十二湖
十二湖(じゅうにこ)は、青森県西津軽郡深浦町にある複数の湖の総称である。白神山地の一角で、津軽国定公園内にある。
概要
十二湖を構成するこれらの湖は、1704年の能代地震による崩山(くずれやま、標高939.9m)の崩壊で塞き止められた川から形成されたのではないかと推定されている。十二湖という名称は広大なブナの森に点在する33の湖沼が、「大崩(標高694m)から見ると湖沼数が12に見える」ということに由来するとも言われているが、詳しくは分かっていない。ただし、偶然にも面積が10,000m2を超える湖沼数は12となっている。近隣にはブナ林が密集し、それらの水分の含有量が多いため、自然の造った水桶あるいはダムのようであり、しかも自然の浄化装置を持つとでも表現できるほどの水質の良い水が各所で湧き出している。海抜約250m付近の台地に点在する湖の総数は約30あり(以下の表を参照)[1]、それぞれ透明度は高い。
大正6年発行の陸軍測量部、5万分の1の地形図には、この地方の特に越口の池周辺を「七ツ池」と記している。現在はこの名称は使用されていない。大町桂月は、十二湖を訪れ「山の中 三十三湖 紅葉かな」という句を詠んだ。実際の十二湖の湖の数は33ほどあるので、三十三湖とも言われている。また、大崩から見た湖沼数は実際には12以上あるとも言われている。しかし、偶然か面積1町歩以上の湖沼数が12ほどある。
大正11年11月7日から8日、大町桂月はこの地を訪れ、「日暮し山の眺望、湖畔群の幽闇、紅葉の残照など十二湖は天下の奇観である。他日、必ず天下にその名を知られるであろう」と称えた。昭和28年、十二湖は県立公園に指定された。
なお、十二湖より北に十三湖があるが、こちらの名前の由来はアイヌ語がもととなった「十三湊」(諸説あり)であり、これらの名称に直接の関連はない。十三湖と区別するために、松神十二湖や津軽十二湖とも言う。
湖沼の名 | ふりがな | 面積(m2) | 深度(m) | 平均深度(m) | |
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1 | 青池 | あおいけ | 975 | 9.0 | 5.0 |
2 | 鶏頭場の池 | けとばのいけ | 41,150 | 21.9 | 10.0 |
3 | がま池 | がまいけ | 200 | - | - |
4 | 沸壷の池 | わきつぼのいけ | 575 | 3.1 | 1.9 |
5 | 落口の池 | おちくちのいけ | 27,200 | 20.3 | 9.8 |
6 | 中の池 | なかのいけ | 13,050 | 14.4 | 7.7 |
7 | 越口の池 | こしぐちのいけ | 47,450 | 23.3 | 14.2 |
8 | 王池 | おういけ | 53,500 | 24.0 | 10.8 |
8-1 | (東湖盆) | ひがしこぼん | (39,200) | 24.0 | 12.1 |
8-2 | (西湖盆) | にしこぼん | (14,300) | 13.0 | 7.5 |
9 | 二ツ目の池 | ふたつめのいけ | 5,950 | 8.0 | 5.2 |
10 | 八景の池 | はっけいのいけ | 11,500 | 12.8 | 4.0 |
11 | 仲道の池 | なかみちのいけ | 1,950 | 1.8 | 1.2 |
12 | 八光の池 | はっこうのいけ | 575 | - | - |
13 | 日暮の池 | ひぐらしのいけ | 11,050 | 15.9 | 6.9 |
14 | 小夜の池 | さよのいけ | 752 | - | - |
15 | 影坂の池 | かげさかのいけ | 2,500 | 3.8 | 2.1 |
16 | 長池 | ながいけ | 9,800 | 7.6 | 2.5 |
17 | 四五郎の池 | しごろうのいけ | 3,500 | - | - |
18 | 子宝の池 | こだからのいけ | 300 | - | - |
19 | 埋釜の池 | いかりがまのいけ | 1,400 | 5 | 2.4 |
20 | 道芝の池 | みちしばのいけ | 1,300 | - | - |
21 | 石穀の池 | いしこくのいけ | 300 | - | - |
22 | 萱原の池 | かやはらのいけ | 1,000 | - | - |
23 | 金山の池 | かなやまのいけ | 33,100 | 15.5 | 6.9 |
24 | 糸畑の池 | いとばたけのいけ | 29,850 | 17.0 | 7.8 |
25 | 三蔵の池 | さんぞうのいけ | 325 | 4.7 | 3.5 |
26 | 牛蒡の池 | ごぼうのいけ | 8,550 | 10.5 | 4.3 |
27 | 千鳥の池 | ちどりのいけ | 2,000 | 7.6 | 3.1 |
28 | 面子坂の池 | めんこざかのいけ | 30,500 | 15.5 | 7.7 |
29 | 濁池 | にごりいけ | 20,900 | 5.6 | 3.6 |
30 | 大池 | だいいけ、おおいけ | 91,350 | 27.3 | 12.9 |
30-1 | (東湖盆) | ひがしこぼん | (27,200) | 9.1 | 5.3 |
30-2 | (西湖盆) | にしこぼん | (64,150) | 27.3 | 14.9 |
31 | 破池 | やぶれいけ | 6,000 | 6.7 | 3.7 |
- | 計 | - | 313,702 | - | - |
アクセス
脚注
- ↑ 王池は王池東湖・王池西湖、大池は大池東湖・大池西湖からなる。王池・大池をそれぞれ1つの湖とみなせば総数は31、2つの湖と数えれば総数は33である。--深浦町 十二湖マップ
関連項目
外部リンク
- 深浦町 十二湖 INFORMATION
- 今村明恒 「西津輕十二湖の成因」『地質學雜誌』42(507), 820-821, 1935-12 日本地質学会
- CiNii検索「十二湖」