クエチアピン

提供: miniwiki
移動先:案内検索
クエチアピン
200px
150px
IUPAC命名法による物質名
2-(2-(4-dibenzo[b,f][1,4]thiazepine- 11-yl- 1-piperazinyl)ethoxy)ethanol
臨床データ
胎児危険度分類 C(US)
法的規制 -only (US)
投与方法 Oral
薬物動態的データ
生物学的利用能 9%
代謝 肝臓- CYP3A4
半減期 6時間 (parent compound); 9-12時間 (活性代謝物)
排泄 Renal
識別
CAS登録番号 111974-69-7
ATCコード N05AH04
PubChem CID 5002
DrugBank APRD00675
ChemSpider 4827
KEGG D08456
化学的データ
化学式 C21H25N3O2S 
分子量 383.5099 g/mol

クエチアピン(英:Quetiapine)は、ジベンゾチアゼピン系の非定型抗精神病薬の一つである。国内外で商品名セロクエルで販売され、日本での適応は統合失調症である。主にその症状である幻覚や妄想を抑える。またアメリカでは双極性障害にも適応があり気分安定薬として用いられる。薬事法における劇薬

糖尿病には禁忌である。添付文書の警告表示枠に、投与中に糖尿病性の副作用から死亡する場合があるため、血糖値測定等の十分な観察を行うよう記載されている。

開発と販売

クエチアピンはゼネカ社(現:アストラゼネカ社)が開発した。日本ではアステラス製薬(2005年3月末までは藤沢薬品工業)によって製造販売されている。

セロクエル錠は、2000年12月に承認され、2001年2月に発売された。2009年11月、200mg錠が発売された。2012年12月、ジェネリック医薬品が発売された。

適応

日本における適応は統合失調症に限られていたが、2017年には双極性障害におけるうつ状態の改善に対する効果も認められた[1]

アメリカでは、統合失調症に加え、双極性障害の躁病相とうつ病相と、それらの相を予防する維持期においても承認されている。

ガイドライン

2013年の厚労省による認知症の周辺症状へのガイドラインでは、第一選択は非薬物介入が原則であり処方時には患者・保護者に承諾を取るべきである[2]。日本医師会、日本老年医学会による高齢者向けガイドラインでは、必要最小限の使用が推奨される[3]

種類

  • 錠剤:25mg, 100mg, 200mg
日本での包装例

薬理

クエチアピンは、ジベンゾチアゼピン系に分類される非定型抗精神病薬であり、ドーパミンD2受容体に比較して、セロトニン5-HT2受容体拮抗作用が強いのが特徴である。クエチアピンは、それら2つの受容体に対し高い親和性を有している。ヒスタミンH1受容体・アドレナリンα1、α2・セロトニン5-HT1A・ドーパミンD1受容体に対しても、低い親和性を有している。ムスカリン受容体・ベンゾジアゼピン受容体には、ほとんど親和性がない。クエチアピンの抗精神病薬作用は、ドーパミンD2受容体への拮抗作用によるものと考えられている。セロトニン5HT2受容体拮抗作用もまた、クエチアピンの有効性に影響している可能性がある。

代謝

主に肝臓のCYP3A4で代謝される。

副作用

添付文書の警告表示枠に、投与中に糖尿病性の副作用から死亡する場合があるため、血糖値測定等の十分な観察を行うよう記載されている。

主な副作用アカシジア、不眠、神経過敏、眠気、倦怠感、不安、めまい、体重増加、体重激減、起立性低血圧など。また、錐体外路症状が現れる場合がある(薬剤性パーキンソン症候群)。

長期間の服用により、糖尿病、遅発性ジスキネジアが起きる可能性もある。

禁忌

  • 昏睡状態の患者
  • 中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者
  • バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者(中枢神経抑制作用が増強される。)
  • アドレナリンを投与中の患者
  • 糖尿病の患者、あるいは糖尿病の既往歴のある患者

訴訟

2010年、アストラゼネカは、セロクエルを高齢者や、死亡リスクを高める小児への適応外使用を勧める違法なマーケティングを行い、5.2億ドルの罰金が科された[4][5]

出典

外部リンク

テンプレート:抗精神病薬