サポート校
サポート校(サポートこう)とは、高等学校通信教育を受けている生徒や高校に行かずに高等学校卒業程度認定試験合格を目指す個人に対して、学習に対する支援などを行う教育施設である。学習センター (高等学校通信教育)とも呼ぶ。
サポート校という呼称は通称であり、法的な根拠・区分・権限などはなく、学習塾である。なお、日本国外において日本人学校が存在しない、または日本人学校に通わない子供の多い地域で放課後や週末に日本語での教育を行う補習授業校とも異なるので注意が必要である。
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概説
サポート校は「高等学校」または「中等教育学校の後期課程」の「通信制の課程」などに在籍する人や高等学校卒業程度認定試験合格を目指す人を対象とし、普通教科の学習支援や通信課程の教科補習を提供する場である。
サポート校は、通例、学校教育法を含む法令がまったく適用されない無認可校であるが、学校教育法の第124条で規定される専修学校、学校教育法の第134条で規定される各種学校として設置されている場合もある。学校法人(一条校の設置を目的とする法人)や準学校法人(専修学校・各種学校の設置を目的とする法人)が設置しているサポート校もある。
不登校経験者、学力不振、中途退学者など、学校教育法が想定する学校制度の中で能動的に教育を受けられない人のため、サポート校の中には、小中学校の学習内容もカリキュラムに含められる場合もある。また、サポート校によって異なるが、発達障害をもつ生徒に対するソーシャルスキルトレーニングの場にもなっている。
サポート校 と 他の教育形態との違い
フリースクールとの違い
フリースクールは、高等学校通信教育にとらわれずに対象となる者について各スクールごとに独自の基準を設けている一方、サポート校は、高等学校通信教育を受けている者(高等学校における「通信制の課程」に在籍している者、または、中等教育学校の後期課程における「通信制の課程」に在籍している者)や高等学校卒業程度認定試験合格を目指す人を対象としている。
このため、高等学校通信教育における学習については、フリースクールに比べてサポート校の方が支援の体制が整っていることも多く、フリースクールでは、各フリースクールの目的に応じて教育活動・学習活動が行われている。
技能連携校との違い
サポート校は、高等専修学校で通信制高等学校と併修する技能連携校とも異なる。技能連携制度は、高等学校通信課程の履修科目の一部(専門科目)を高等専修学校で行い、教育の大半を技能連携校である高等専修学校で行って、併修する高等学校へのスクーリング通学やレポート提出の負担を少なくする制度で高等専修学校と一体の教育を行う一方、サポート校の教育は指定する通信制高校からは独立している違いがある。
サポート校の対象
サポート校に在籍する理由はサポート校で行われている具体的な教育内容によっても異なる。大半は各人の設定する具体的な目標に到達するために支援を受けて学習活動を展開したいという場合にサポート校が活用されている。
特に「高等学校」または「中等教育学校の後期課程」の「通信制の課程」を修了することをめざしているが学習がはかどらず卒業や修了などに至りにくいと感じる場合や仲間と一緒に取り組んでいきたいと思う場合は、サポート校が提供する各種の活動を通じて自己学習で足りない面を補完していくことも想定される。この場合、本校とサポート校の両方に学費を支払わねばならず、経済的な負担が大きいと言う側面も有る。
一般的にサポート校は次のような学校の課程に在籍している人・資格取得をめざしている人などを対象に活動を行っている。
- 高等学校や中等教育学校などにおける主に「全日制の課程」でない課程に在籍する生徒
- 放送大学の選科履修生・科目履修生(科目等履修生)
- 予備校の高等学校卒業程度認定試験(高認、旧・大学入学資格検定)受験課程
「高等学校」または「中等教育学校の後期課程」の「通信制の課程」などに在籍しつつサポート校に入学することは個人の判断によるダブルスクール(複数校在学)ともいえるが日常的な学習活動についてはサポート校で行われ個人の学習の拠点はサポート校になることが多い。
日常の教育活動・学習活動
サポート校は個人の日常的な学習に役立つように教科・科目学習のための講義、添削課題(レポート)の指導などの活動を行っている。
学習塾の延長のようなサポート校もあるが、学校における教科以外の事柄も含む教育活動・学習活動も行い、外見的には、きわめて一般的な高等学校に近い雰囲気を持っているサポート校もある。
高等学校に近い雰囲気をもつサポート校は高等学校の「全日制の課程」(通常の課程)と同様に制服(標準服)や生徒規則(校則)などがあり、日常生活が通常の学校生活とほとんど違わないこともある。
サポート校の教員と面接指導の関係
サポート校には、教育職員免許法が適用されない[1]ため、教員は教員免許状を所持している必要はない。もっとも、所持自体を妨げるものではなく、サポート校において、教員免許状の普通免許状・特別免許状・臨時免許状を所持している教員も一部いる。
なお、通信制課程における教育課程の面接指導は、サポート校の教員ではなく、本校(対象の「通信制の課程」を置いている高等学校または中等教育学校)の教員が行わねばならぬことになっている[2]ため、(教員免許状を所持を要する)本校の教員の授業を必ず受けることとなっている。それにもかかわらず、一部の広域通信制高等学校において、学校業務をサポート校へ丸投げしているといった実態も指摘されている[3]。
サポート校の設備と教育
専修学校や各種学校でないサポート校の場合、学校教育法が適用されないため、設置の最低基準についての法的な定めもない。ビルを間借りしているだけのサポート校も少なくない。このような場合、体育などの授業を行うことは困難である。
専修学校や各種学校でないサポート校の場合、開校や廃校のための認可などを必要としないため、生徒を集めたら、後で倒産してしまったという事例なども指摘されている[4]。
一部の私立高等学校の通信制の課程に通っている生徒については、保護者の「高校卒業資格を取らせたい」という希望から、相当の支出を伴ってサポート校に通っても適切な教育を受けられず、結果として単位を金銭で買っているような実態が指摘されている[5]。