フェルナンド・エイバッド
フェルナンド・アントニオ・エイバッド (Fernando Antonio Abad, 1985年12月17日 - ) は、ドミニカ共和国ラ・ロマーナ州ラ・ロマーナ出身のプロ野球選手 (投手) [1]。左投左打[1]。2018年現在は、独立リーグ・アトランティックリーグのロングアイランド・ダックスに所属。
愛称はナンディット[2]。日本ではフェルナンド・アバッドと表記される傾向にある[3][4]。
Contents
経歴
プロ入りとアストロズ時代
2002年12月12日にヒューストン・アストロズと契約[1]。
2006年までは、メジャー・マイナーともに登板機会がなかった[1][5]。同年は、ルーキー級のドミニカン・サマーリーグで15試合に登板、うち11試合で先発を務め、防御率1.32・5勝2敗・WHIP0.93という成績を記録した[5]。
2007年は、引き続きルーキー級のアパラチアンリーグのグリーンビル・アストロズと、A-級のトリシティ・バレーキャッツでプレー[5]。合計で19試合 (うち4試合が先発登板) に登板し、53.0イニングを投げたが、防御率4.25・WHIP1.19等の数字は、前年に比べると悪化した[5]。
2008年は、A級のレキシントン・レジェンズで、全てリリーフとしてチーム最多の45試合に登板し、防御率3.30・WHIP1.19を記録したが、2勝7敗と負け越した[6]。
2009年は、A+級のランカスター・ジェットホークスで、41試合・82.2イニングにリリーフ登板し、防御率4.14を記録[5]。与四球が8だった為、チームの平均WHIP1.61に対して、エイバッドはWHIP1.04だった[7]。また、AA級のコーパスクリスティ・フックスに昇格し、先発として3試合に登板して防御率3.21・WHIP1.07を記録した[5]。うち9月2日のフリスコ・ラフライダーズ戦では、6.0イニングを被安打1・与四球1・無失点に抑えるピッチングを見せた[8]。
2010年は、AA級のコーパスクリスティで先発として4試合に登板し、全試合で5.0イニング以上を投げたが、勝ち星はつかなかった[9][10][11][12]。その後はリリーフに回り、7月には登板した4試合で連続して勝利投手となった時期もあった[13]。
同年メジャーへ昇格し、7月28日のシカゴ・カブス戦でメジャー初登板を果たした[1]。8対1とリードした9回表にマウンドに登り、先頭打者の福留孝介に死球を与えるなど、1アウト一・二塁のピンチを招いたが、最後は1回無失点に抑えて試合を締めくくった[14]。その後、一時期AAA級ラウンドロック・エクスプレスに降格した[5]が、8月20日のフロリダ・マーリンズ戦でメジャー復帰した[15]。この試合では0対7とリードされた8回裏に登板し、5番打者のジャンカルロ・スタントンから初奪三振を記録したが、続くコディ・ロスとヘクター・ルナに連続本塁打を浴び、初被本塁打と発失点も記録した[16]。続く8月24日のフィラデルフィア・フィリーズ戦からは8試合連続で無失点[5]、9月以降はチームが戦った30試合中17試合に登板して6ホールドを記録した[3]。シーズントータルでは、22試合の登板で防御率2.84・WHIP1.00という成績だった[1]。ちなみに、同年のマイナーでの成績は、コーパスクリスティとラウンドロックで計19試合に登板し、防御率2.35・4勝3敗・WHIP1.33だった[5]。
2011年は、開幕ロースター入りを果たした[17]。同年は失点を喫するケースが重なり、5月16日のアトランタ・ブレーブス戦で4敗目を喫した[18]。その後、AAA級のオクラホマシティ・レッドホークスへと降格し[5]、6月16日のピッツバーグ・パイレーツ戦でメジャー復帰を果たした[18]。しかし、7月2日のボストン・レッドソックス戦で1.0イニングを4安打1本塁打4失点と打ち込まれて防御率7.32となり、これが同年のメジャー最終登板となった[18]。同年のメジャー成績は、29試合のリリーフ登板で防御率7.32・1勝4敗・WHIP1.88・FIP6.33だった[1]。
2012年は、アストロズとAAA級オクラホマシティの間で、昇格と降格を繰り返した[19]。この年も専らリリーフとして登板していたが、8月にはメジャーで自身初の先発登板を果たした[20]。この時期、8月25日から9月24日にかけて6試合に先発登板したが、5.0回を投げ切ったのは1試合だけ、且つ全ての試合で敗戦投手となった[20]。同年、メジャーでは37試合の登板で、防御率5.09・0勝6敗・WHIP1.65だった[1]。オフの11月1日にFAとなった[1]。
ナショナルズ時代
2012年11月19日にワシントン・ナショナルズとマイナー契約を結んだ[21][1]。
2013年は、AAA級のシラキュース・チーフスで、5月にかけて17試合・17.0イニングに登板し、防御率1.06・WHIP1.12を記録[5]。5月25日のフィラデルフィア・フィリーズ戦でシーズン初登板を果たすと、10試合連続で無失点に抑え、7月終了時点では26試合・24.1イニングで防御率1.48を記録していた。[22]。その後は失点が増えた[22]が、シーズン全体では自己最多 (当時) の39試合に登板し、防御率3.35・WHIP1.38と、過去2年と比べると成績が改善された[1]。
アスレチックス時代
2013年11月25日に、ジョン・ウッテンとのトレードで、オークランド・アスレチックスに移籍した[23]。
2014年は、3月31日の開幕戦で登板して無失点に抑えると、そこから14試合連続無失点を記録し、その間は13.1イニングで被安打2・被打率.047・15奪三振だった[24]。5月から6月にかけては防御率が2.00を超えた時期があったが、その後は失点が減り、7月から9月にかけては18試合連続無失点も記録した[24]。最終的に、この年は69試合にリリーフ登板し、チームのリリーフ陣ではトップとなる防御率1.57をマーク[25]。ピンチに強いリリーバーとして、ブレークした[26]。
2015年は、2年連続60試合以上となる62試合にリリーフ登板し、通算250試合登板に達した[1]。この年は47.2イニングで11本のホームランを浴びて防御率4.15と、前年より成績が落ちた[1]。シーズンオフの11月20日にDFAとなり[27]、12月3日にFAとなった[1]。
ツインズ時代
