フィーチャー・フォン

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フィーチャー・フォン: feature phone)は、携帯電話における端末類型の一つ。

概要

初期の第2世代携帯電話は、音声通話とSMSだけをサポートする機種がほとんどであった。しかし、通信インフラの改善やコンピュータ技術の進展に伴い、携帯電話にも、WAPブラウザー、高度な電話帳、SMS以外のメッセージ手段などが搭載されるようになり、明らかに、それまでの音声通話とSMSだけのフォンとは異なるので、それらの(当時としては)高機能なフォンを指す用語として、フィーチャー・フォンという用語が使われるようになった。“フィーチャー(: feature)”とは「特徴のある」という意味の英単語である。

2000年から2010年にかけてが全盛期であったが、2013年に初めてスマートフォンの出荷数がフィーチャーフォンを上回り、その後はスマートフォンに置き換えられた。スマートフォンが普及した今日では、一般には、基本的な機能のみのベーシック・フォンでもなく、比較的高機能の端末ではあるがスマートフォンでもないものを指すことが多い[1][2]。ちなみに、スマートフォンの定義については、スマートフォンを参照の事。

英語圏では誤用としてダム・フォン: dumb phone[注 1]と呼ばれたり、日本においては「ガラパゴス化した携帯電話機」という意味でガラケーとも呼ばれる。

スマートフォンが普及した時代でも、シンプルさや充電の持ちなどを生かした一定の需要があり、災害などの緊急時に懐中電灯やFMラジオになるなどの機能を持ったものもある。

各国の例

アメリカ合衆国

ファイル:Nokia 6020.jpg
インターネット接続、音楽再生、撮影機能等を搭載したNokia 6020

携帯電話市場ではiOSAndroidを搭載したスマートフォンが競う形で販売が好調である。このため、利用者数でも、スマートフォンがフィーチャー・フォンのシェアを奪っているというデータがある。市場調査会社のニールセンによる2013年夏のデータでは、スマートフォンの浸透率は61%に達した[3]

日本

日本では、通話機能のみに絞った携帯電話は年配者向けなど特殊なものを除いて、ほとんど販売されていなかったため、スマートフォン登場までに利用されていたテンキーなどのボタンがある従来の多機能携帯電話のことを指す。

海外の多くの国ではハイエンドの多機能携帯電話は高価なため、販売の主流ではない。それに対し日本では、2007年9月の総務省のガイドライン[4]以前は、販売奨励金による戦略的な販売価格引き下げにより、多機能携帯電話が納入価格を下回るほどの安価で提供されていた。そのため販売の主流はインターネット接続やワンセグ視聴/録画、おサイフケータイといった機能を内蔵した多機能携帯電話だった。

この多機能携帯電話は、日本の事業者専用仕様で設計されており、一部の例外を除いて、派生輸出モデルを持たない国内特定一事業者専用モデルである。また、これらの携帯電話は、ガラパゴス化の例として「ガラパゴスケータイ」、さらに略して「ガラケー」とも呼ばれる。

2008年より日本でも展開され始めたAndroid OSがベースのスマートフォンには、ガラパゴスケータイの特徴を取り入れた物も登場し、ガラパゴススマートフォン(ガラスマ)というカテゴリーも出現している。

前述の通り、ガラパゴスケータイの本来の意味としては「多機能かつ国内特定事業者向け専用モデルの携帯電話」を指しているため、この定義に厳密に則って解釈するならば、スマートフォンであっても特定事業者に特化した機能が満載であればガラケーであり、逆に従来型携帯電話であってもグローバルモデルやベーシックフォンはガラケーではないと言える。しかしスマートフォンの普及が進んだ現在の日本国内では、フィーチャーフォンとベーシックフォン全般、専らスマートフォンを除く「従来型の携帯電話」の総称としてガラケーと表現する事が定着している。

2004年2005年に、日本でもスマートフォンが販売され始めたが、当時は依然としてフィーチャー・フォンが主力であった。しかし、2008年7月に、現在のソフトバンクによりiPhone 3Gが発売されてからは国内でもスマートフォンに対する関心が高まり、各キャリアがAndroid搭載のスマートフォンを投入した2010年からはフィーチャー・フォンからスマートフォンへの需要のシフトが鮮明になった。市場調査会社のMM総研による2010年度の国内携帯電話出荷台数推計では、スマートフォンのシェアは22.7%であったが[5]、その翌年度には56.6%に達した[6]。その後もシェアは拡大し、2015年度には79.7%となっている[7]

ただし、フィーチャー・フォンは月額980円から所持できるのに対し、スマートフォンは高額な通信料がかかるほか、2014年からNTTドコモソフトバンクモバイル(現;ソフトバンク)[注 2]では、月額2700円の通話料定額プランへの加入が強制となった。そのため、通信料の少ないユーザーや通話料定額プランを必要としないユーザーが、MVNOを利用したスマートフォン端末と、通話用にフィーチャー・フォンを併用するなどで見直される動きがある。とりわけ通話の多いユーザーの場合、フィーチャー・フォンのネット機能を解約してMVNOを差額[注 3]で利用する事で、「通話は大手キャリアのガラケー、ネットはMVNOのスマホ」と「いいとこ取り」をするケースがその典型といえる。またこの「2台持ち」の背景として考えられる別の要因として、以下のようにスマホの普及に伴い周囲にスマホの所持を強制される状況が発生していることがある。

