黒沢清
黒沢 清(くろさわ きよし、1955年7月19日[1] - )は、日本の映画監督、脚本家、映画批評家、小説家である。
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経歴
立教大学では、自主映画製作集団「パロディアス・ユニティ」に所属した[4]。同サークルには森達也や塩田明彦らがいた[5]。蓮實重彦の授業を受講し、強い影響を受ける[6]。1981年、8ミリ映画『しがらみ学園』が第4回ぴあフィルムフェスティバルに入選した[7]。
4年時に雑誌『GORO』の対談で出会い知遇を得た長谷川和彦から『太陽を盗んだ男』に制作助手として、1981年には相米慎二『セーラー服と機関銃』に助監督として映画を学び、その流れからディレクターズ・カンパニー制作のピンク映画『神田川淫乱戦争』で1983年に映画デビュー[8]。
1997年の『CURE』によって国際的なブレイクを果たす[9]。2001年、『回路』が第54回カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞した[10]。その後、『アカルイミライ』[11]、『ドッペルゲンガー』[12]、『LOFT ロフト』[13]、『叫』などの作品を監督する[14]。
2008年、『トウキョウソナタ』が第61回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」審査員賞[15]、第3回アジア・フィルム・アワード作品賞を受賞した[16]。
2012年、テレビドラマ『贖罪』を監督した[17]。2013年、劇場用映画としては5年ぶりとなる監督作品『リアル〜完全なる首長竜の日〜』が公開される[18]。同年、前田敦子主演の『Seventh Code』で第8回ローマ映画祭最優秀監督賞を受賞する[19]。
2015年、浅野忠信、深津絵里主演の『岸辺の旅』が第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞した[20][21]。
2016年、初めて手掛けた海外作品『ダゲレオタイプの女』(原題:La Femme de la Plaque Argentique)が公開される[22]。
同年、第33回川喜多賞[23]、第29回東京国際映画祭・SAMURAI賞[24]、第58回毎日芸術賞を受賞した[25]。
2018年、『散歩する侵略者』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した。
監督作品
長編映画
- 神田川淫乱戦争(1983年)
- ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年)
- スウィートホーム(1989年)
- 地獄の警備員(1992年)
- CURE(1997年)
- ニンゲン合格(1999年)
- 大いなる幻影(1999年)
- カリスマ(1999年)
- 回路(2000年)
- アカルイミライ(2003年)
- ドッペルゲンガー(2003年)
- LOFT ロフト(2006年)[26]
- 叫(2007年)[27]
- トウキョウソナタ(2008年)[28]
- リアル〜完全なる首長竜の日〜(2013年)[29]
- 一九〇五(製作中止)[30][31]
- Seventh Code(2014年)[32]
- 岸辺の旅(2015年)[33]
- クリーピー 偽りの隣人(2016年)[34]
- ダゲレオタイプの女(2016年)[22]
- 散歩する侵略者(2017年)[35]
- 予兆 散歩する侵略者 劇場版(2017年)[36]
- 世界の果てまで(仮題、2019年公開予定)[37]
短編映画
- 2001 映画と旅(2001年)
- 霊刑事(2003年、『刑事まつり』)
- ココロ、オドル。(2004年)
- 蟲たちの家(2005年、『楳図かずお恐怖劇場』)
- ビューティフル・ニュー・ベイエリア・プロジェクト(2013年)
オリジナルビデオ
- ヤクザタクシー(1994年)
- 打鐘 男たちの激情(1994年)
- 勝手にしやがれ!! 強奪計画(1995年)
- 勝手にしやがれ!! 脱出計画(1995年)
- 勝手にしやがれ!! 黄金計画(1996年)
- 勝手にしやがれ!! 逆転計画(1996年)
- 勝手にしやがれ!! 成金計画(1996年)
- 勝手にしやがれ!! 英雄計画(1996年)
- DOOR III(1996年)
- 復讐 運命の訪問者(1997年)
- 復讐 消えない傷痕(1997年)
- 蛇の道(1998年)
- 蜘蛛の瞳(1998年)
テレビ
- 奴らは今夜もやってきた(1989年、『危ない話 夢幻物語』第2話)
- もだえ苦しむ活字中毒者 地獄の味噌蔵(1990年、関西テレビ『DRAMADAS』)
