近距離無線通信

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テンプレート:エリアネットワーク 近距離無線通信(きんきょりむせんつうしん)は、

  • 広義には到達距離の短い無線通信を指す。
  • 狭義には近接場型の無線通信(: Near field communication)を指す言葉・訳語として用いられる。通信エリアは、数センチからおよそ1メートル程度の極短距離である。「非接触通信」とも呼ばれる。FeliCaの通信方式や、ISO/IEC 14443MIFAREの通信方式)、ISO/IEC 18092(NFC)などがある。

なお、このページ項目では主に、狭義的定義の近接場型の無線通信について解説する。

歴史

1983年 "RFID"に関する初めての特許がチャールズ・ウォルトンに与えられる。

種類

ISO/IEC 14443

13.56MHzの周波数を利用して通信を行う近接型RFIDの国際標準規格。TypeA、TypeBの2種類存在。

ISO/IEC 18092

NFC (Near Field Communication) と呼ばれる無線通信の国際規格である。十数センチの距離での小電力無線通信技術である。2003年12月に規格化された。NFC IP-1 (Interface Protocol-1)。

ソニーFeliCaを推進)とNXPセミコンダクターズ(MIFAREを推進、旧フィリップス)の共同開発によって、FeliCaISO/IEC 14443 (MIFARE) の様に、既に普及しているICカード非接触無線通信技術との下位互換性を維持している。使用周波数はMIFAREなどと同じ13.56MHzである。

それまで、日本工業規格(JIS X 6319-4)に過ぎなかったFeliCaは、このISO/IEC 18092によって、通信方式部分(NFC Type F)が国際標準化機構に認められた[1]。本来であればISO/IEC 14443 TypeCとして認められる筈だったが、サムスン電子がMIFAREと使用周波数・暗号方式の異なる市場未投入の複数の規格案を「TypeD~TypeH」として提案し、全てを国際標準として認めるよう要求したため、「規格の乱立を招くことは標準制定の主旨に反する」として標準化作業自体が頓挫し、このときは認められなかった。

ISO/IEC 15693

ISO/IEC 14443と同様に、13.56MHzの周波数を利用して通信を行うRFIDの国際標準規格。ISO/IEC 14443に比べると、若干通信可能距離が広く(10cm以下)バーコードの代わりのICタグとして小売などで普及。

ISO/IEC 21481(NFC IP-2)

2005年1月には、拡張規格であるNFC IP-2がISO/IEC 21481として国際標準規格に制定され、ISO/IEC 14443 (Type B) とISO/IEC 15693にも対応した[2]

日本では、トッパン・フォームズアイ・オー・データ機器が対応製品を開発製造している。

その他(広義定義)

  • ANTANT+ - ガーミン社傘下のカナダ企業、ダイナストリーム・イノベーションズ (Dynastream Innovations Inc.) が開発した無線センサネットワークの独自プロトコル。
  • Bluetooth(ブルートゥース、ブルーツース)
  • DECT (Digital Enhanced Cordless Telecommunications)
  • DSRC (Dedicated Short Range Communications)
  • IBeacon - iOS7で追加された近距離無線を利用した通信機能の一つ。Estimote社がBeaconセンサーを開発し、携帯端末としてはアップルのiPhone 5sに世界で初めて搭載される。転送可能範囲は約50mとNFCよりも広く、Beaconセンサーがついていない機種についてもBluetoothを介して通信を行えるのが特徴[3]
  • IrDA(アイアールディーエイ、Infrared Data Association)
  • RFID - Radio Frequency IDentification「電波による個体識別」の略。
  • TransferJet(トランスファージェット)
  • WiMedia Alliance
  • ZigBee(ジグビー)
  • Z-wave

NFCフォーラム

フィリップス、ノキア、ソニーの3社によって、2004年に設立された業界標準団体で、NFCデバイス同士の互換性のための実装仕様の策定や、プロモーション、対応デバイスの認定プログラムの運用を行っている[4]。 ISO/IEC 14443の「TYPE-A」「TYPE-B」を、それぞれNFC-A、NFC-B、FeliCaの通信技術をNFC-Fを「TYPE-F」と称している。ISO/IEC 15693は仕様には含まれていない。

NFCフォーラム仕様では以下の3つのモードをサポートする

カードエミュレーションモード 
非接触ICカードの代替となる
P2Pモード
NFCデバイス同士でのデータ通信をするモード。
リーダー/ライターモード
Type1(TOPAZ)、Type2(MIFARE Ultralight)、Type3(Felica)、Type4(ISO/IEC14443)の4つのタイプのNFCタグの読み書きができる。

さらにNFCタグの共通データフォーマットとなるNDEF(NFC Data Exchange Format)や、通信で用いるレコードタイプなどの仕様決められている。

NFC Bluetooth Handover

NFC ForumとBluetooth SIGにてBluetoothのペアリングをNFCを用いて行うBTSSP (Bluetooth Secure Simple Pairing Using NFC) という標準仕様や、Bluetoothに接続を切り替えるNFC Connection Handoverの仕様を策定している。

Android 4.1よりデータ転送にNFCおよびBluetooth、無線LANを併用した、Android Beamが搭載されている。

メリット

近距離無線通信を使用する主なメリットを以下に挙げる[5]

  • 消費者がかざすだけという簡単な動作で利用可能
  • 優しいヒューマンインターフェース
  • 応答スピードが早く時間の短縮化
  • リードタイムや工数の削減
  • 非接触のため摩耗による製品故障が少ない
  • 機器間通信機能の強化(P2P通信機能、Bluetoothハンドオーバー機能、Wi-Fiペアリング機能など)
  • ICカードの規格(FeliCaMIFARE等)に依存しないアプリケーション構築が可能
  • 異なる通信規格へ対応可能
  • コスト削減(用途・機能・コスト面から最適なICカード選定、共通インフラを利用した開発、異なる規格への対応開発など無駄な開発コストの削減)
  • セキュリティや認証の強化(磁気カードやプラスチックカード・番号表示からの移行・代替や、ICチップ内部へのアクセス)

NFCチップ製造メーカー

2013年上期現在、チップベンダは以下の9社のみである。

NFCスパイツール

NFC機器の解析は、オシロスコープを利用するのが一般的である。ただし、NFCの規格や製品の普及とともに、NFC機器の研究開発からメンテナス用途として、NFCのプロトコル解析を行うことが増えてきている。

NFCサービス/プロモーション

VISA
  • 三井住友カード Visa payWave (ミツイスミトモカード ビザペイウェーブ)[7]
コカ・コーラ
  • オーストラリアでNFCによるプロモーション[8]

脚注

関連項目

外部リンク