「代数幾何学」の版間の差分
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代数幾何学(だいすうきかがく、英: algebraic geometry)とは、多項式の零点のなすような図形を代数的手法を用いて(代数多様体として)研究する数学の一分野である。大別して、「多変数代数函数体に関する幾何学論」「射影空間上での複素多様体論」とに分けられる。前者は代数学の中の可換環論と関係が深く、後者は幾何学の中の多様体論と関係が深い。20世紀に入って外観を一新し、大きく発展した数学の分野といわれる。
ルネ・デカルトは、多項式の零点を曲線として幾何学的に扱う発想を生みだしたが、これが代数幾何学の始まりとなったといえる。例えば、x, y を実変数として "x2 + ay2 − 1" という多項式を考えると、これの零点のなす R2 の中の集合は a の正、零、負によってそれぞれ楕円、平行な2直線、双曲線になる。このように、多項式の係数と多様体の概形の関係は非常に深いものがある。
上記の例のように、代数幾何学において非常に重要な問題として「多項式の形から、多様体を分類せよ」という問題が挙げられる。曲線のような低次元の多様体の場合、分類は簡単にできると思われがちだが、低次元でも次数が高くなるとあっという間に分類が非常に複雑になる。
当然、次元が上がると更に複雑化し、4次元以上の代数多様体についてはあまり研究は進んでいない。
2次元の場合、多様体に含まれる(−1)カーブと呼ばれる曲線を除外していくことにより、特殊な物をのぞいて極小モデルと呼ばれる多様体が一意に定まるので、2次元の場合の分類問題は「極小モデルを分類せよ」という問題に帰着される。
3次元の場合も同じように極小モデルを分類していくという方針が立てられたが、3次元の場合は、その極小モデルが一意に定まるかどうかが大問題であった。 しかし、1988年森重文により3次元多様体の極小モデル存在定理が証明され、以降「森のプログラム」と呼ばれるプログラムに沿って分類が強力に推し進められている。
19世紀中期に、ベルンハルト・リーマンがアーベル関数論の中で双有理同値など代数幾何学の中心概念を生み出し、19世紀後半には、イタリアの直観的な代数幾何学が発展した(代数幾何学のイタリア学派)。20世紀前半には、アンドレ・ヴェイユ、オスカー・ザリスキによって、抽象的な代数幾何学の研究が進められ、1950年代以降はグロタンディークのスキーム論によって代数幾何学全体が大きく書き直された。
計算代数幾何学
計算代数幾何学(英:computational algebraic geometry)の始まりは1979年6月にフランスのマルセイユで開かれたEUROSAM '79(International Symposium on Symbolic and Algebraic Manipulation)を年代として推定できるかもしれない。この会議では、
- ジョージ・E.コリンズの円柱的代数的分解(CAD)が半代数的集合(英:semi-algebraic set)の位相の計算を可能にすることをデニス・アーノン(英:Dennis S. Arnon)は示した。
- ブルーノ・バッハバーガーはグレブナー基底とそれを計算する彼のアルゴリズムを提示した。
- ダニエル・ラザードは同時多項式の方程式の系を解くための新しいアルゴリズムを提示した。それは見込まれた解の数において本質的に多項式的であり、したがってその未知数の数において、単純に指数的なものである、計算複雑性による。このアルゴリズムはマッカーレイの多変数終結式と深く関係する。
以来、この分野での多くの結果はこれらのアルゴリズムのひとつを使用または証明することのどちらかによって、または未知数の数において単純に指数的な複雑性であるアルゴリズムの発見によって、それらの項目の一つないし幾つかと関係した。
記号的な方法を補完する数値代数幾何学と呼ばれる数学的な理論の本体は過去数十年にわたって発展してきた。その主な電子計算上の方法はホモトピー連続である。これは、例えば、代数幾何学の問題を解くための浮動小数点数の電子計算の或るモデルを支える。