「ブラキストン線」の版間の差分
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ブラキストン線(ブラキストンせん Blakiston Line)とは、動植物の分布境界線の一つである[1]。津軽海峡を東西に横切る線であり[1]、このことから津軽海峡線(つがるかいきょうせん)ともいう。
概要
この線の提唱者はイギリスの動物学者のトーマス・ブレーキストンである。彼は日本の野鳥を研究し、そこから津軽海峡に動植物分布の境界線があるとみてこれを提唱した。また、哺乳類にもこの海峡が分布境界線になっている例が多く知られる。
この線を北限とする種はツキノワグマ、ニホンザル、ムササビ、ニホンリス、ニホンモモンガ、ライチョウ、ヤマドリ、アオゲラなどがある。逆にこの線を南限とするのがヒグマ、エゾモモンガ、エゾヤチネズミ、エゾリス、エゾシマリス、ミユビゲラ、ヤマゲラ、シマフクロウ、ギンザンマシコなどである[2]。
また、タヌキ、アカギツネ、ニホンジカ、フクロウはこの線の南北でそれぞれ固有の亜種となっている。
ただし、エゾシカとホンシュウジカはかつては別亜種と見られていたが、近年の遺伝子研究では、どちらもニホンジカの東日本型に属するとされ、地域個体群程度の差でしかないとされるようになってきている。
その他、現在でも北海道の一般家庭ではゴキブリがほとんど見かけられないことから、かつてはゴキブリもブラキストン線を境界に北海道に生息していないと言われていた。
最終氷期(約7万年~1万年前)の海面低下は最大で約130mであり、最も深い所で140mの水深がある津軽海峡では中央に大河のような水路部が残った。このため、北海道と本州の生物相が異なる結果となったと考えられている。
現況
1988年の青函トンネルの開通により、動物が歩いて津軽海峡を渡ることが可能となり、北海道と本州北部の生態系に変化があることが懸念されている[3]。事実、2007年には青森県でキタキツネの生息が確認されている[4]。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 日本の野生生物 環境省 2008年
- ↑ 山崎晴雄, 久保純子 『日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語』 講談社、2017年。ISBN 978-4-06-502000-5。
- ↑ 高橋政士(編) 『深迷怪鉄道用語辞典』 海拓舎、2001年4月、278。ISBN 4-907727-18-6。
- ↑ 第2回青森県環境審議会議事録