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{{出典の明記|date=2017-03}}
 
'''幼児語'''(ようじご)とは、乳幼児期の会話に用いられる[[語|言葉]]。
 
  
== 概要 ==
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'''幼児語'''(ようじご)
乳幼児との会話には、通常の会話に用いられることが少ない特殊な[[語彙]]が用いられることが多い。このような言葉は、[[幼児]]が自発的に話すこともあるが、多くは周囲の人間が幼児、[[乳児]]に語りかけるのみ用いる言葉であって、幼児はこれを聞いて学習し、声を発するようになる。このため'''育児語'''(いくじご)と呼ばれることがある。一般的に、[[調音器官]]の使い方が未発達な幼児でも発音しやすい音を持つ言葉、同じ音を連続させて単純化した言葉、反復した言葉、長い言葉を省略した言葉などが用いられる。
 
  
乳幼児は、単語を単独で発し、他の文法要素は用いないのが普通であるが、周囲のものは、通常の文の中に特殊な語彙を組み込んで話すことも多い。
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 子供のことばは、さまざまの面で大人のことばとは異なった特徴をもっている。音韻面では「コーキ」(飛行機)、「ネト」(猫)といった音の脱落や代置、統語面では「ブーブー オウチ カエル」(自動車で家に帰る)といった助詞の脱落や「好キクナイ」「キレイクナイ」などの活用の誤り、また意味面では四つ足の動物を全部「イヌ」とよんでしまうような汎化(はんか)の現象などのみられるのが普通である。子供のことばは、大人の規準からすれば、言語能力の未熟性の現れとみなすことができるが、しかし一方、一つのコミュニケーション・システムとしてみるならば、一定の規則性をもち、独自の組織を備えた1個の言語であるといえる。こうした観点から、子供のことばを、日本語、英語などと同じ意味合いで幼児語とよぶ。このような幼児語の特質を明らかにし、それに基づいて言語習得と言語使用の本質に迫ろうとする学問が言語心理学である。
  
==日本語の幼児語==
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 なお、狭義には、犬を「ワンワン」、寝ることを「ネンネ」というように、幼い子供と養育者の間で使われ、より単純な音構造をもつ一群の語をさして幼児語とよぶ。この場合の幼児語は、女性語、学生語、農業語などと同じく、話し手の社会的属性に基づく語彙(ごい)の差異(位相)の一つの現れということができる。
[[日本語]]の幼児語は、おおむね次のタイプに分けられる。
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===擬声語===
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{{テンプレート:20180815sk}}
対象物が発する音を表す[[擬声語]]を用いているもの
 
* ニャンニャン - [[ネコ]]
 
* モーモー - [[ウシ]]
 
* ワンワン - [[イヌ]]
 
* ブーブー 又は ブブ - [[自動車]]
 
* ポッポ - [[ハト]]
 
* コッコー、コッコ(さん) - [[ニワトリ]]
 
* チッチ、シー - 排尿
 
 
 
また、擬声語で表される対象物のようなしぐさをすることも表す
 
* ワンワン(する)、モーモー(する) - 四つんばいになる
 
 
 
===両唇音===
 
唇の動きによって自然に出やすい[[両唇音]]の、マ行、バ行の音を用いる語。
 
 
 
例:
 
* マンマ - ご飯、食事、食べ物
 
* ブブ - 飲料水
 
* まんまん(ちゃん) - 仏様(主に西日本)
 
 
 
===語頭音の長音化と反復===
 
通常の語彙の語頭の音節を長音化すると同時に、2度反復するもの
 
 
 
例:
 
* ジージー - 祖父
 
* バーバー - 祖母
 
* キューキュー - 救急車
 
 
 
===撥音音便化===
 
「ん」を入れる。
 
 
 
例:
 
* オンモ - (家の)外。表
 
* おめめ、めんめ - 眼
 
* ねんね - 就寝。自分の[[安心毛布]]をこう呼ぶ事もある。
 
 
 
=== 反復語 ===
 
例:
 
* トト - 魚
 
* きれいきれい - 清潔にする、洗う
 
* たんたん - お風呂
 
 
 
=== 擬態語 ===
 
例:
 
* チャンコ - 座る
 
* オッチン - 座る([[関西弁]])
 
 
 
=== 幼児風の訛り ===
 
広義には、「ワタチ(私)」の様に幼児が発声しにくい音が訛った語も含む。
 
 
 
例:
 
* /s/と/t/の交替 - [[摩擦音]]→[[破裂音]]
 
