エアバス A310 MRTT
A310 MRTT
エアバス A310 MRTT(Airbus A310 MRTT)とは、エアバス A310-300を改造して製造された空中給油機である[1]。MRTTとは、多任務給油・輸送機 (Multi Role Tanker Transport) の頭字語である。
概要
EADS、エアバス、ルフトハンザ・テクニックにより中古のA310-300から改造された空中給油機であり、空中給油以外に、貨物機、VIPにも対応可能な旅客機、医療搬送仕様機、貨客混載でのコンビネーション運用に対応している。
ドイツ空軍は2004年9月29日に受領し[2]、それに先立つ2004年7月28日には、空中給油に初成功している[3]。2007年7月にはアビオニクスの更新が行われている。また、 カナダ空軍は2004年10月に受領している。[1]。
任務における空中給油の初成功は、2009年2月4日ロストック=ラーゲ空港からバンガロールへ向けて飛行中のユーロファイターに対して行われたものである[4]。
運用
空中給油はプローブアンドドローグ方式であり、両翼に1基ずつ搭載されたポッドを介して行う。ドイツ空軍では、速度520kmで2機に対して毎分1500リットルの燃料を給油可能としている[5]。給油可能な燃料は進出距離3000nmで33t、1000nmで40tとされ[1]、給油機としての運用時は、貨物としての燃料タンクかACTと呼ばれる増槽を5基まで搭載して行われる[1]。また、フライングブーム式への改造も視野に入れており、この場合の給油速度は毎分1,200USガロンで、機体側面下部にプローブアンドドローグ式に対応するホースを2つ設けて、各800USガロンの給油も可能とされている[1]が、フライングブームは試作のみで実機には採用されず、実用化はより大型のA330 MRTTに持ち越された。
貨物機としては、機体を4つに分けて運用される。機体上部の主となる積載スペースは機体左側面の大型扉から積み下ろしを行い、機体下部のスペースは3つに分けて用いられる。高さ96インチまでのコンテナ・パレットに対応しており、移動は電動であるが、固定は手動式である[1]。 積載重量は42トンまで対応しているが[5]、カナダ空軍は積載重量32tで運用している[6]。
旅客機としては、ドイツ空軍は214名、カナダ空軍は194名のコンフィギュレーションで運用している[5][6]。
医療搬送に充てられる場合、重傷者対応のユニット6基、担架56基を搭載可能である[1]。ドイツ空軍の運用では、担架38基となっている[5]。
貨客混載も可能であり、ドイツ空軍の場合パレット12台と乗客57名の仕様としている[5]。
- CC-150 Polaris tanker refueling two CF-18 Hornets.jpg
2機のCF-18への給油体勢に入るCC-150
- Canadian relief transport.jpg
左側面の大型扉より荷下ろしを行うCC-150
- Airbus A310 MRT MedEvac - ILA2002-03.jpg
医療搬送仕様のA310 MRT(A310輸送機型)
運用者
スペック
出典
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 “Airbus A310 MRTT Multi-Role Tanker Transport”. airforce-technology.com. . 2012閲覧.
- ↑ “A310 MRTT”. deagel.com. . 2012閲覧.
- ↑ “Airbus A310 MRTT Performs First Air Refueling”. deagel.com. . 2012閲覧.
- ↑ “Eurofighter der Luftwaffe treffen zur Aero India in Bangalore ein” (ドイツ語). FLUG REVUE. . 2012閲覧.
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 “A310 MRTT”. ドイツ空軍. . 2012閲覧.
- ↑ 6.0 6.1 6.2 “CC-150 Polaris”. カナダ空軍. . 2012閲覧.
関連項目
外部リンク