2015年12月17日にミネソタ・ツインズと契約を結び[1]、2016年のスプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[28]。ツインズでは39試合にリリーフ登板し、防御率2.65・1勝4敗1セーブ・WHIP1.21という成績を記録、セーブを挙げたのはメジャー初だった[1]。
レッドソックス時代
2016年8月1日に、パット・ライトとのトレードで、ボストン・レッドソックスへ移籍した[29]。レッドソックス加入後は18試合に登板したが、防御率6.39・WHIP1.66とツインズ時代よりも成績が悪化、2チーム計では57試合の登板で防御率3.66・1勝6敗1セーブ・WHIP1.33を記録した[1]。
2017年、開幕前の2月8日に指名投手枠で第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のドミニカ共和国代表に選出された[30]後、代表に合流した[31]。シーズンでは48試合に登板し、これはここ4シーズンで最少だったものの、防御率3.30・WHIP1.24は、いずれも同4シーズンで上から2番目に良い成績だった[1]。オフの11月2日にフリーエージェント(FA)となった[32]。
レッドソックス退団後
2018年2月17日にフィラデルフィア・フィリーズとマイナー契約を結ぶが、スプリングトレーニングで解雇となる。8月3日に独立リーグ・アトランティックリーグのロングアイランド・ダックスと契約。
選手としての特徴
持ち球は、140キロ台半ばから150キロ前後のツーシーム、フォーシーム、120キロ台のナックルカーブ、チェンジアップがあり[26][33]、ナックルカーブは空振りを奪える武器である[26]。60mph(約96.5km/h)台のイーファスピッチも交えることで知られる[34]。
詳細情報
年度別投手成績[1][19]
2010 | HOU | 22 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 6 | .000 | 76 | 19.0 | 14 | 3 | 5 | 0 | 0 | 12 | 0 | 0 | 6 | 6 | 2.84 | 1.00 |
2011 | 29 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0 | 7 | .200 | 99 | 19.2 | 28 | 5 | 9 | 0 | 1 | 15 | 0 | 0 | 18 | 16 | 7.32 | 1.88 | |
2012 | 37 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | 3 | .000 | 208 | 46.0 | 57 | 6 | 19 | 1 | 3 | 38 | 4 | 0 | 27 | 26 | 5.09 | 1.65 | |
2013 | WSN | 39 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | .000 | 166 | 37.2 | 42 | 3 | 10 | 0 | 1 | 32 | 0 | 0 | 14 | 14 | 3.35 | 1.38 |
2014 | OAK | 69 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 4 | 0 | 9 | .333 | 216 | 57.1 | 34 | 4 | 15 | 3 | 4 | 51 | 0 | 0 | 11 | 10 | 1.57 | 0.86 |
2015 | 62 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0 | 1 | .500 | 205 | 47.2 | 45 | 11 | 19 | 3 | 1 | 45 | 4 | 0 | 23 | 22 | 4.15 | 1.34 | |
2016 | MIN | 39 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 1 | 6 | .200 | 138 | 34.0 | 27 | 2 | 14 | 2 | 0 | 29 | 0 | 1 | 11 | 10 | 2.65 | 1.21 |
BOS | 18 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | .000 | 60 | 12.2 | 13 | 2 | 8 | 0 | 1 | 12 | 1 | 0 | 9 | 9 | 6.39 | 1.66 | |
'16計 | 57 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 1 | 8 | .143 | 198 | 46.2 | 40 | 4 | 22 | 2 | 1 | 41 | 1 | 1 | 20 | 19 | 3.66 | 1.33 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017 | 48 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 1 | 2 | .667 | 182 | 43.2 | 40 | 4 | 14 | 1 | 1 | 37 | 0 | 1 | 18 | 16 | 3.30 | 1.24 | |
MLB:8年 | 363 | 6 | 0 | 0 | 0 | 8 | 27 | 2 | 38 | .229 | 1350 | 317.2 | 300 | 40 | 113 | 10 | 12 | 271 | 9 | 2 | 137 | 129 | 3.65 | 1.30 |
- 2017年度シーズン終了時
背番号[1]
- 58 (2010年 - 2013年、2016年 - 同年途中)
- 56 (2014年 - 2015年)
- 43 (2016年途中 - 2017年)
代表歴
脚注
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 1.16 1.17 1.18 1.19 引用エラー: 無効な
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タグです。 「br-fernandoabad
