オレキシン
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オレキシン (orexin) は、1998年に発見された神経ペプチド[1]。「食欲」を意味するギリシャ語「orexis」から名付けられた[2](命名は櫻井武ら研究グループによるもの)。オレキシンAとオレキシンBがあり、Gタンパク質共役受容体であるオレキシン1受容体(OX1R)およびオレキシン2受容体(OX2R)に作用する。
ヒポクレチン (hypocretin) とも呼ばれる。視床下部外側野に存在する神経細胞が産生しているオレキシンは、食欲や報酬系に関わるほか、睡眠や覚醒を制御することが知られている。オレキシンをつくる神経細胞が消滅すると、ナルコレプシーという睡眠障害になる。
リガンド
覚醒状態の維持に関与するオレキシンを標的として、オレキシンの作用を阻害する薬物であるオレキシン受容体拮抗薬がいくつか開発されている。
- スボレキサント
- メルク・アンド・カンパニー(MSD)が開発し、日本では2014年にMSDよりベルソムラの商品名で不眠症治療薬として認可された。
その他
- DARPAの研究の中に、メタボリック・ドミナンスと呼ばれる「兵士が最高レベルの体調を持続しながら作戦遂行する」ためのプロジェクトがあり、この中でオレキシンをスプレー化したものを吸入することで睡眠の代わりとして使用する研究が行われている[3]。
- オレキシンは、骨代謝について、末梢と中枢神経系で相反する作用をもつ。オレキシン受容体 OXR1 および OXR2 ノックアウトマウスを用いた研究で、中枢神経系が優位であることが示唆された[4]。
脚注
- ↑ Sakurai et al. (1998) Cell 92: 573-585
- ↑ Sakurai T. Nat Rev Neurosci 2007;8(3);171-181.
- ↑ Snorting a Brain Chemical Could Replace Sleep
- ↑ Wei W, et al. Orexin regulates bone remodeling via a dominant positive central action and a subordinate negative peripheral action. Cell Metab 2014;19(6):927-940.