脳性麻痺

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脳性麻痺(のうせいまひ、: Cerebral palsy, CP)とは、受精から生後4週までの間に、何らかの原因で受けたの損傷によって引き起こされる運動機能の障害をさす症候群である。

概要

運動障害肢体不自由者の発症要因の約7割が、当症候群だとされ、遺伝子異常によるものや、生後4週以降に発症したもの、暫定的なもの、進行性のものは含まれない。

原因

周産期仮死、低体重出生、核黄疸が挙げられ、脳障害の病因発生の時期に応じて、胎生期・周産期・出生後に分けられる。

また、近年、周産期医療が急激に発展してきたことにより、その病態、原因や発生率は変化してきた。

胎生期の原因
  • 脳の発生の過程で問題が生じる脳形成異常
  • 脳出血
  • 虚血性脳障害
周産期の原因
  • 胎児仮死
  • 新生児仮死
  • 核黄疸
  • 脳室周囲白質軟化症(PVL)
出生後の原因

対策

日本においては日本医療機能評価機構が実施する産科医療補償制度により分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児に対する補償と原因分析をし将来の再発防止を行う制度がある。

分類

損傷部位によって、以下の4タイプに分類される。

アテトーゼ
大脳の運動神経系、錐体外路の大脳基底核が損傷されたケースで不随意運動を特徴とする。
  • 特徴1 - 不随意運動がある。筋緊張の変動があり、一定の姿勢の保持や運動範囲のコントロールが困難。
  • 特徴2 - 純粋のタイプでは 腱反射の亢進やバビンスキー反射など錐体路系の障害による病的反射は出現しない。原始反射姿勢反射の消失異常あり。
  • 特徴3 - 障害の程度にもよるが、一般的に関節拘縮は起こらない。しかし、筋緊張の亢進したタイプでは、筋緊張から痙直型と同じような拘縮が起る場合がある。
  • 特徴4 - 顔面の不随意運動による言語障害が著明。発語、発声の運動障害・筋緊張の過度な動揺による運動の不安定性・協調性の困難さあり。
  • さらにこれによる、咀嚼(そしゃく/かみつぶす)嚥下(えんげ/のみこむ)障害及び流涎(りゅうぜん/よだれをながす)が比較的軽症の場合でも多く出現する。
  • 特徴5 - 知的発達は正常を保たれることが多い。痙直型に比べると知的発達の遅れは少ない。
    • 特徴5' - 知的発達が正常である場合、本人の意欲と身体的運動能力が一致せず、身体が思い通りに動かないことに欲求不満を抱えがちである。
  • 特徴6 - 感音性難聴を合併することも少なくない。
失調型
小脳もしくはその伝導路が損傷されたケースで四肢麻痺、震顫(しんせん/ふるえ)、バランスの悪さ、運動コントロールの不安定性、抑揚に乏しい単調なゆっくりとした話し方などを特徴とする。
痙直型
大脳の運動神経系の錐体路系が損傷されたケースで、四肢の筋緊張の亢進を特徴とし、折りたたみナイフ現象が見られる。障害が現れる部位によって片麻痺対麻痺、四肢麻痺、両麻痺などに分類される。視覚・認知障害、斜視を合併することが多い。
固縮型
錐体路、錐体外路ともに障害があり、四肢麻痺が出現する。強固且つ持続的な筋緊張のため、関節の動きは歯車様となる。
混合型
痙直型とアテトーゼ型の症状を併せ持つケースなど同時に二つ以上のタイプが混合している状態を指す。

昔は、「アテトーゼ型」も多かったが、医療技術の進歩により、低出生体重児の生存が可能になったこともあり、「痙直型」が主体である。なお、アテトーゼ型では核黄疸、周生期仮死が原因であることが多い。 なお、「アテトーゼ型」は一時期、光線療法など核黄疸の治療技術の進歩によって減少したが、1990年代以降、低出生体重児の中に低ビリルビン血症や、脳室内(脳内)の出血によりこのタイプを呈するケースが現れ、再び増加の傾向にある。

運動障害の範囲による分類 単麻痺:四肢のうちどこか一肢のみが冒されたもの。 片麻痺:左右どちらかの片側の上下肢が冒されたもの。 対麻痺:両下肢のみ冒されたもの。 両麻痺:四肢すべてに障害があり、上肢の障害が比較的軽いもの。通常は痙直型に出現する 首のすわりや言語・上肢機能が比較的良い場合が多い。 四肢麻痺:四肢すべてに障害があり比較的重度のもの。各タイプに出現する。アテトーゼ型四肢麻痺では上肢より下肢の障害が軽いケースも少なくない。

合併症

著名人

関連項目

  • ボッチャ - 主に当疾患の患者向けに考案されたと言われるスポーツ。
  • GMFCS - 重症度の分類。
  • 全国青い芝の会 - 日本における当疾患の障害者団体。

外部リンク