クアルコム
クアルコム (英: Qualcomm, Inc.、NASDAQ: QCOM) は、アメリカの移動体通信の通信技術および半導体の設計開発を行う企業。
概要
クアルコムは1985年、アーウィン・ジェーコブズとアンドリュー・ビタビによって設立された。社名のQualcommは、QualityとCommunicationsを合わせた造語である。本社はカリフォルニア州サンディエゴにある。CDMA方式携帯電話の実用化に成功して成長を遂げた。
当初は携帯電話端末と通信設備の部門を併せ持っていたが、その後、携帯電話端末部門は京セラに、通信設備部門はエリクソンにそれぞれ売却された。
CDMA携帯電話用チップでは、ほぼ独占に近いマーケットシェアを保持している。また、従来のcdmaOneシリーズのほか、1x EV-DOおよびCDMA2000 1xを含むCDMA2000携帯電話用チップ以外にもHSPAを含むW-CDMAやLTE携帯電話用チップの供給も行っている。 ほかにREX OSと呼ばれる携帯電話向けの組み込み用リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)やBREWと呼ばれる携帯電話向けのアプリケーションプラットフォームの開発もしている。それらの数多くの特許を保有しており、それにより他社から得られるライセンス料が大きな収益源となっている。
また、Snapdragonチップセット(および他のクアルコムのチップセット)のGPUテクノロジ「Adreno」は、2009年1月にAMDから買収したモバイルプラットフォーム部門、およびグラフィックスチップ技術をベースとして開発した独自技術である。また、2011年には無線チップメーカーのアセロス・コミュニケーションズを買収し、無線LAN技術も手がけている。
2015年8月13日、クアルコムの子会社であるクアルコム・グローバルトレーディングは、Bluetoothの高音質化コーデックテクノロジで知られる「aptX」の開発元で知られるCSR社の買収を完了したことを表明した。2016年10月、携帯電話分野への偏りを是正し、自動車分野での半導体供給の強化を目的として、同分野の世界首位であるNXPセミコンダクターズの買収を発表したものの[1]、2018年7月に断念した[2]。
クアルコムはファブレスメーカーであり、半導体の製造は大手ファウンドリであるGLOBALFOUNDRIES、TSMC等へ委託し製造している。
2017年11月、ブロードコムは1030億ドルでクアルコム株を70%取得する計画を発表していた。クアルコムはこれを拒否、一方、ブロードコムは取得株を70%から82%と引き上げた。ブロードコムの買収額は1170億ドルまで引き上げられた。本件に関し、対米外国投資委員会が調査を開始した。ブロードコムは、重大な国家安全保障に関する資産を海外企業には売却しないとの声明を出したが、トランプ大統領は、シンガポール拠点のブロードコムによるクアルコム買収は、米国の移動通信産業を衰退させ安全保障上に懸念があると判断し、買収をブロックする署名にサイン、ブロードコムは買収を断念した[3]。
関連項目
- クアルコム・スタジアム - 本社を置くサンディエゴを本拠に置く、NFL・サンディエゴ・チャージャーズのホームスタジアムの命名権を取得。
- Snapdragon - クアルコムが開発したスマートフォンおよび携帯電話向けの組み込み用プロセッサ。シングルコア版のほかにデュアルコア版やクアッドコア版も存在する。
- REX OS - クアルコムが開発した携帯電話専用の組み込み用RTOS。
- AMD - 2009年1月に同社のモバイルプラットフォーム部門をクアルコムに6,500万ドルで売却した。
- フォーミュラE - テクニカルパートナー契約を結ぶ電気自動車レース。
脚注
- ↑ “クアルコム、蘭NXPセミを380億ドル買収 半導体業界で最大”. ダイヤモンド・オンライン (2016年10月28日). . 2016閲覧.
- ↑ “半導体大手クアルコム、蘭NXPの買収断念”. ウォール・ストリート・ジャーナル (2018年7月28日). . 2018閲覧.
- ↑ Timeline: Broadcom-Qualcomm saga comes to an abrupt end Reuters 2018年3月14日
外部リンク
- 公式ウェブサイト (英語)
- 公式ウェブサイト (日本語)
- 日本のケータイの進化を支えてきたクアルコムのワイヤレステクノロジー(ケータイWatch)