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ Ian Browne (2017年8月24日). “Red Sox Players Weekend nicknames explained” (英語). MLB.com. . 2017-9-6閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 『月刊スラッガー』2011年2月号、日本スポーツ企画出版社、2011年2月24日、 64頁、 雑誌 15509-2。
- ↑ 『月刊スラッガー』2011年4月号、日本スポーツ企画出版社、2011年4月24日、 52頁、 雑誌 15509-4。
- ↑ 5.00 5.01 5.02 5.03 5.04 5.05 5.06 5.07 5.08 5.09 5.10 Fernando Abad Minor Stats - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
- ↑ 2008 Lexington Legends Statistics - Team Pitching - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
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- ↑ Corpus Christi vs. Frisco - September 2, 2009 - MiLB.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
- ↑ Corpus Christi vs. Tulsa - April 10, 2010 - MiLB.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
- ↑ NW Arkansas vs. Corpus Christi - April 18, 2010 - MiLB.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
- ↑ Corpus Christi vs. Frisco April 23, 2010 - MiLB.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
- ↑ Midland vs. Corpus Christi - MiLB.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
- ↑ Corpus Christi Hooks Game-by-game Results 2010 - MiLB.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
- ↑ CHC vs. HOU July 28, 2010 - Play by Play - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
- ↑ Fernando Abad 2010 Pitching Gamelogs - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
- ↑ HOU vs. FLA August 20, 2010 - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
- ↑ 引用エラー: 無効な
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タグです。 「senshumeikan2011
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 18.0 18.1 18.2 Fernando Abad 2011 Pitching Gamelogs - Baseball-Reference.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
- ↑ 19.0 19.1 Fernando Abad Stats, Fantasy & News - MLB.com (英語) . 2017年10月7日閲覧。
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- ↑ 26.0 26.1 26.2 引用エラー: 無効な
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タグです。 「senshumeikan2015
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ “A's add Rich Hill, designate A.J. Griffin, Abad, Gentry” (英語). SFGate (Hearst Communications Inc.). (2015年11月20日) . 2015閲覧.
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- ↑ 30.0 30.1 引用エラー: 無効な
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タグです。 「web1
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ Ian Browne (2017年3月4日). “Abad leaves camp to join DR for WBC '17” (英語). MLB.com. . 2017-10-7閲覧.
- ↑ Key free agents for all 30 MLB teams MLB.com (英語) (2017年11月5日) 2017年12月30日閲覧
- ↑ 引用エラー: 無効な
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タグです。 「senshumeikan2017
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ Full-Count (2017年7月3日). “「外角を浮遊」する決め球!? 救援左腕の“遅すぎる魔球”に強打者が見逃し三振”. Full-Count. . 2017-7-3閲覧.
関連項目
外部リンク
- Fernando Abad Stats MiLB.com (英語)