 12月 - LD-ROMを発表。
 
* [[1990年]]2月 - レーザービジョンディスクと呼ばれるフィリップス/MCA方式を開発したフィリップスが、同方式を今後はレーザーディスクシステムと呼ぶことを発表。
 
* [[1991年]]
 
** 8月 - ソフトの生産が1億枚を突破。
 
** 9月 - 三洋電機、ソニー、[[東芝]]、パイオニア、松下電器産業の5社が[[ハイビジョン#アナログハイビジョン|MUSE方式]]を採用したHi-Vision LDの仕様を発表。
 
* [[1993年]]
 
** 5月12日 - ソニーがHi-Vision LDプレーヤー'''HIL-C1'''(定価60万円)を発売([[グッドデザイン賞]]受賞<ref>[http://www.g-mark.org/award/describe/20119 ビデオディスクプレーヤー [ハイビジョンLDプレーヤー HIL-C1]]、Good Design Award</ref>)。
 
** 7月 - パイオニアがHi-Vision LDプレーヤー'''HLD-1000'''(定価65万円)を発売。
 
** [[8月20日]] - LD-ROMプレーヤーの[[レーザーアクティブ]]がパイオニアより発売。
 
** 10月 - それまで全面禁止だった[[レンタルビデオ|LDレンタル]]を一部のソフトに限り解禁。
 
* [[1994年]]11月 - ソニーがHi-Vision LDプレーヤー'''HIL-C2EX'''(定価29万8000円)を発売。
 
* [[1995年]]1月 - パイオニアがHi-Vision LDプレーヤー'''HLD-X0'''(定価80万円)を発売。
 
* [[1996年]]
 
** 10月 - パイオニアがHi-Vision LDプレーヤー'''HLD-X9'''(定価35万円)を発売。
 
** [[11月1日]] - 東芝と松下電器産業が世界初のDVDプレーヤーを発売。
 
** [[11月22日]] - パイオニアがLDと[[DVD]]のコンパチブルプレーヤー'''DVL-9'''を発売。
 
* [[1998年]]4月 - 東芝EMI御殿場工場がレーザーディスク製造事業から撤退。
 
* [[1999年]] - [[三菱樹脂]]のLD製造子会社ダイヤディスク株式会社が解散。レーザーディスク製造事業からも撤退。
 
* [[2000年]]9月 - [[クラレ]]がレーザーディスク製造事業から撤退。
 
* [[2002年]]5月 - パイオニアがLDプレーヤー事業から撤退する報道がなされたが、7月に事業継続を表明。
 
* [[2003年]]4月 - パイオニアビデオ株式会社(PVC)が分割され、光ディスク製造事業から撤退。
 
* [[2004年]]3月 - [[日本コロムビア|コロムビアデジタルメディア]]がレーザーディスク製造事業から撤退。
 
* [[2007年]]3月 - [[メモリーテック]]がレーザーディスク(20cm、LDシングル盤)製造ラインを停止。クラレより譲渡された設備で、世界で唯一のレーザーディスク生産ラインだった。
 
* [[2009年]]1月 - パイオニアはユーザーからの要望でLDプレーヤー事業を継続してきたが、[[プラズマディスプレイ]]事業の撤退・整理に伴う損失処理に加え、[[世界金融危機]]の発生で事業全般の業績が急激に悪化した事が影響し、LD事業の撤退を発表。DVL-919等の4機種合計3000台の製造をもって事業終焉となり、以後は小売店の流通在庫限りの発売と修理受付のみとなる<ref>[http://av.watch.impress.co.jp/docs/20090114/pioneer.htm パイオニア、レーザーディスクプレーヤーの生産を終了] AV Watch [[2009年]][[1月14日]]</ref>。
 
** 7月28日 - DVL-919の受注キャンセル分を自社オンラインストアで追加発売した。7月31日に発売終了。名実共にレーザーディスクの誕生から37年の歴史に幕を閉じることとなった。
 
 
 
== エピソード ==
 
* 商標公開される前の1984年にリリースされた[[吉幾三]]の『'''[[俺ら東京さ行ぐだ|俺(お)ら東京さ行ぐだ]]'''』の第3コーラスの歌詞中に、「'''♪レーザーディスクは何者だ?'''」のフレーズがある(田舎者がレーザーディスクの存在を知らないという設定)。当時は販売不振の最中であり、パイオニアはその感謝の証として吉に同社のレーザーディスクプレーヤーを贈った。その後しばらくの間、吉は音楽番組で同曲を歌う際「♪レーザーディスクは'''化け物だ!'''」と歌っていた。
 
