アッカド語
アッカド語(アッカド語 :テンプレート:Cuneiform - EME.ak.kA.Dû4 - lišānum akkadītum)は、「アッシリア・バビロニア語(Assyro-Babylonian)」とも呼ばれ、古代メソポタミアで、主にアッシリア人やカルデア人(バビロニア人)やミタンニ人に話されていた言語。当時は国際共通語でもあった。アフロ・アジア語族セム語派に分類される。現在知られているなかで最も古いセム語である。楔形文字で表記された。またシュメール語からの借用語が非常に多いのも特徴の一つである。
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時代区分・方言
アッカド語は歴史・地理的に次のように区分される:[1]
- 紀元前2500年ごろ-紀元前1950年ごろ 古アッカド語
- 紀元前1950年ごろ-紀元前1530年ごろ 古バビロニア語(南部)/古アッシリア語(北部)
- 紀元前1530年ごろ-紀元前1000年ごろ 中期バビロニア語(南部)/中期アッシリア語(北部)
- 紀元前1000年ごろ-紀元前600年ごろ 新バビロニア語(南部)/新アッシリア語(北部)
- 紀元前600年ごろ-紀元後100年ごろ 後期バビロニア語
非常に大雑把な差異としてバビロニア語では母音が連続した場合に短縮して発音されたのに対し、アッシリア語では母音が連続しても短縮せず元の形が保たれる。バビロニア語もアッシリア語も時代が下るにつれアラム語の影響を大きく受け、最終的にはアラム語に圧倒されてアッカド語は使用されなくなった。
アッカド語楔形文字
アッカド語の表記は、シュメール語のシュメール語楔形文字表記法を借用したものである。シュメール語楔形文字は、声門閉鎖音、咽頭音、強調子音を表すことができないことに加え、音節文字であったことから、そのままではセム語族のアッカド語表記には向いていなかった。そのため、アッカド語楔形文字の表記法は、表音的・表意的な表記を折衷して欠点を補った複雑な表記体系になっている。
文法
屈折語。名詞は主格・対格・属格の3つの格、単数・双数・複数の3つの数を区別するが、複数形の場合には主格、対格は同一の語形を取り、属格と分けられる。動詞は主語の人称を示す。アッカド語の動詞活用で多くの研究者がユニークな点として言及するのは、完了態と未完了態の二つがあり、時制よりも状態の方が重視されたという。定冠詞(英語のthe や、アラビア語のal [ال] に当たる)は存在しない。
多くのセム語と異なり、語順は〔主語-目的語-動詞〕というSOV型である。この語順はシュメール語の影響で生まれたものとも考えられている。
アッカド語文学
- アトラ・ハシース(紀元前18世紀)
- エヌマ・エリシュ(紀元前18世紀)
- アマルナ文書(紀元前14世紀)
- ギルガメシュ叙事詩(en:Sîn-lēqi-unninni, 紀元前13世紀)
- en:Ludlul bēl nēmeqi
脚注
- ↑ Caplice, p.5 (1980)
参考文献
- Martin Worthington: "Complete Babylonian: Teach Yourself" London 2010 ISBN 0-340-98388-4
- Caplice, Richard (1980). Introduction to Akkadian. Rome: Biblical Institute Press. (1983: ISBN 88-7653-440-7; 1988, 2002: ISBN 88-7653-566-7) (The 1980 edition is partly available online.)
- Jeremy G. Black, Andrew George, Nicholas Postgate: A Concise Dictionary of Akkadian. Harrassowitz-Verlag, Wiesbaden 2000. ISBN 3-447-04264-8
- Huehnergard, J. A Key to A Grammar of Akkadian . Harvard Semitic Studies. Eisenbrauns., (1998), ISBN 0-78850-427-4
- Huehnergard, J. A Key to A Grammar of Akkadian, 2nd ed. . Harvard Semitic Studies. Eisenbrauns., (2005), ISBN 1-57506-924-5
- Huehnergard, J. A Grammar of Akkadian. Harvard Semitic Museum Studies 45., (2000), ISBN 1-57506-905-9
- Huehnergard, J. A Grammar of Akkadian, 2nd ed.. Harvard Semitic Museum Studies 45., (2005), ISBN 978-1-57506-922-7
- Huehnergard, J. A Grammar of Akkadian, 3rd ed.. Harvard Semitic Museum Studies 45., (2011), ISBN 978-1-57506-941-8
アッカド語出土場所
関連項目
外部リンク
- Introduction to Cuneiform Script and the Akkadian language on The Open Richly Annotated Cuneiform Corpus (Oracc)
- Akkadian cuneiform on Omniglot (Writing Systems and Languages of the World)
- Wilford, John Noble (2011年6月7日). “After 90 Years, a Dictionary of an Ancient World”. The New York Times: p. 2
- Akkadian Language Samples
- A detailed introduction to Akkadian
- Assyrian grammar with chrestomathy and glossary (1921) by Samuel A B Mercer
- Akkadian-English-French Online Dictionary
- Old Babylonian Text Corpus (includes dictionary)
- The Assyrian Dictionary of the Oriental Institute of the University of Chicago (CAD)
- Old Akkadian Writing and Grammar, by I. J. Gelb, 2nd Ed. (1961)
- Glossary of Old Akkadian, by I. J. Gelb (1957)
- List of 1280 Akkadian roots, with a representative verb form for each
- Recordings of Assyriologists Reading Babylonian and Assyrian
- The Assyrian Dictionary of the Oriental Institute of the University of Chicago (CAD)