福島第一原子力発電所事故

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福島第一原子力発電所事故
Fukushima I by Digital Globe.jpg
2011年3月16日撮影
左から4号機、3号機、2号機、1号機
日付 2011年3月11日 (2011-03-11)
時間 14時46分 (日本標準時)
場所 福島県双葉郡大熊町大字夫沢字北原22番地
座標 東経141度1分57秒北緯37.42139度 東経141.0325度37.42139; 141.0325
結果 国際原子力事象評価尺度 (INES) レベル7(4月12日時点の原子力安全・保安院による暫定評価[1]
死者 地震・津波による死者 2人(4号機タービン建屋内)[2]
その他の死者 2人[2]
(原子力安全・保安院 地震被害情報(第169報)、pp.50-55、2011年6月14日15時30分現在)[2]
原発による災害関連死を含めた死者 1600人[3]
負傷者 地震による負傷者 6人[2]
1号機・3号機の爆発による負傷者 15人[2]
被曝の可能性[2]

従業員 30人(100 mSvを超過した人数)
住民 88人(除染を実施した人数)

その他の負傷者 19人[2]
損害 21.5兆円[注 1]
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福島第一原子力発電所事故(ふくしまだいいちげんしりょくはつでんしょじこ)は、2011年(平成23年)3月11日東北地方太平洋沖地震による地震動津波の影響により、東京電力福島第一原子力発電所で発生した炉心溶融(メルトダウン)など一連の放射性物質の放出を伴った原子力事故である。国際原子力事象評価尺度 (INES) において最悪のレベル7(深刻な事故)に分類される。2015年(平成27年)3月現在、炉内燃料のほぼ全量が溶解している[4]東日本大震災の一環として扱われる[5]

概要

2011年(平成23年)3月11日の東北地方太平洋沖地震発生当時、福島第一原子力発電所(以下「原子力発電所」は「原発」と略す)では1〜3号機が運転中で、4号機〜6号機は定期検査中だった。1〜3号機の各原子炉は地震で自動停止。地震による停電で外部電源を失ったが[6]、非常用ディーゼル発電機が起動した。

ところが地震の約50分後、遡上高14 m - 15 m(コンピュータ解析では、高さ13.1 m)[7]津波が発電所を襲い、地下に設置されていた非常用ディーゼル発電機が海水に浸かって機能喪失。さらに電気設備、ポンプ、燃料タンク、非常用バッテリーなど多数の設備が損傷し、または流出で失ったため[8]全電源喪失(ステーション・ブラックアウト、略称:SBO)に陥った。このため、ポンプを稼働できなくなり、原子炉内部や核燃料プールへの注水が不可能となり、核燃料の冷却ができなくなった。核燃料は運転停止後も膨大な崩壊熱を発するため、注水し続けなければ原子炉内が空焚きとなり、核燃料が自らの熱で溶け出す。

実際、1・2・3号機ともに、核燃料収納被覆管の溶融によって核燃料ペレットが原子炉圧力容器(圧力容器)の底に落ちる炉心溶融(メルトダウン)が起き、溶融した燃料集合体の高熱で、圧力容器の底に穴が開いたか、または制御棒挿入部の穴およびシールが溶解損傷して隙間ができたことで、溶融燃料の一部が圧力容器の外側にある原子炉格納容器(格納容器)に漏れ出した(メルトスルー)。また、燃料の高熱そのものや、格納容器内の水蒸気や水素などによる圧力の急上昇などが原因となり、一部の原子炉では格納容器の一部が損傷に至ったとみられ[9][10]、うち1号機は圧力容器の配管部が損傷したとみられている[11]

また、1〜3号機ともメルトダウンの影響で、水素が大量発生し、原子炉建屋、タービン建屋各内部に水素ガスが充満。1・3・4号機はガス爆発を起こして原子炉建屋、タービン建屋および周辺施設が大破した(4号機は定期検査中だったが、3号機から給電停止と共に開放状態であった、非常用ガス処理系配管を通じて充満した可能性が高い[12][13][14]

格納容器内の圧力を下げるために行われた排気操作(ベント)や、水素爆発、格納容器の破損、配管の繋ぎ目からの蒸気漏れ、冷却水漏れなどにより、大気中・土壌・海洋・地下水へ、大量の放射性物質が放出された。複数の原子炉(1,2,3号機)が連鎖的に炉心溶融、複数の原子炉建屋(1,3,4号機)のオペレーションフロアで水素爆発が発生し、大量に放射性物質を放出するという、史上例を見ない大規模な原発事故となった[15][10]

事故により、大気中に放出された放射性物質の量は、諸説あるが、東京電力の推計によるとヨウ素換算値で約90京ベクレル (Bq) で、チェルノブイリ原子力発電所事故での放出量520京Bqの約6分の1に当たる[16][17]。東京電力は、2011年8月時点で、半月分の平均放出量は2億 Bq (0.0002TBq) 程度と発表している[18]。また空間放射線量が年間5ミリシーベルト (mSv) 以上の地域は約1800km2、年間20mSv以上の地域は約500km2の範囲に及んだ[17]

日本国政府は、福島第一原発から半径 20 km圏内を警戒区域、20km以遠の放射線量の高い地域を「計画的避難区域」として避難対象地域に指定し、10万人以上の住民が避難した。2012年4月以降、放射線量に応じて避難指示解除準備区域・居住制限区域・帰還困難区域に再編され、帰還困難区域では立ち入りが原則禁止されている。2014年4月以降、一部地域で徐々に避難指示が解除されているが、帰還困難区域での解除は、事故発生から10年後の2021年以降となる見通しである。

注釈

  1. 賠償金7.9兆円、中間貯蔵施設費1.6兆円、除染費4兆円、廃炉・汚染水対策費8兆円。2016年12月時点での経済産業省による試算。朝日新聞2016年12月21日朝刊、総合5面。

  1. 原子力災害対策本部 2011, 21-22
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 地震被害情報(第169報)[2011年06月14日15時30分現在](2013アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  3. 【オピニオン】原子力の安全性めぐるパラダイムシフト、誇張された被ばくリスク” (2015年12月7日). . 2017閲覧.
  4. 東京電力による19日の調査結果。炉内燃料、ほぼ全量溶融 福島第1原発1号機 調査で初の確認 北海道新聞電子版、2015年3月19日。
  5. 東日本大震災の被害状況”. 内閣府. . 2017閲覧.
  6. 原子力災害対策本部 2011, III.30.
  7. 原子力災害対策本部 2011, III.28-III.29.
  8. 福島第一原子力発電所内外の電気設備の被害状況等に係る記録に関する報告を踏まえた対応について(指示)に対する報告について(2012アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  9. “メルトダウン「5時間後」=1号機、保安院が解析―東電推定より早く・福島第1”. 時事ドットコム. (2011年6月6日). http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2011060600456 . 2011閲覧. 
  10. 10.0 10.1 1・2号機 格納容器に穴か”. NHK (2011年5月25日). . 2017閲覧.
  11. 圧力容器、地震当日破損か=配管部に蒸気漏れの可能性―福島第1原発1号機・東電”. 時事通信 (2011年5月25日). . 2017閲覧.
  12. 内閣事故調 2012, pp. 76-80
  13. 地震被害情報(第74報) [2011年04月05日08時00分現在](2013アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
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  18. “東電:放射線放出量、毎時2億ベクレル-事故直後比1000万分の1”. bloomberg. (2011年8月17日). http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=axO6ia7XC6Bc . 2011閲覧. 

参考文献

鈴木達治郎佐藤一男近藤駿介班目春樹松浦祥次郎畑村洋太郎の証言を基にした記事

関連資料