 
 
== 備考 ==
 
* LDは高画質ゆえに[[ブートレグ|海賊版]]作成に悪用されることが多かった。対策として一部映画会社では映画の題名が表示される部分に「ディスク用映像」のテロップを入れていた。なお当時はコピーガード技術が発展途上で通常再生時の画質も悪化させるものだったため、LDソフトにはコピーガードは施されなかった。上述の通り1993年までレンタルが解禁されなかったのは、これが原因である。
 
 
 
== 参考資料 ==
 
* [[林正儀]]『AV新時代を拓く レーザービジョンディスク入門』[[啓学出版]]、[[1985年]]
 
* 荒井敏由紀『[ドキュメント]孤立からの逆転 パイオニア1vs13の賭け』[[日本能率協会]]、[[1990年]]
 
* 本多晋介『パイオニアLD戦略会議室』[[日本文芸社]]、[[1991年]]
 
* 佐藤正明『映像メディアの世紀』[[日経BP]]、[[1999年]]
 
* 日置敏昭「ハイビジョンLD(MUSE方式ハイビジョンビデオディスク)規格」『テレビジョン学会誌』Vol.48,No.3、1994年、pp.283-286
 
* 松村純孝「[http://sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/085.pdf LD(レーザディスクシステム)の開発、実用化に関する系統化調査]」『国立科学博物館技術の系統化調査報告』第21集、2014年、pp.145-216
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Laserdisc}}
 
* [[アナログディスク]]
 
* [[映像機器]]
 
* [[レーザーディスクプレーヤー]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.laserdiscarchive.co.uk/default.htm LaserDisc UK Web Site](英語)
 
* [http://www.lddb.com/ LaserDisc Database](英語)
 
* [https://web.archive.org/web/20130417090335/http://www.stereosound.co.jp/hivi/meiki/meiki1.html HLD-X0:LDプレーヤー、パイオニア|藤原陽祐と銘機]、[[ステレオサウンド]]([[インターネットアーカイブ]]参照)
 
* [http://sts.kahaku.go.jp/sts/result.php?c=9062 レーザーディスク技術]、[[国立科学博物館]]産業技術史資料情報センター
 
 
 
{{光ディスク}}
 
{{Video storage formats}}
 
  
 
{{DEFAULTSORT:れえさあていすく}}
 
{{DEFAULTSORT:れえさあていすく}}

2018/10/10/ (水) 23:29時点における最新版

レーザーディスク
LaserDisc, LD
メディアの種類 光ディスク
記録容量
  • 30cm LD
    • CAV:片面30、両面60分
    • CLV:片面60分、両面120分
  • 20cm LD
    • CAV:片面14分、両面28分
    • CLV:片面20分、両面40分
  • LDシングル
    • CAV:14分
    • CLV:20分
フォーマット アナログ(映像・音声)
デジタル(音声)
回転速度 CAV:1800rpm
CLV:1800 - 600rpm
読み取り方法 632.8nm赤色He-Neレーザー(初期)
780nm赤外線半導体レーザー
回転制御方式 CAV、CLV
策定 フィリップスMCA
主な用途 映像、音楽、ゲーム等
ディスクの直径 30cm、20cm
大きさ 300×300×2.5mm
200×200×2.5mm
200×200×1.2mm(LDシングル)
上位規格 Hi-Vision LD
DVD
下位規格 VHS
ベータマックス
関連規格 VHD(競合規格)
テンプレートを表示

レーザーディスクLaserDisc, LD

映像信号と音声信号を超高密度で記録した円盤。専用のプレーヤで再生する。1960年以降,ヨーロッパ,アメリカ合衆国,アジアの多くのメーカーがさまざまな記録・再生方式を開発した。再生方式で大別すると,光学方式と静電容量方式(電気容量)の 2種になる。光学方式は,パイオニアの商標であるレーザーディスク LDの名で呼ばれた。ディスクにピットの長短の形で情報を記録し,レーザー光で照射して反射光の変化を電気信号に変えて読み取る。この方式の代表格は MCA/フィリップス方式である。静電容量方式には,原理的に音楽用レコードと同じくディスクの溝の変化をピックアップで読み取る CED方式と,ディスクに情報信号とは別に記録されているトラッキング信号によって溝なしでピックアップを案内する VHD方式とがある。光学方式,VHD方式とも,静止画,スローモーション,ランダムアクセスが可能。DVDやブルーレイディスクなど新しい記録媒体の普及に伴い,生産が縮小。2009年1月,唯一 LDの生産を継続していたパイオニアが生産・販売を終了すると発表した。



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