ペーネロペー
ペーネロペー(古希: Πηνελόπη, Pēnelopē)は、ギリシア神話に登場する女性である。ホメーロスの叙事詩『オデュッセイア』ではペーネロペイア(古希: Πηνελόπεια, Pēnelopeia)の名で登場する。長母音を省略してペネロペ、ペネロペイアとも表記される。
イタケーの王、オデュッセウスの妻。イーカリオスと水のニュンペーであるペリボイアの娘。父親はイーカディオス、母親はドーロドケーあるいはアステロディアーとする異説がある[1]。オデュッセウスとの間に息子テーレマコスとプトリポルテース(ポリポルテース)をもうけた[2]。美女として知られる。
神話
オデュッセウスがアカイア勢のトロイア遠征に加わりイタケーを去ったのち、ペーネロペーはイタケーにとどまって留守を守り、夫が後見として残したメントールに助けられながら息子テーレマコスを育てた。オデュッセウスが冒険のため長年留守にすることになり、その美しさにひかれて108人の求婚者が押しかけた。ペーネロペーは変装したり隠れたりするが、最後まで夫に対する義務を果たした。このことからしばしば貞淑の象徴とみられる。しかし物語の上では、ペーネロペーは一度再婚をやむをえないものとして選択したようにも思われるため、この点については議論がある。
『オデュッセイア』 によれば、求婚者たちが結婚を迫ると、ペーネロペーは一計を案じ、彼女が織っている織物が織りあがったとき、求婚者のひとりを選ぶといった。求婚者たちはこれを信じたが、ペーネロペーは昼に織った織物を夜になると解いていた。しかしこのたくらみは3年の後に結局露見してしまう。逃げ場がなくなったペーネロペーは、王宮にあった弓を引くことができたものと結婚すると宣言する。20年にも渡った戦争と放浪の末ようやく戻っていたオデュッセウスは、乞食に変装してこの弓を引き、そのあと正体を現して求婚者たちを撃ち殺した。このとき、ペーネロペーが夫に気がついていたかどうかについては解釈が分かれている。
オデュッセウスの帰国後、夫との間に息子プトリポルテースを産んだ。
『テレゴネイア』ではオデュッセウスとキルケー(あるいはカリュプソー)との間の息子テーレゴノスが誤ってオデュッセウスを殺してしまうと、テーレゴノスにつれられてキルケーの島に行き、二人は結婚した。キルケーは二人を幸福の島へと送ったという。