フェラーリ・SF15-T
テンプレート:レーシングカー フェラーリ SF15-T (Ferrari SF15-T) は、スクーデリア・フェラーリが2015年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。
Contents
概要
前年型との最大の違いはパワーユニットにあり[1]、空力を優先した構造を一新し、パワーと信頼性を重視した物となった[2]。この年のレギュレーション変更により、マシンのデザインは「ショートノーズ派」と「ロングノーズ派」に二分されたが、フェラーリの選択は「ロングノーズ」だった[3]。前年同様に前後ともサスペンションはプルロッドが採用されている。2015年シーズンに3勝を記録し、3勝目のシンガポールGPではポール・トゥ・ウィンを成し遂げた。チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネは「新体制の効果」だとしたが、前年までフェラーリに在籍し、チーフデザイナーだったニコラス・トンバジスは「今季のフェラーリF1カー (SF15-T) は自分の作品だ」と主張し、暗にフェラーリ首脳を批判した[4]。マウリツィオ・アリバベーネによるとニコラス・トンバジスら旧技術陣の離脱が決まった後にチーフデザイナーのシモーネ・レスタとロリー・バーンにドライバーのキミ・ライコネンに合った重量バランスがフロント寄りのマシンへの改良を指示し、それを開幕までに達成できた事が躍進につながったと述べている[5]。
2015年シーズン
開幕前のヘレステストではさっそく新パワーユニットの効果が表れ、シーズンへの期待が高まった[6]、チーム代表のアリバベーネは「2勝が目標」と語っていた[7]。開幕戦では信頼性を重視した仕様のパワーユニットだったが[8]、ベッテルが3位に入る。第2戦マレーシアGPではベッテルが移籍後初勝利を飾る。序盤戦はベッテルが表彰台に上がり続け、第10戦ハンガリーGPで2勝目をあげる。続くベルギーGPはフェラーリにとって900戦目の記念すべきレースだったが決勝ではレース終盤3位走行中のベッテル車のタイヤがバースト、リタイヤするが12位完走扱いとなる[9]。第13戦シンガポールGPでは2015年唯一のポールポジションを獲得し[10]、レースでも3勝目を飾る。しかし、第15戦ロシアGPでライコネンが8位に終わった結果メルセデスAMGチームのコンストラクターズタイトル獲得が決まるとその後はやや安定を欠き、ベッテルはエンジン交換ペナルティーで予選13位だった第16戦US GPでも決勝で3位に入るが、第17戦メキシコGPでは2台ともリタイヤだった。総じてベッテルが常に表彰台圏内を争ったのに対し、ライコネンは予選においてトラブルやペナルティーで後れを取ることがあり、安定性を欠いていた。ライコネンはマレーシアGPではコンディションを読み間違い予選11位、オーストリアGPではチームとのコミュニケーションのミスで予選14位、ベルギーGPではトラブルで予選16位、US GPではエンジン交換で予選18位 (タイムは8位) 、メキシコGPではギヤボックス交換により予選18位 (タイムは15位) と苦しいシーズンを送ったのだった。
スペック
シャーシ
- シャーシ名:SF15-T
- シャーシ構造:カーボンファイバー/ハニカムコンポジット構造
- ギアボックス:フェラーリ製 縦置き セミオートマチック・シーケンシャル電子制御(クイックシフト) 8速+リバース1速
- ブレーキキャリパー:ブレンボ
- ブレーキディスク・パッド:ブレンボ ベンチレーテッド式カーボンファイバーディスクブレーキ
- サスペンション:前後独立懸架 プルロッド式トーションスプリング
- ホイール:O・Z 13インチ
- 重量:702kg(冷却水・潤滑油・ドライバーを含む)
- タイヤ:ピレリ P-Zero
エンジン
- エンジン名:フェラーリ 059/4
- 気筒数・角度:V型6気筒・90度
- 排気量:1,600cc
- 最高回転数:15,000rpm(レギュレーションで規定)
- シリンダーブロック:砂型鋳造アルミニウム製
- ターボ:シングル
- バルブ数:24
- バルブ駆動:圧搾空気式
- ピストンボア:80mm
- ピストンストローク:53mm
- 燃料:シェル V-Power
- 潤滑油:シェル Helix Ultra
ERS システム
- バッテリー出力:4MJ(1周あたり)
- MGU-K 出力:120kW
- MGU-K 最高回転数:50,000 rpm
- MGU-H 最高回転数:125,000 rpm
記録
年 | No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | ポイント | ランキング |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
AUS |
MAL |
CHN |
BHR |
ESP |
MON |
CAN |
AUT |
GBR |
HUN |
BEL |
ITA |
SIN |
JPN |
RUS |
USA |
MEX |
BRA |
ABU | |||||
2015 | 5 | ベッテル | 3 | 1 | 3 | 5 | 3 | 2 | 5 | 4 | 3 | 1 | 12† | 2 | 1 | 3 | 2 | 3 | Ret | 3 | 4 | 428 | 2 |
7 | ライコネン | Ret | 4 | 4 | 2 | 5 | 6 | 4 | Ret | 8 | Ret | 7 | 5 | 3 | 4 | 8 | Ret | Ret | 4 | 3 |
脚注
- ↑ 戦闘力を上げたフェラーリ・エンジン TOPNEWS 2015年2月5日
- ↑ 今年のフェラーリは格段によくなるだろうと技術イラストレーター TOPNEWS 2015年2月25日
- ↑ フェラーリはショートノーズ導入を見送り TOPNEWS 2015年5月6日
- ↑ 今季のフェラーリF1カーは自分の作品だと元チーフデザイナーTOPNEWS 2015年9月1日
- ↑ アリバベーネ、キミに合ったマシン造りの経緯語るas-web.jp 2015年4月27日
- ↑ 今年のフェラーリエンジンはメルセデスと大差ないとザウバーのルーキー TOPNEWS 2015年2月3日
- ↑ フェラーリは2015年F1タイトルを狙えるか TOPNEWS 2015年2月21日
- ↑ フェラーリ、初戦にはコンサバなエンジンを投入 ESPN F1 2015年3月9日
- ↑ フェラーリ、アグレッシブな戦略を採るも失敗 ESPN F1 2015年8月24日
- ↑ ベッテル、ポール獲得は「ファンタスティック」 ESPN F1 2015年9月20日
- ↑ "[1]".Scuderia Ferrari F1 car 2015 2015年3月29日閲覧。