「プリクソス」の版間の差分
ja>月下薄氷 細 (言語ラベル追加、脚注の調整、{{要出典}}除去ほか) |
細 (1版 をインポートしました) |
(相違点なし)
|
2018/8/19/ (日) 18:37時点における最新版
プリクソス(古希: Φρίξος, Phrixos)は、ギリシア神話に登場する人物である。コルキス(現グルジア)の地に「金羊毛」をもたらした。これが後のイアーソーン率いるアルゴナウタイの物語につながる。
ボイオーティアの王アタマースとネペレーの息子で、妹にヘレーがいる[1]。2人はイクシーオーンとネペレーの子とする説もある[2]。コルキスでアイエーテースとエイデュイアの娘カルキオペーを妻とし、アルゴス、メーラス、プロンティス、キュティッソーロス[3][1]、プレスボーンが生まれた[4][5]。妻をアイエーテースの娘イオポッサとする説もある[6][7]。
神話
アタマースの後妻イーノーの企みによって、プリクソスはゼウスへの犠牲として殺されそうになるが、ネペレーがヘルメースから授かった金毛羊を連れて来たので、プリクソスはその背に乗ってヘレーとともに脱出する[1]。一説には単にネペレーが金毛羊を2人に授けた[8]、あるいはゼウスが2人に金毛羊を送った[9]。しかしヘレーは途中で海に落ちて「ヘレースポントス」(ヘレーの海)、現在のダーダネルス海峡の名前の由来となった。プリクソスはコーカサス地方のコルキスに達した。この地の王アイエーテースはプリクソスを迎え入れ、娘のカルキオペーをプリクソスの妻として与えた。プリクソスは金毛の羊をゼウスに捧げ、その皮をアイエーテースに贈った。アイエーテースは、金羊毛をアレースの杜にある樫の木に打ち付け[1]、竜に守らせた。
プリクソスはコルキスの地で死んだが[10]、アルゴスは招かれてボイオーティアに戻り、イアーソーンのためにアルゴー船を建造して、自らアルゴナウテースとなった[11]。また、キュティッソーロスは帰国後、祖父であるアタマースが生け贄とされるところ、その命を救ったとされる[12]。
ただし、異説ではプリクソスの息子のアルゴスとアルゴー船を建造したアルゴスとは別人物とされる[13]。
系図
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 アポロドーロス、1巻9・1。
- ↑ ロバート・グレーヴス、70話l。
- ↑ ロードスのアポローニオス『アルゴナウティカ』2巻1155行-1156行。
- ↑ エピメニデース断片12(『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。
- ↑ パウサニアス、9巻34・8。
- ↑ アクーシラーオス断片25(『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。
- ↑ ヘーシオドス断片193(『アルゴナウティカ』2巻1122行への古註)。
- ↑ ヒュギーヌス、3話。
- ↑ パウサニアス、9巻34・5。
- ↑ 『アルゴナウティカ』2巻1150行-1151行。
- ↑ アポロドーロス、1巻9・16。
- ↑ ヘロドドス、7巻197。
- ↑ 『アルゴナウティカ』1巻111行-114行。
参考図書
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- 『オデュッセイア/アルゴナウティカ』松平千秋・岡道男訳、講談社(1982年)
- パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年)
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
- ヘロドトス『歴史(下)』松平千秋訳、岩波文庫(1972年)
- ロバート・グレーヴス『ギリシア神話(上・下)』高杉一郎訳、紀伊國屋書店(1962年, 1973年)
- カール・ケレーニイ『ギリシアの神話 神々の時代・英雄の時代』植田兼義訳、中公文庫(1985年, 1985年)
- 『ギリシア・ローマ神話辞典』高津春繁著、岩波書店(1960年)