PaSoRi
テンプレート:Infobox product PaSoRi(パソリ)は、ソニーが製造・販売しているパソコン用の非接触型ICカードリーダー/ライター。
概要
パソコンから、FeliCa内蔵カードやおサイフケータイのデータを読み出したり、書き込むことができるシステムとしてFeliCaポートがある。PaSoRiはパソコンに外付けするタイプのFeliCaポートであり、パソコンにはUSBで接続する。PlayStation 3で使用することもできる。
全機種がFeliCaに対応し、RC-S330以降はISO/IEC 14443のTypeA (MIFARE) ・TypeB、これらとの上位互換性をもつNFCに対応している。
本体及びドライバの他に、以下の各ソフトウェアが同梱されており、必要に応じインストールすることができる。
- Edy Viewer
- SFCard Viewer
- eLIO D-URL
- スクリーンセーバーロック
- 簡単登録
- FeliCa ツールバー
- FeliCa Portal for Personal
同様の機能をもつ製品として、アイ・オー・データ機器より「ぴタッチ」が2008年5月に発売された。こちらはFeliCaに加えMIFAREのアクセスも可能であるが、対応するサービスはPaSoRiと比べて少ない。製品は、2011年1月に生産を終了した。
使用法・利点
通常、カード型の FeliCa で残額や使用履歴を確認するには、専用機器のある場所(駅やコンビニなど)まで赴く必要があるが、本機器を用いることで、自宅や事務所のパソコンでもこれを確認することが可能となる。
さらに 楽天Edy・Suica・WAON・nanacoではクレジットカードを用いたチャージや、通販サイトでの決済も可能である(Suicaが相互利用および片利用が可能な各種交通系ICカードによるチャージや決済も可能)。
RC-S330型からはNFCに対応しているため住民基本台帳カードを使用したe-Tax(国税電子申告・納税システム)が利用できる。
また、おサイフケータイにおいては通常、新規登録ないしは登録情報の変更等、残額や使用履歴の確認、チャージの際にパケット通信が発生するが、本機器の場合、残額や使用履歴の確認では通信が不要である。いずれの場合にも、定額制環境でない場合には、諸手続の際に別途の通信費用が発生する場合がある。
型番
- RC-S310(旧型、生産終了)
- RC-S320(旧型、生産終了。RC-S330発売後は、その筺体色から通称 : 白パソリ)
- 2007年8月にリコールを発表。USBコネクタ部品に形状不良の樹脂部品が存在し、機器側USB端子を変形させてしまう可能性があった。2013年9月30日をもって受付を終了[1]。
- RC-S330(2009年1月21日発売。以降の製品はMIFAREのアクセスも可能になった。個人向け。RC-S370に切り替えたため生産終了。通称 : 黒パソリ。NFCに対応)
- RC-S330/S(2009年1月21日発売。法人向け。現在の主流。ただし、S320と比べてLEDランプが無い。)
- RC-S370(2010年10月13日発売)
- RC-S380(2012年10月10日発売。Windows/Linux両対応。)
- RC-S390(2013年10月7日発売。iOS機器用でBluetoothにより接続する。WindowsPCでは使用不可。)
この他、PaSoRiの名を冠していないが同等の機能をもつ法人向け製品として、USBスティックタイプのRC-S360シリーズや、組み込み用モジュール製品がある。
入手法
電気店や各種通販サイト、一部コンビニ等にて入手可能である。
また、楽天Edyを取り扱うクレジットカード会社がそのキャンペーンの一環で新規入会者に配布する例もあった。
電子マネーとチャージとの関係
「電子マネーはキャッシュレス社会を実現する」とはよく使われる表現であるが、電子マネーを利用するにあたり、現金でチャージするのであれば、それはキャッシュレスとはいえず、また「銀行に行く→現金を下ろす→チャージ→決済」となり、むしろ現金での決済に比べチャージのひと手間分が増え、小銭の処理以外には大きな利点がない。
しかし本機器により、家庭内でクレジットカードによるチャージをし、決済をすれば、銀行に行くことや現金に触れることのないまま一連の動作が終了することとなり、文字通りのキャッシュレスが実現する。
現時点では本機器によるチャージに対応しているのは楽天Edy・Suica・WAON・nanacoのみであるが、技術的には、他のFeliCaを使用した電子マネーの一部もチャージ可能である。
プリペイド型の電子マネーにチャージが可能な主な手段は、他には、店頭などの端末でのチャージ、もしくはおサイフケータイでのチャージがある。パソコン等に接続してチャージできる機器はこのPaSoRiのみである。
開発環境
FeliCaポートやPaSoRiを使用したソフトウェアを開発するためには、ソニーから提供されているSDK for FeliCa/SDK for NFCまたはサードパーティーから提供されている互換性のあるSDKが必要である。SDK for FeliCa/NFC には以下のバージョンがある。
- Starter Kit : 開発・評価用の無償版SDK。
- Lite : 平文通信を利用したアプリケーションを開発できる。
- Professional : セキュリティ機能を利用したアプリケーションを開発できる。
- Enterprise : 上記機能に加え、カードの発行(フォーマット)機能を備える。
なお、SDK For FeliCaは法人向けであり個人では購入することはできない。無償で入手可能な互換SDKとしてfelicalib、libpasori、libpafe、nfcpy等が有志等により開発されている。ドライバの種類には、RC-S956とNFC Port-100があり、後者はLinux 3.13以降にも含まれている。