内閣
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内閣(ないかく)は、イギリスや日本などの議院内閣制の国家において、国の行政権を担当する合議体の執行機関である。なお、「内閣」は "Cabinet" の訳にあてられるが、行政権を担わない場合には大統領顧問団と訳される場合もある(#概説を参照)。
概説
内閣は議院内閣制をとる国家において行政権を担う合議体の執行機関である。英語の Cabinet は、小部屋で会合を開き、協議したところから、「小部屋」を意味する Cabinet に由来する。「内閣」という漢語は、 Cabinet に相当する言葉として、中国の明、清の時代、皇帝の諮問にあずかった内閣大学士制度から引用され、1877年(明治10年)頃に日本で定着した。なお、 Cabinet は必ずしも「内閣」を指さず、例えば、行政権が大統領に専属するアメリカ合衆国の場合、行政権を担っていない Cabinet は、「大統領顧問団」と訳される場合もある。
内閣制度はイギリスの Cabinet がその元祖であるが、最初は国王に対して助言するだけの諮問機関に過ぎなかった。時代や国によって様々な位置づけがみられる。
内閣制度は合議制の原則、分担管理の原則、首相指導の原則を基本原則とする[1]。
類型
内閣には、立法府(議会)との関係という観点から、2つに類型化できる。
- 超然内閣制
- 内閣の存立に関して議会の信任を法的要件としないタイプ。例えば、イタリア王国やプロイセン王国では国王のみに、大日本帝国では天皇のみに対して責任を負っていた。
- 閣僚の選出は民主的な手段によらない。例えば戦前の日本において、内閣総理大臣の人選は元老や重臣のような憲法外の機関・人物が行い、天皇が任命していた(内閣 (日本)を参照)。
- ただし議会が可決した予算の枠内で政府を運営しなければならないことには変わりないため、間接的に議会のコントロール下に置かれる。
- 議会の協力が得られなかった場合は政権が立ち行かなくなったり、歪な政権運営を強いられたりするため、この制度のもとでも政党内閣は成立しうる(大正デモクラシー期の日本の憲政の常道など)が、法的に担保されたものではないので超然内閣制下の政党内閣と議院内閣制とは違う概念である。
- 議院内閣制
- 内閣が議会に対して責任を負い、議会の信任を内閣存立の条件とするタイプ。現在の日本やイギリスなど、多くの国で採用されている。日本の内閣はイギリスの内閣を模して作られた。議院内閣制の本質をめぐっては内閣の対議会責任を本質的要素とみる責任本質説と、内閣の議会解散権をその要素に含める均衡本質説の対立がある。
各国の内閣
以下に各国の内閣(または内閣に相当する組織)を挙げる。国・地域によって仕組みや名称もそれぞれ異なっている(各国の内閣については各項目参照)。
- 日本:内閣
- 韓国 : 内閣 (韓 : 國務會議、국무회의) [2]
- イギリス:内閣(英:Cabinet)
- オーストラリア:内閣(英:Cabinet)
- カナダ:内閣(英:Cabinet)
- ドミニカ共和国:内閣(西:Gabinete)
- インドネシア:内閣(尼:Kabinet)
- ウクライナ:内閣(烏:Кабінет)
- タイ:内閣(泰:คณะรัฐมนตรีไทย)
- ドイツ:連邦政府(独:Bundesregierung)
- オランダ:内閣(蘭:Kabinet)
- イタリア:閣僚評議会 (伊: Consiglio dei Ministri)
- スウェーデン:政府(瑞:Regeringen)
- 中国大陸:国務院(中:国务院、英:State Council)
- 香港:行政会議(中:行政會議、英:Executive Council)
- 台湾:行政院(中:行政院、英:Executive Branch)
- アメリカ合衆国:大統領顧問団(英:Cabinet)
脚注
参考文献
- 西尾勝 『行政学』 有斐閣、2001、新版。ISBN 9784641049772。
関連項目
- 内閣連帯責任 (Cabinet collective responsibility)
- 個別大臣責任 (Individual ministerial responsibility)
- 首相
- 内閣総理大臣、内閣総理大臣臨時代理
- 内閣総理大臣の一覧
- 日本国歴代内閣
- 連立内閣
- 閣外協力
- 内閣支持率
- 内閣法
- 内閣官房
- 閣議
- 組閣
- 倒閣
- 内閣総辞職
- 内閣改造
- 国務大臣
- 民間人閣僚
- 女性閣僚一覧