金将

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金将(きんしょう)は、将棋の種類の一つ。本将棋平安将棋平安大将棋小将棋中将棋大将棋天竺大将棋大大将棋摩訶大大将棋泰将棋大局将棋に存在する。英語ではそのままgoldと訳され、略号はG

概要

通称は「金」。銀将と名前や動き方が似ているが、銀将と異なり本将棋では成ることができない。基本的には自陣の王将(玉将)周辺で囲いを構成する駒として防御に使われることが多い(ただし、対石田流棒金など金将を前線に出して攻撃に用いる戦法もないわけではない)が、持ち駒として使う場合など、終盤の寄せや詰めでも多用される。例えば最も基本的な詰み形の一つとして「頭金」がある。また、横に動ける共通点から、飛車と金将を総称して、「横駒」と呼ばれることもある。前述のように攻撃にも防御にも多用されるために、

  • 金なし将棋に攻め手なし
  • 金なし将棋に受け手なし

という格言がある。

名前と動き方から、銀将と同じ系列の駒と思われているが、歴史的にはチャトランガの将軍に相当する駒である。海外の将棋類では日本将棋で言う王将の隣にチャトランガの将軍に相当する駒が配置されている。チェスではクイーンシャンチーでは士・仕、チャンギでは士、マークルックではメットが日本の金将およびチャトランガの将軍に相当する駒である。またチャトランガの兵に相当する駒(将棋では歩兵、マークルックではビア)が昇格(成り)した場合の成り先としてチャトランガの将軍相当の駒が選ばれている将棋系ゲームも、将棋以外にもマークルックなどいくつか存在する。

本将棋・小将棋

ファイル:Shogi gold.jpg
駒の表面。裏面には何も書かれていない。
ファイル:Shogi silver p.jpg
成銀の例。金の異体字で、左右の点を棒のように表現することが多い。
ファイル:Shogi knight p.jpg
成桂の例。金の崩し文字で、下の部分を崩した字体である。
ファイル:Shogi lance p.jpg
成香の例。金の崩し文字で、草書体となっている。
ファイル:Shogi pawn p.jpg
と金の例。「と」のように見える文字は「金」の極端な崩し字あるいは「今」の崩し字とされる。

と略す。銀将桂馬香車歩兵成駒で、これらの金に成ったものをそれぞれ成銀成桂成香と金という。成銀・成桂・成香・と金は、全て金の崩し文字が書かれており、字体を変えることで区別している。金将自体は成ることができない。

本将棋においては、金将と銀将を総称して、俗に「金駒(かなごま)」「金気(かなけ)」と呼ばれる。

元の駒 動き 成駒 動き
金将(きんしょう)
   
縦横と斜め前に1マス動ける。 - - -

平安将棋・平安大将棋

成ることはできない。

元の駒 動き 成駒 動き
金将(きんしょう)
   
 
 
       
縦横と斜め前に1マス動ける。 - - -

中将棋・大将棋・天竺大将棋・大局将棋

中将棋の場合と略す。歩兵の、大将棋では鐵将石将桂馬猫刄悪狼嗔猪猛牛飛龍・歩兵の成駒。成ると飛車

これらの大型将棋類の歩兵の成駒としての金将は、本将棋と同様にと金と呼ばれる場合もあるが、本将棋と異なり、多くの場合本将棋の成香のような字体の金の崩し文字が書いてある。

金将の成駒としての飛車は金飛車とも呼ばれる。

元の駒 動き 成駒 動き
金将(きんしょう)
     
   
 
 
       
         
縦横と斜め前に1マス動ける。 飛車(ひしゃ)
       
       

       
       
縦横に何マスでも動ける。飛び越えては行けない。

大大将棋

成ることはできない。

元の駒 動き 成駒 動き
金将(きんしょう)
     
   
 
 
       
         
縦横と斜め前に1マス動ける。 - - -

摩訶大大将棋・泰将棋

摩訶大大将棋では飛車角行竪行横行反車香車飛龍猛牛桂馬左車右車狛犬鉤行摩𩹄夜刄羅刹金剛力士驢馬歩兵横飛の、泰将棋では青龍朱雀白虎玄武盲猿奔鬼奔獏走車金翅鳩槃大龍左将右将天狗北狄南蛮前旗盲熊白象飛牛角鷹飛鷲鯨鯢白駒木将銀兎金鹿行馬孔雀横龍羊兵猛鷲兵士𠵇犬成駒。成ると奔金

元の駒 動き 成駒 動き
金将(きんしょう)
     
   
 
 
       
         
縦横と斜め前に1マス動ける[1] 奔金(ほんきん)
   
   

       
       
縦横と斜め前に何マスでも動ける。飛び越えては行けない。

脚注

  1. 象棋六種之図式』(「雑藝叢書」による)の泰将棋の解説では、縦横と左斜め前に1マス動く(右斜め前に動けない)となっている。

参考文献

関連項目

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