官庁
官庁(かんちょう:独 Behörde)は、ドイツ法や日本法において、国の事務について国の意思を決定し表示する権限を有する機関を指す法律用語。構成する官吏の数により独任制官庁と合議制官庁に分類され、所掌事務により行政官庁と司法官庁に、事物の管轄の範囲により普通官庁と特別官庁に、地理的な管轄の範囲により中央官庁と地方官庁に分類される。
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概要
官庁は、国の意思を決定し外部に表示する権限を有する機関である点で、補助機関や諮問機関などとは区別される。
官庁による意思決定は、実際には、その下位機関に行わせることも多い。下位機関に権限を委ねてその名において意思を表示させる場合が「委任」であり、下位機関に決定権限を与えるがあくまで当該官庁自身の名において意思を表示させる場合が「代理」であり、内部的にその補助機関に決裁権限を与えるにとどまる場合が「代決」と「専決」である。
独任制官庁と合議制官庁
官庁は、これを構成する官吏の数により、独任制官庁(1名の自然人から構成される官庁)と合議制官庁(複数名の自然人の合議体により構成される官庁)に分類できる。独任制官庁としては、内閣総理大臣・各省大臣や各庁の長官、税務署長、検察官などがあり、ほとんどの官庁は独任制である。合議制官庁としては、内閣や各種行政委員会などがある。
行政官庁と司法官庁
官庁のうち、行政権に属する権限を有する官庁を行政官庁といい、司法権に属する権限を有する官庁を司法官庁という。「官庁」は行政官庁を指すことが多い。
行政官庁は、行政官庁法理論上の行政機関の一種としての行政庁であって国の機関であるものである。具体的には、内閣、内閣総理大臣・各省大臣、各庁の長官、各行政委員会、税務署長、検察官などがある。
司法官庁としては、裁判機関としての裁判所があるほか、旧法下の検事がある。また、司法行政官庁として裁判官会議がある。
なお、行政官庁または司法官庁の語は、それぞれ官署(行政官庁としては省庁など、司法官庁としては官署としての裁判所や旧法下の検事局)を指す場合もあるため、留意を要する。
普通官庁と特別官庁
事物の管轄の範囲が比較的一般的なものを普通官庁といい、比較的特殊なものを特別官庁という。普通官庁の例としては、内閣総理大臣が挙げられ、特別官庁の例としては税務署長が挙げられる。
中央官庁と地方官庁
官庁のうち、権限が全国に及ぶものは中央官庁といい、特定の地域に限定されるものは地方官庁という。なお、中央官庁または地方官庁の語は、それぞれ官署(中央官庁としては内閣府・省・委員会・庁など、地方官庁としては税務署など)を指す場合もあるため、留意を要する。中央官庁と地方官庁は、通常は行政官庁である場合を指すが、その意義を明確にする場合には、それぞれ、中央行政官庁と地方行政官庁という。
中央(行政)官庁としては、内閣、内閣総理大臣・各省大臣、各庁の長官、各行政委員会などがあり、地方(行政)官庁としては、税務署長などがある。地方官庁はあくまで国の機関であり、地方公共団体や地方公共団体の行政庁とは区別される。
さらに、地方官庁は、比較的一般的な事務を担う普通地方官庁と比較的特殊な事務を担う特別地方官庁に分類される。普通地方官庁と特別地方官庁は、通常は行政官庁である場合を指すが、その意義を明確にする場合には、それぞれ、普通地方行政官庁と特別地方行政官庁という。
普通地方(行政)官庁の例としてはかつての府県知事が挙げられ、特別地方(行政)官庁の例としては税務署長などが挙げられる。