シャトー
シャトー (フランス語:château)とは、主としてフランス語圏で使われる語で
- 王族や貴族の住居[1]。
- 田舎にある、大きくて美しい やかた[1]。
- かつての諸侯の居所で、堀や壁や塔によって要塞化され、護られているもの[1]。
- 「château ...」と大文字で始まる語を後ろに添えて、ボルドー(ワイン)の(格付けされた)ワイン農園(の名前)[1]。
王族や貴族の住居
「château シャトー」のひとつの意味は、王族や貴族の住居である。
あえて翻訳する場合は、「宮殿」とされることが一般的。 とにかく王族や貴族が住んでいれば、城壁の有無は関係ない。
田舎につくられた大きくて美しいお屋敷
シャトーは、田舎(田園)に作られた、楽しみのための邸宅(大きな館)。都市につくられる宮殿(palais)とは違い、非常にユニークなものとなった。あえて訳す場合は、「城(じょう、しろ)」や「館(やかた)」など。
「シャトー・ド・ベルサイユ(Château de Versailles)」は、パリからおよそ20kmほど南西に作られた。が、結局、ルイ14世をはじめとした王族とその臣下が共に住むようになったので、権力の中枢の館、「王宮」となった。(その意味で、世界遺産としてのPalais et parc de Versailles「ベルサイユの宮殿と庭園」は「Palais パレ」(=宮殿)という表現を使用している)。
ルネサンス期のフランス国王たちや、主君を模倣するその家臣たちは、自らの楽しみのためにシャトーを建設した。
要塞化された居所
chateauは「諸侯の要塞化された居所」という意味もある。要塞化されたそれをあえて明示的に言う場合は「シャトー・フォール(fr:Château fort)」と呼ばれる。
城壁、塔、堀などによって護られている。入口は厚い門扉で護られ、跳ね橋が設置されている場合もある。
ボルドーの格付けされたワイン農園
「château ...」といった表現で、ボルドー地方のワイン造りのための、格付けされた(しっかりとした)ブドウ園を指す。ボルドーワイン独特の名称や概念。
(建築物の有無は関係ない。)
18世紀ころになると、シャトー同士がワインの品質を競い合うようになり、世界に誇る高級ワインが生産されるようになった。
1855年に、およそ60ほどのシャトーが、「第1級」から「第5級」まで格付けされた[2]。
ぶどう畑の主が自分の畑で採れたぶどうでワインを作り、瓶詰めするという点では、ボルドーの「シャトー」とブルゴーニュ地方のドメーヌとは同じだが、ドメーヌが1ha程度の畑しか持たないのに対し、シャトーは数十ヘクタールの畑を持つところが多く、また、ボルドーの「シャトー」はランク付け(格付け)が行われている、という点が異なっている。
なお、現在では、ボルドーの周辺のアキテーヌ地方やローヌ地方でも「シャトー」を名乗るワインがあり、南部のラングドックではAOCより下位のヴァン・ド・ペイクラスにもシャトーを称するワインがあるので、フランスのボルドー以外のワインの「chateau」は、言葉の意味が軽い。
注
関連項目
- ウィキメディア・コモンズには、フランスのシャトーに関するメディアがあります。