タイランド湾
タイランド湾(タイランドわん、Gulf of Thailand、อ่าวไทย、タイ湾[1]とも)は、太平洋南シナ海の最西部にある湾。
地理
タイ王国、カンボジア、ベトナム、マレーシアがその海岸線を有する。南東方向に開けた湾であり、最北地点チャオプラヤー川河口を最奥に、ベトナムのバイブン岬からマレーシアのコタバル結ぶ範囲となっている。その面積は大雑把に320,000km2にも及ぶと言われる。また、タイ地域の旧称シャムに由来して、シャム湾という表記が用いられていたこともある。
湾内の水深は非常に浅く、平均は45メートルで、もっとも深いところでも80メートルである。この浅さは湾内の水流を緩やかにし、さらに、チャオプラヤー川などからの淡水流入によって、塩分濃度が3.05-3.25%とかなり低くなっているのが特徴である。ただし、南シナ海から流れてくる塩水により、濃度が一部濃くなっているところがあり、50メートル以下の場所では3.4%となっている場合もある。その水深のため、氷河期の海面低下した時期においてはタイランド湾は陸地化していたが、その後、海面の上昇によって、湾が形成されたと考えられる(スンダランドを参照)。
チャオプラヤーをはじめとする複数の河川が湾奥に流れ込むことにより豊富な漁業資源が棲息し、それらを餌とするカツオクジラ[2]、ツノシマクジラ[3]、シナウスイロイルカ、カワゴンドウ、スナメリ、ジュゴン[4]、タイマイなどの貴重な海洋生物の住処にもなっている。特にカツオクジラはホエールウォッチングの対象になっている[5]。
産物・産業
鉱物資源として石油や天然ガスなどが産出される。このためPTTがオフショア油田開発を手がけ、ラヨン県マープタープット工業団地を中心に石油精製・石油化学品の製造を行い、511kmにわたるパイプラインで国内需要に供給している[6]。
南洋であるため湾内の水温は高く、珊瑚礁が発生しやすいと言われている。珊瑚礁のあるきれいな湾内では、サムイ島(コサムイ、Koh Samui)やスラーターニー県海岸部等でのマリンスポーツが発達している。
また、有毒なウニのガンガゼが集団で生息している。海に入る際は注意が必要である。
主な支湾
- タイ王国のサッタヒープからチャアムまでを特にバンコク湾(อ่าว บางกอก)と言うことがある。
- カンボジアのココン州とシアヌークビル(コンポン・ソム)に囲まれた部分をコンポンソム湾と呼ぶ。
- ベトナムのキエンザン省ラックザーの海岸周辺をラックザー湾(Vịnh Rạch Giá)と呼ぶ。
関連項目
脚注
- ↑ 「タイ湾」だと「台湾」と読みが同じになるので、使用時には誤認されないよう注意が必要である。
- ↑ 岩田高志, 赤松友成, 佐藤克文、カツオクジラの立ち泳ぎ採餌
- ↑ https://kaken.nii.ac.jp/d/p/17405017.ja.html
- ↑ Adulyanukosol K., Poovachiranon S., Dugong (Dugong dugon) and seagrass in Thailand: present status and future challenges, Part II: Dugong - Adulyanukosol & Poovachiranon, Phuket Marine Biological Center and Department of Marine and Coastal Resources in Thailand, pp.41-50.
- ↑ バンコク近郊の海でホエールウォッチング!
- ↑ http://www.pttplc.com/EN/About/Business/PTT-Owned-Business/Gas-Unit/Pages/transmission-pipeline.aspx
参照リンク