塩素酸カリウム
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塩素酸カリウム(えんそさんカリウム、potassium chlorate)は化学式 KClO3 と表される、カリウムの塩素酸塩。塩剥(えんぼつ、えんぽつ)ともいう。CAS登録番号は [3811-04-9]。1786年に、パートレットにより合成された。
性質
- 密度 2.326 g/cm3、融点は 356 ℃ で、無色の光沢をもつ単斜板状結晶[1]。
- 吸湿性はない。
- 水に溶けアルコールにもいくぶん溶ける。
- 中性およびアルカリ性溶液では酸化作用を示すことは少ない(水溶液は基本的には中性)が、酸性にすると強い酸化剤となる。その標準酸化還元電位は以下の通りである。
- <ce>ClO3^-(aq)\ + 6H^+(aq)\ + 6 \mathit{e}^- = Cl^-(aq)\ + 3 H2O , </ce>[math]E^\circ = 1.45 \rm{V}[/math]
生成方法
塩化カリウム水溶液を熱時電解してつくられる。熱すると 400 ℃で分解して過塩素酸カリウムと塩化カリウムになる。
- <ce>
4KClO3 -> 3KClO4\ + KCl </ce>
さらに加熱すれば、酸素を放ってすべてが塩化カリウムとなる。この反応は金属酸化物、とくに二酸化マンガン MnO2 を加えると促進され、70 ℃ ぐらいで酸素を発生しはじめるので、実験室などで酸素を得るために利用される。ただし、有機物・硫黄・炭素などが混ざると爆発することがあるので、注意を要する。
用途
酸化剤としてマッチ・花火・爆弾などの原料となり、漂白剤・染料・医薬品などの製造にも用いられる。長期間保存したものは亜塩素酸カリウムを含み、乾燥状態では有機物・リン・硫黄などの可燃性物質と接触しただけでも爆発することがある。また新しいものでも摩擦・衝撃などに鋭敏で、爆発事故をおこしやすく、濃硫酸・濃硝酸に触れても爆発しやすい。混合爆薬として用いられることもある。
規制
GHSにおける酸化性固体(区分2)に該当し、各国で貯蔵や運搬に規制がある(国連番号1485)。日本では船舶安全法や航空法によってGHSに基づく規制があり、また消防法に基づく危険物第1類に指定されている。日本国内では毒物及び劇物取締法に基づき劇物に指定されている(昭和40年政令第2号)が、急性毒性や刺激性は他の劇物ほど高くない。
参考文献
- ↑ 『化学大辞典』 共立出版、1993年