  • スマートフォン向けコミュニケーションアプリの普及など、コミュニケーション手段の変遷。
  • 相次ぐフィーチャー・フォン向けのwebサービスの終了[注 4]、もしくはそもそも最初から対応していない。
  • イベント参加や特典の享受など、ある一定の行動においてスマホアプリの利用が必須条件となる。

また、PCを所有しているユーザーがインターネットブラウジングの操作性で劣る事から一度持ったスマートフォンを手放したり、多機能性よりも一回の充電での稼働時間の長さを重要視する場合、費用を抑えたい企業による大口契約など、様々な理由でフィーチャー・フォンは今なお根強い支持がある[8]。このため大手キャリアもスマートフォンをデータ通信重視、フィーチャーフォンを通話重視として料金面で棲み分けを図った販売形式に移行しつつある。

2010年代初頭にスマートフォンが各キャリアのラインナップに載り始めた頃には、静電式タッチパネルを搭載したスマホのような風貌のフィーチャーフォンが一部メーカーで販売されたこともある。(富士通のF-09Cや日本電気のN-05Cなど)

また、現代のスマートフォンでは当たり前となった機能(Wi-Fi・Bluetooth・GPS・生体認証)を搭載した多機能フィーチャーフォンが晩年は一部メーカーで販売されていたが、いずれも現在は後述するガラホに移行している。

2015年より、「ガラホ」という商標名でKDDIが販売を始めた「SHF31」を皮切りに、厳密な意味でスマートフォンではないが、スマートフォン向けの技術の転用によって開発された新型フィーチャー・フォンが各キャリアに登場するようになった。ちなみにKDDIのガラホに対し、NTTドコモは「spモードケータイ」、ソフトバンクは「4Gケータイ」[注 5]と称しているが、通称としてそれら全般をガラホと呼ぶ事が多い。この「ガラホ」の登場の背景には、従来のフィーチャー・フォンで使用していた独自のOSなどの開発停止や半導体部品の調達が困難といった製造上の問題のほか、相次いで終了するフィーチャー・フォン向けWebサービスに対し、スマートフォン向けのWebサービスを流用可能な設計[注 6]にする事で代替を図るといった目的がある。

ドコモは2016年末にガラケーの出荷を終了し、同業他社も2017年にガラケーの生産を終了したため、それ以降に「ガラケー」と呼ばれている物は、厳密にいうと、全てOSにAndroidを搭載した、内部的にはスマホと全く同一のアーキテクチャを持った「ガラホ」(ガラケー型スマホ)である。

韓国

中国

脚注

注釈

  1. dumb”とは、smart,intelligentの対語。例としては、DEC VT100に代表される「データの送受信と表示のみ可能な端末(データの処理や保存・転送といった高度な機能はない)」は、ダム端末と呼ばれる。正確な意味では、ダム・フォンとは、Motorola Motofone F3のような単機能携帯電話を指す。今日のスマートフォンと比べると、かつてのフィーチャー・フォンは、充分、スマートではないので、フィーチャー・フォンのことをダム・フォンというのも、ニュアンスとしては、誤りとは言えない。
  2. KDDI沖縄セルラー電話連合(各au)では通話料定額と、従来の従量制との選択が可能
  3. MVNOはデータ通信料が安いが通話料は高い傾向にある
  4. 2016年1月4日以前にフィーチャーフォン向けのサービスを終了した、あるいは終了が予告されているWebサービスの例 また、みんカラではセキュリティの関係で、一部(auに至ってはわずか6機種)を除くガラケーでのサービス利用に影響があると発表するなど、サービス終了とはいかないまでも影響がみられる事案も発生している。
  5. 実際には3Gにしか対応していない端末も、オプションなどの名称の共通化の都合上、便宜的に4Gケータイとしている。
  6. ユーザーはフィーチャーフォン版のサイトやアプリの閉鎖・配信停止後もスマートフォン版を代わりに利用でき、サービス提供側もスマートフォン版とフィーチャーフォン版のサイトやアプリを別々に維持する必要がなくなり一本化できる。

出典

  1. Feature Phone”. www.phonescoop.com. . 2011閲覧.
  2. 大和 哲 (2010年3月9日). “第458回:フィーチャーフォン とは”. ケータイWatch. . 2011閲覧.
  3. MOBILE MAJORITY: U.S. SMARTPHONE OWNERSHIP TOPS 60%”. The Nielsen Company (2013年6月6日). . 2013閲覧.
  4. 携帯電話に係る端末価格と通信料金の区分の明確化に関する携帯電話事業者等への要請”. 総務省 (2007年9月21日). . 2011閲覧.
  5. 2010年度通期国内携帯電話端末出荷概況”. (株)MM総研 [ 東京・港 ] (2011年5月11日). . 2011閲覧.
  6. 2011年度通期国内携帯電話端末出荷概況”. (株)MM総研 [ 東京・港 ] (2012年5月9日). . 2016閲覧.
  7. 2015年度通期国内携帯電話端末出荷概況”. (株)MM総研 [ 東京・港 ] (2016年5月12日). . 2016閲覧.
  8. シェア60% -ガラケー、バカにされても根強い人気”. President Online (2013年2月27日). . 2013閲覧.

カテゴリ:携帯電話端末