- よろこびの渦巻(1992年、関西テレビ『DRAMADAS』)
- 胸さわぎの15才(1993年、関西テレビ、第11・12話)
- ワタナベ(1993年、関西テレビ、第1・2・11・12話)
- 花子さん(1994年、関西テレビ『学校の怪談』第3回)
- 音楽室の少女(1994年、関西テレビ『学校の怪談』第4回)
- あの子はだあれ?(1994年、関西テレビ『学校の怪談』第11回)
- 廃校奇譚(1997年、関西テレビ『学校の怪談f』)
- 木霊(1998年、関西テレビ『学校の怪談G』)
- 降霊(1999年、関西テレビ)
- 花子さん(2001年、関西テレビ『学校の怪談 物の怪スペシャル』)
- タイムスリップ(2002年、関西テレビ『愛と不思議と恐怖の物語 ウルチョラ・セブン』)
- 風の又三郎(2003年、NHK-BShi『朗読紀行 にっぽんの名作』)
- 贖罪(2012年、WOWOW『連続ドラマW』)
- 予兆 散歩する侵略者(2017年、WOWOW)[38]
ミュージック・ビデオ
出演作品
- お葬式(1984年) - 助監督
- 星くず兄弟の伝説(1985年) - サロン魚の目の客
- 誘惑者(1989年) - 図書館員
- 夜のストレンジャー 恐怖(1991年) - タクシーの客
- ミカドロイド(1991年)
- パチンカー奈美(1992年)
- したくて、したくて、たまらない、女。(1995年) - ジャーナリスト
- 亡霊学級(1996年)
- WiLd LIFe(1997年)
- ピエタ(1997年) - 地下酒場の警官
- 血を吸う宇宙(2001年) - 新聞配達
- 曖昧な未来、黒沢清(2002年) - 本人
- 3on3 スリー・オン・スリー(2003年)
- ピンクリボン(2004年) - 本人
- 輪廻(2006年) - 大学教授
- 映画監督って何だ!(2006年)
- 殺しのはらわた(2007年)
- Val Lewton: The Man in the Shadows(2008年) - 本人
- オカルト(2008年) - 本人
- ヒッチコック/トリュフォー(2015年) - 本人[40]
- 星くず兄弟の新たな伝説(2018年) - 酒場で西部劇を語る客
著書
評論
- 映像のカリスマ 黒沢清映画史(1992年、フィルムアート社) 増補改訂版(2006年、エクスナレッジ)
- 映画はおそろしい(2001年、青土社)
- 黒沢清の映画術(2006年、新潮社)
- 映画のこわい話 黒沢清対談集(2007年、青土社)
- 恐怖の対談 映画のもっとこわい話(2008年、青土社)
- 黒沢清、21世紀の映画を語る(2010年、Boid)
共編著
- ロスト・イン・アメリカ(2000年、デジタルハリウッド出版局、青山真治・安井豊・阿部和重・塩田明彦共著、稲川方人・樋口泰人編)
- 黒沢清の恐怖の映画史(2003年、青土社、篠崎誠共著)
- 映画の授業 映画美学校の教室から(2004年、青土社、高橋洋・塩田明彦・万田邦敏・たむらまさき共著)
- 東京から 現代アメリカ映画談 イーストウッド、スピルバーグ、タランティーノ(2010年、青土社、蓮實重彦共著)
- 日本映画は生きている(2010年、岩波書店、全8巻、四方田犬彦・吉見俊哉・李鳳宇共編)
- 映画長話(2011年、リトルモア、蓮實重彦・青山真治共著)
小説
- キュア(1997年、徳間文庫)
- 回路(2001年、徳間書店)のち文庫
脚注
注釈
出典
- ↑ Jacoby, Alexander (2008年). “KUROSAWA Kiyoshi”, A Critical Handbook of Japanese Film Directors: From the Silent Era to the Present Day. Stone Bridge Press.
- ↑ ロジェ, ジャン=フランソワ (2012年3月14日). “「恐怖の哲学、哲学の恐怖——黒沢清レトロスペクティヴによせて」”. Nobody. . 2014年3月19日閲覧.
- ↑ King, Susan (2009年3月22日). “Kiyoshi Kurosawa provides domestic chills in 'Tokyo Sonata'”. Los Angeles Times. . 2014年3月19日閲覧.
- ↑ “上映作品紹介”. 第34回ぴあフィルムフェスティバル (2012年). . 2015年5月18日閲覧.
- ↑ 森達也・安岡卓治 『A2』 現代書館、p.212、2002年4月10日。ISBN 978-4768476826。
- ↑ “立教大学”. 朝日新聞. 朝日新聞社 (2004年). . 2015年5月18日閲覧.
- ↑ “1981年:第4回ぴあフィルムフェスティバル一般公募部門入選作品”. ぴあフィルムフェスティバル. . 2017閲覧.