:わたし(wata'''s'''i) → わたち(wata'''t'''i)
 
* /k/と/t/の交替 - [[軟口蓋音]]→[[硬口蓋音]]([[無声硬口蓋破裂音|{{IPA|c}}]])
 
:きのう('''k'''inoo) → ちのう('''t'''inoo)
 
* /w/の脱落
 
:わたし('''w'''atasi) → あたち('''a'''tati)
 
他に[[たん (接尾語)]]。
 
 
 
=== 幼児語愛好(infantvocaphilia) ===
 
幼児語は一般的に言語を習得する段階として一時的に使用されるものと考えられており、大人へと従うにつれ、学習する言語に即した文法、発音などを習得するものであるが、幼児語が子どもの持つ幼さを引き立て、可愛らしさを強調するものとして、持てはやされる場合がある。母親や児童に身近な女性が子どもに赤ちゃん言葉(幼児語)で話しかけたりするのも、子どもと同じ目線に立って会話すると言うよりは、幼児語が可愛らしい言葉であるという認識を持って、使っていると言われている。感受性のある子どもの場合、幼児言葉が抜けきる年齢に達しても、身近な人間が赤ちゃん言葉で話し続ける場合など、子どもの言語発達を阻害する行為であるため注意が必要である。
 
 また、言語としての赤ちゃん言葉を愛するものが大人の中もおり、幼児語愛好家と呼ばれる。これは小児愛好(paedophilia)と似通ったものと誤解されがちであるが、後者が児童、幼児などの物質的なものに対して過度な興味を抱くのに対し、前者は幼児語そのものに興味を持つものであり、関連は薄い。
 
 
 
== 英語の幼児語 ==
 
英語圏では幼児に対しても大人と同じ言葉で会話を行うことが多い<ref>椎名玲子『子どもと一緒に英語遊びでネイティヴ・リズム英会話』ベレ出版、2003年、22頁</ref>。
 
 
 
以下は英語の幼児語の例
 
* [[イヌ]] - doggie
 
* [[ネコ]] - kitty あるいは meow
 
* [[馬]] - horsie
 
* [[鳥]] - birdie
 
* [[魚]] - fishy
 
 
 
== 脚注 ==
 
<references />
 
 
 
==関連項目==
 
*[[喃語]](なんご)
 
*[[縮小辞]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
*{{Citation |和書 | author=高橋太郎 | author-link =高橋太郎 (言語学者) | year=1975 | title=幼児語の形態論的な分析 | periodical=[[国立国語研究所]]報告 | volume=55 | series=09 言語教育及び言語発達 |url=http://www.ninjal.ac.jp/s_data/drep/report_nijla/R0055.PDF?}}
 
 
 
{{日本語}}
 
 
{{DEFAULTSORT:ようしこ}}
 
{{DEFAULTSORT:ようしこ}}
 
[[Category:言語変種]]
 
[[Category:言語変種]]
 
[[Category:日本語の言語変種]]
 
[[Category:日本語の言語変種]]
 
[[Category:育児]]
 
[[Category:育児]]

2018/12/26/ (水) 09:02時点における最新版

幼児語(ようじご)

 子供のことばは、さまざまの面で大人のことばとは異なった特徴をもっている。音韻面では「コーキ」(飛行機)、「ネト」(猫)といった音の脱落や代置、統語面では「ブーブー オウチ カエル」(自動車で家に帰る)といった助詞の脱落や「好キクナイ」「キレイクナイ」などの活用の誤り、また意味面では四つ足の動物を全部「イヌ」とよんでしまうような汎化(はんか)の現象などのみられるのが普通である。子供のことばは、大人の規準からすれば、言語能力の未熟性の現れとみなすことができるが、しかし一方、一つのコミュニケーション・システムとしてみるならば、一定の規則性をもち、独自の組織を備えた1個の言語であるといえる。こうした観点から、子供のことばを、日本語、英語などと同じ意味合いで幼児語とよぶ。このような幼児語の特質を明らかにし、それに基づいて言語習得と言語使用の本質に迫ろうとする学問が言語心理学である。

 なお、狭義には、犬を「ワンワン」、寝ることを「ネンネ」というように、幼い子供と養育者の間で使われ、より単純な音構造をもつ一群の語をさして幼児語とよぶ。この場合の幼児語は、女性語、学生語、農業語などと同じく、話し手の社会的属性に基づく語彙(ごい)の差異(位相)の一つの現れということができる。



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