異教徒

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異教徒(いきょうと、古代ギリシア語: ἔθνοςラテン語: paganus英語: pagan)とは、自己の奉ずる宗教とは異なる宗教を信じる人。ユダヤ教原始キリスト教の書物(それぞれユダヤ教聖書旧約聖書新約聖書)の日本語訳では「異邦人」(ヘブライ語ゴイギリシャ語エトネーラテン語: gentilis英語: Gentile = ジェンタイル、中国語: 外邦人)としている。 [1] [2] キリスト教が広まるにつれてキリスト教以外の宗教を信じる人となり、しばしば無神論者を指すこともある。

ユダヤ教

ヘブライ語聖書を正典とするユダヤ教においては、選民としてのユダヤ人とそれ以外の異邦人に分割されたとする選民思想はよく知られている[3]

キリスト教

キリスト教においては、イエス・キリストを信じる者は、神の民、クリスチャンと認められるようになったと信じられている。

Οἴδατε ὅτι ὅτε ἔθνη ἦτε πρὸς τὰ εἴδωλα τὰ ἄφωνα ὡς ἂν ἤγεσθε ἀπαγόμενοι.
「あなたがたがまだ異教徒だったころ、誘われるままに、ものの言えない偶像のもとに連れて行かれたことを覚えているでしょう。」

— 第一コリント12:2、新共同訳聖書

教父アウグスティヌスは『神の国』で、異教徒たちからの非難にこたえて、ローマの没落の原因はキリスト教ではなく、異教徒たちの罪、偶像崇拝、不道徳にあると述べて、キリスト教を弁証した。[4][5]

ジャン・カルヴァンは『キリスト教綱要』第一篇10章で「聖書は、いっさいの迷信を矯正するために、真の神ひとりを、異教徒の神々に独占的に対立させている」と述べている[6]。「北のはてなるこおりの山」は異教徒に対する世界宣教讃美歌として知られる[7][8]

福音派の信じる聖書の教理によれば、十字架の福音は、人をクリスチャンとノンクリスチャンの二種類のグループに分けるのであり、異教徒とノンクリスチャンは同義である[9][10][11][12][13]改革派教会の神学においては、「罪のない異教徒」の存在は否定される[14][15]

異教徒である日本の天皇について日本の西方教会で議論となっている[16][17]。異教の儀式である大嘗祭についてはカトリック教会とプロテスタント教会から反対の声明が出ている[18]

他方、日本正教会は天皇の祭祀関連の問題も含めて、組織としては一切の政治的運動を行っておらず[19]、ただ「我が国の天皇及び国を司る者」の為に祈っている[20][21]

イスラム教

初期のイスラム教ユダヤ教徒キリスト教徒らを同じ啓典の民として認め、人頭税を免除していた。ただし、イスラム教と同じ権利を与えられたわけではなく、兵役義務がかせられており、またイスラム男性がキリスト教徒、ユダヤ教徒と結婚する権利があったが、キリスト教、ユダヤ教側にはなかった。

ラテン語

異教徒の語源であるラテン語paganusには本来ユダヤ教は含まず、ギリシアローマ的な偶像崇拝多神教徒を意味する言葉である。その為、古代末期以前までにおけるユダヤ教、原始キリスト教に関連する文脈では異教徒とは特にユダヤ・キリスト教以外の、それまで古代世界各地に散在した諸信仰およびそれらを元にインテルプレタテオ・ロマーナ(interpretatio Romana ≒ ローマ的解釈による信仰の統合)によって成立したローマ的多神教を意味する。その後、キリスト教が古代地中海世界において支配的地位を占める様になると、次第に単純に「キリスト教以外」を意味する事が多くなる。

脚注

  1. 異邦人(いほうじん) (キリスト教用語辞典)
  2. 異邦人 ユダヤ人の悲劇 (西洋の故事名言ものしり辞典)
  3. 黒川知文『ユダヤ人迫害史』教文館
  4. 中山昌樹『聖アウグスティヌス伝及神の国』新生堂
  5. 岩下壮一『アウグスチヌス-神の国』大思想文庫
  6. ジャン・カルヴァンキリスト教綱要改革派教会,渡辺信夫
  7. ケリー博士の宣教師の教訓ロバート・ハイマース
  8. FROM GREENLAND’S ICY MOUNTAINS
  9. the gospel divides people into two groups,
  10. マーティン・ロイドジョンズ『山上の説教』下巻 p.194 1972年 Studies in the Sermon on the Mount by Martyn Lloyd-Jones p.396 1984年 ISBN 080280036X
  11. 尾山令仁『ローマ教会への手紙』「二種類の人間」(ローマ6:23)
  12. マーティン・ロイドジョンズ『キリスト者の戦い』いのちのことば社
  13. ヘンリー・シーセン『組織神学』聖書図書刊行会
  14. ウィリアム・ヘンドリクセン『死後と終末』つのぶえ社
  15. ローレン・ベットナー『不死』新教出版社
  16. キリスト教と天皇(制)』マルコーシュ・パブリケーション
  17. 『日本宣教と天皇制』いのちのことば社
  18. 『キリスト新聞で読む戦後キリスト教史』
  19. 現在では著名な政治家は居ないが、過去には大井憲太郎昇曙夢などの政治家もしくは政治運動に関わった者がおり、個人としての政治活動までは正教会でも禁じていない。
  20. 信仰生活日本正教会公式サイト)
  21. 教会なんでも質問箱(名古屋ハリストス正教会)

参考文献

参照項目

関連文献