UH-72 ラコタ
UH-72 ラコタ(UH-72 Lakota)は、ユーロコプター EC 145の軍用機版であり、EADSの子会社であるアメリカン・ユーロコプターで生産され2006年からアメリカ陸軍で運用されている軽量多目的ヘリコプターである。ラコタの愛称は、アメリカ先住民のスー族の別称に由来する。
Contents
開発
背景
アメリカ陸軍はLHX計画を1980年代初頭に開始し、2種類のヘリコプター導入を検討した。1つは、軽量多目的機(LHX-U)で強襲、近接航空支援、輸送での使用が想定された。もう一方は、軽量で哨戒/攻撃用(LHX-SCAT)としてAH-64 アパッチが開発された。軽量多目的機の概念は計画から外され、攻撃/偵察に主眼が置かれたRAH-66が開発された。
2004年、RAH-66計画が中止され、補完する計画が持ち上がった。計画には、武装偵察ヘリコプター(ARH)、軽量多目的ヘリコプター(LUH)、次世代貨物航空機が計画された。いずれも生産中の民間機を陸軍仕様に改良する計画であった。次世代貨物航空機(FCA)は、統合貨物輸送機計画(JCA)に改名されC-27Jを採用、武装偵察ヘリコプターには、ARH-70が選定候補にあがったが採用されなかった。
LUH 計画とUH-145
LUH計画は2004年初頭に立案された。未だ多数が残っているUH-1H/VやOH-58A/Cの代替として、322機が警備、輸送、医療などに使用される予定である。候補にはベル 412、MD エクスプローラー、アグスタウエストランド AW139、 EADS North America(EADS NA)の販売するユーロコプター EC 145の派生型であるUH-145を含む5機種が挙がった[1][2]。
最終的にユーロコプター EC 145を選定し、2006年6月30日にEADSとの契約が成立した。同年にアメリカ国防総省は、UH-72 ラコタと命名した。2007年に生産が始まり、アメリカ陸軍では345機の取得が予定されたが、2009年の時点で発注したUH-72Aは128機である[3]。アメリカ陸軍はその後、TH-67 クリークの後継となる練習ヘリコプターとしても運用することを決めている。さらに、OH-58Dの後継機トライアル提出仕様である武装偵察型AAS-72Xも計画されていた。
エアバス・ヘリコプターズは2017年10月9日、アメリカ陸軍に400機目のUH-72A ラコタを納入したと発表した[4]。
UH-72の元となったEC 145は、ユーロコプターと日本の川崎重工の共同開発機体であるため(川崎重工ではBK-117-C2)、UH-72の一部のコンポーネント(トランスミッションなど)は日本製である。
仕様 (UH-72A)
関連項目
脚注
- ↑ "EADS North America to Offer the UH-145 for the U.S. Army's light utility helicopter (LUH) mission", EADS North America, 24 August 2005.
- ↑ "EADS North America to Offer the UH-145 for the U.S. Army's light utility helicopter (LUH) mission", EADS North America, 24 August 2005.
- ↑ “EADS North America receives U.S. Army contract for five additional UH-72A Lakota Light Utility Helicopters” (英語). EADS. . 2009閲覧.
- ↑ “Airbus Helicopters delivers 400th UH-72A Lakota to U.S. Army” (英語). . 2017閲覧.