シュメール語

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シュメール語テンプレート:Cuneiform[1] - eme-ĝir15)は、古代メソポタミアで使用された言語である。

歴史

紀元前2600年楔形文字[2]シュメール文字English版が解読されたことにより、原シュメール語の使用が確認された。時代が進むにつれアッカド語に押され、紀元前2000年頃にシュメール人のウル第三王朝が滅亡し、セム語アッカド語を話すアッカド王朝を経て、約200年(イシン・ラルサ時代)後の紀元前1830年セム語アムル語English版を話すアムル人バビロン第1王朝に覇権が移る頃に、口語としては死語となった。シュメール語の死語化については、軍事征服による虐殺や言語の強制といった兆候は発見されていない。シュメール都市への移住者が少数のうちは移民も速やかにシュメール化されたが、ある時期から比較的短期間にセム語民族が大量に流入し、シュメール人が逆に吸収されてしまったものと推測されている[3]

しかし、古代メソポタミア社会において宗教語、学者語として長く受け継がれ、ヨーロッパにおけるラテン語インドにおけるサンスクリットに類似した地位を与えられた。

系統

シュメール語と同系統と考えられる言語はこれまでのところ発見されていない。一般には系統不明とされる。 シュメール語圏にはセム語を話す人々が混住していたが、セム語との系統関係は認められない。近年エラム語とシュメール語の系統関係の存在を主張する者もいるが、立証されていない。母音調和が存在する膠着語という点ではウラル語族アルタイ語族とも類似するが、シュメール語は能格言語、ウラル・アルタイ諸語は対格言語という根本的相違がある。能格言語で膠着語の言語はバスク語カフカス諸語があり、シュメール語はこれらに近縁かも知れない。これを支持する説としてデネ・コーカサス大語族がある。

時代区分

文法

一般に膠着語に分類されている。語順は、主語-目的語-動詞の順序を取るSOV型である。冠詞は存在しない。また能格を持ち、同じ単語を連続させることで複数を表した。

表記

シュメール語が使用されていた時代には専ら楔形文字で表記された。最も古い文書の中にはまだ楔形の形態を取らない絵文字(古拙文字)で表記されたものも存在する。現代では研究を容易にするためにアルファベットを用いて翻字(音訳表記)がなされる。ただしシュメール語では同音異義語(同音異字)が多く存在するため、アルファベット表記にした際に判別が困難になる問題があり、数字を付加することで対応している(例えばdu「行く」、du3「建てる」。duの異義語は20を超える)。

シュメール語文学

脚注

  1. 母語、国語。テンプレート:Cuneiformは「言語」の意。テンプレート:Cuneiformは「Native」の意。
  2. 少なくともウルク文化期(紀元前3200年)にウルク古拙文字の使用が確認されており、楔形文字の先祖と見られている。解読が進めば筆記された最古の言語のひとつとなる。
  3. マクニール『疫病と世界史』

参考文献

  • 小林登志子『シュメル 人類最古の文明』中央公論新社〈中公新書〉、2005年。