社会的厚生関数

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social welfare function

社会全体の資源配分の効率性,すなわち社会全体の経済的厚生を評価する際の関数。個々人の効用を測定できて個人間の効用を比較できるときには,ある資源配分に対する経済的厚生は,その資源配分から得られる個々人の効用を合計すればよい。ところが,効用の基数性と個人間の効用比較を排除すると,異なる個人の効用を単純に合計できない。そこでそれらを排除した新厚生経済学においてはパレート最適という厚生基準が導入されたが,異なるパレート効率的な配分を比較できない。

これらを比較するためにアブラム・バーグソンによって社会的厚生関数が初めて導入され,ポール・A.サミュエルソンによって展開された。ただし「一般不可能性定理」として社会的厚生関数を社会の構成員の個人的判断から構成するような民主主義的な社会的集計のルールは存在しないことがケネス・J.アローによって指摘された。