- ↑ (2006年) 黒沢清の映画術. 新潮社, 51-69.
- ↑ Mes, Tom (2001年3月20日). “Midnight Eye review: Cure”. Midnight Eye. . 2014年3月19日閲覧.
- ↑ “黒沢清監督:幽霊には西洋型と日本型がある… ホラー映画の巨匠が語る「生と死」”. MANTANWEB (2016年10月29日). . 2017閲覧.
- ↑ 蓮實, 重彦 (2010年6月16日). “黒沢清『アカルイミライ』”. あなたに映画を愛しているとは言わせない. . 2013年7月9日閲覧.
- ↑ 大場, 正明 (2012年5月31日). “『ドッペルゲンガー』 黒沢清”. Criss Cross. . 2013年7月9日閲覧.
- ↑ 藤井, 仁子 (2007年1月1日). “2006年ベストテン”. テアトル・オブリーク. . 2013年7月9日閲覧.
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- ↑ 鶴谷, 真 (2012年8月4日). “ベネチア国際映画祭:WOWOWドラマ「贖罪」上映 異例の正式招待”. 毎日新聞. 2012年8月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2016年4月28日閲覧.
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- ↑ Blair, Gavin J. (2013年11月18日). “Japanese Director Kiyoshi Kurosawa 'Very Surprised' About Two Wins at Rome Film Fest”. The Hollywood Reporter. . 2014年3月19日閲覧.
- ↑ “黒沢清監督 カンヌ「ある視点」部門で監督賞”. NHKニュース (2015年5月24日). 2015年5月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2016年4月28日閲覧.
- ↑ “2015 Official Selection”. Cannes. . 2015年5月24日閲覧.
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- ↑ “第58回(2016年度)毎日芸術賞の受賞者”. 毎日新聞社. . 2017閲覧.
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- ↑ “黒沢清×役所広司『叫(さけび)』ヴェネチア国際映画祭正式招待決定”. シネマカフェ (イード). (2006年7月29日) . 2018閲覧.
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- ↑ “綾瀬はるか、佐藤健と本格恋愛映画でW主演「ワクワクして、ヒャーッ!」”. ORICON NEWS (oricon ME). (2012年7月18日) . 2018閲覧.
- ↑ “トニー・レオン、日本映画初出演!松田翔太&前田敦子と黒沢清監督作でタッグ”. 映画.com (株式会社エイガ・ドット・コム). (2012年9月10日) . 2018閲覧.
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- ↑ “前田敦子&黒沢清監督新作、ローマ映画祭で初お披露目”. 映画.com (株式会社エイガ・ドット・コム). (2013年10月15日) . 2018閲覧.
- ↑ “深津絵里×浅野忠信、黒沢清監督「岸辺の旅」W主演で初の夫婦役!早くも仏公開決定”. 映画.com (株式会社エイガ・ドット・コム). (2014年6月19日) . 2018閲覧.
- ↑ “西島秀俊×黒沢清監督、映画「クリーピー」で4度目のタッグ!”. 映画.com (株式会社エイガ・ドット・コム). (2015年7月29日) . 2018閲覧.
- ↑ “イキウメ「散歩する侵略者」黒沢清が映画化、長澤まさみ×松田龍平×長谷川博己で”. ステージナタリー. (2016年12月6日) . 2016閲覧.
- ↑ “東出昌大の“怪演”が夏帆&染谷将太を襲う!「散歩する侵略者」スピンオフ本編映像入手”. 映画.com (2017年11月10日). . 2018閲覧.
- ↑ “黒沢清、日本・ウズベキスタン共同製作作品を監督「いくつかの夢が同時に叶った」”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2018年4月3日) . 2018閲覧.
- ↑ “「散歩する侵略者」夏帆ら出演のスピンオフドラマのポスタービジュアル&場面写真公開”. マイナビニュース (2017年8月7日). . 2017閲覧.
- ↑ “相対性理論やくしまるが“何か”に立ち向かう、黒沢清監督「FLASHBACK」MV”. 音楽ナタリー (2016年4月25日). . 2016閲覧.
- ↑ “名だたる監督の証言でひも解くヒッチコック、カンヌでドキュメンタリー上映”. 映画ナタリー (2015年5月21日). . 2017閲覧.
関連文献
- White, Jerry (2007). The Films of Kiyoshi Kurosawa: Master of Fear. Stone Bridge Press. ISBN 9781933330211.
- 『世界最恐の映画監督 黒沢清の全貌』 文學界編集部、文藝春秋、2017年。ISBN 9784163907062。
関連項目
外部リンク