平岩弓枝
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平岩 弓枝(ひらいわ ゆみえ、1932年3月15日 - )は、日本の脚本家、小説家。代表作に『御宿かわせみ』シリーズ、『はやぶさ新八御用帳』シリーズなどがある。
人物
生い立ち
東京・代々木にある代々木八幡宮の一人娘として生まれた。太平洋戦争末期の1945年(昭和20年)、伯母の実家がある福井県に疎開し[1]。そこでは福井高等女学校(現在の福井県立藤島高等学校)に通っていた[1]。
戦後、東京に戻った平岩は日本女子大学附属高等学校に通い、そこで友人らと演劇部を結成して『安寿と厨子王』などをもとにした脚本を執筆・上演した[2]。なおその頃の同期には河内桃子などがいた[2]。1955年(昭和30年)に日本女子大学国文科を卒業した平岩は戸川幸夫に師事、その後長谷川伸主宰の新鷹会に入会。同門の先輩の伊東昌輝と結婚した。伊東は平岩家の婿養子となり、平岩昌利を名乗り、代々木八幡宮の宮司を務める。娘の平岩小枝(こずえ)は代々木八幡宮の禰宜を務める。
作家・脚本家
1959年(昭和34年)、『鏨師』が第41回直木賞を受賞。1974年(昭和49年)には『御宿かわせみ』を発表し、その後も同シリーズの作品を次々と発表して30年以上にわたるベストセラーシリーズとした。
それと平行してTBS系テレビドラマ『ありがとう』シリーズ、『肝っ玉かあさん』シリーズ、TBS系東芝日曜劇場『女と味噌汁』シリーズ、『下町の女』シリーズやNHK大河ドラマ『新・平家物語』を始めとするテレビドラマの代表作や演劇の脚本を書くかたわら、小説も次々と発表している。
年表
- 1959年(昭和34年)-『鏨師』で第41回直木賞
- 1979年(昭和54年)- 第30回NHK放送文化賞
- 1986年(昭和61年)- 第12回菊田一夫演劇賞大賞
- 1989年(平成元年)- 第9回日本文芸大賞
- 1990年(平成2年)-『花影の花』で第25回吉川英治文学賞
- 1997年(平成9年)- 紫綬褒章
- 1998年(平成10年)- 第46回菊池寛賞
- 2008年(平成20年)-『西遊記』で毎日芸術賞。7月日本経済新聞に『私の履歴書』を1か月間にわたり連載。
- 2010年(平成22年)12月現在吉川英治文学賞と毎日芸術賞の選考委員。1987年から務めていた直木賞の選考委員はこの年退任している[3]。
- 2016年(平成28年)- 文化勲章 [4]
著作リスト
小説
- 鏨師 新小説社、1959 のち文春文庫
- 美女誕生 角川書店 1960
- その道は行き止り 東京文芸社 1961 のち「女の足音」中公文庫
- 黒い扇 東京文芸社 1961 のち角川文庫
- アキとマキの愛の交換日記 正続 集英社 1966-1967 のち文庫コバルト
- 若い真珠 集英社 1966 のち文庫コバルト、文春文庫
- 旅路 第1-3部 東京文芸社 1967-1968(NHK朝の連続テレビ小説『旅路』原作)のち角川文庫
- 信号は青 集英社 1967(コバルト・ブックス) のち文庫コバルト
- 海とみさきの青春 集英社 1967(コバルト・ブックス) のち文庫コバルト
- 女と味噌汁 現文社 1967(シスター・ブックス) のち集英社文庫
- 赤絵獅子 人物往来社 1967(歴史小説選書)
- 華やかな魔獣 集英社 1967(コンパクト・ブックス)のち文庫
- がんばれ良比古ちゃん 主婦と生活社 1968
- おんなみち 講談社 1969 のち文庫
- 十二年目の初恋 東京文芸社 1969
- 花房一平捕物夜話 東京文芸社 1969
- 若い海峡 集英社 1969(コバルト・ブックス) のち文庫コバルト
- 女の顔 文藝春秋 1970 のち文庫
- 日野富子 読売新聞社 1971
- 藍の季節 文藝春秋、1971 のち文庫
- 親なし子なし 毎日新聞社 1971
- 肝っ玉かあさん 文藝春秋 1971 のち文庫(テレビドラマ原作)
- かまくら三国志 文藝春秋 1972 のち文庫
- 花嫁の日 講談社 1972 のち文庫
- 下町の女 文藝春秋 1972 のち文庫
- 花のながれ 文藝春秋 1972 のち文庫
- 彩の女 文藝春秋 1973 のち文庫
- あした天気に 文藝春秋 1973-1974 のち文庫
- 夜の桜 東京文芸社 1973
- 湯の宿の女 東京文芸社 1974 のち角川文庫
- 女の気持 中央公論社 1974 のち文庫
- 御宿かわせみシリーズ
- 御宿かわせみ 毎日新聞社 1974 のち文春文庫
- 江戸の子守唄 毎日新聞社 1975 同
- 水郷から来た女 毎日新聞社、1977 同
- 山茶花は見た 毎日新聞社、1977 同
- 幽霊殺し 文藝春秋、1982 のち文庫
- 狐の嫁入り 文藝春秋、1983 同
- 酸漿は殺しの口笛 文藝春秋、1986 同
- 白萩屋敷の月 文藝春秋、1986 同
- 一両二分の女 文藝春秋、1987 同
- 閻魔まいり 文藝春秋、1988 同
- 二十六夜待の殺人 文藝春秋、1988 同
- 夜鴉おきん 文藝春秋、1989 同
- 鬼の面 文藝春秋、1989 同
- 神かくし 文藝春秋、1990 同
- 恋文心中 文藝春秋、1990 同
- 八丁堀の湯屋 文藝春秋、1991 同
- 雨月 文藝春秋、1992 同
- 秘曲 文藝春秋、1993 同
- かくれんぼ 文藝春秋、1994 同
- お吉の茶碗 文藝春秋、1995 同
- 犬張子の謎 文藝春秋、1996 同
- 清姫おりょう 文藝春秋、1996 同
- 源太郎の初恋 文藝春秋、1997 同
- 春の高瀬舟 文藝春秋、1998 同
- 宝船まつり 文藝春秋、1999 同
- 長助の女房 文藝春秋、1999 同
- 横浜慕情 文藝春秋、2000 同
- 佐助の牡丹 文藝春秋、2001 同
- 初春弁財船 文藝春秋、2001 同
- 鬼女の花摘み 文藝春秋、2002 同
- 江戸の精霊流し 文藝春秋、2003 同
- 十三歳の仲人 文藝春秋、2004 同
- 小判商人 文藝春秋、2005 同
- 浮かれ黄蝶 文藝春秋、2006 同
- 新・御宿かわせみ 文藝春秋 2008.1 同
- 華族夫人の忘れもの 新・御宿かわせみ 文藝春秋 2008.10 同
- 花世の立春 新・御宿かわせみ 文藝春秋 2010.01 同
- 蘭陵王の恋 新・御宿かわせみ 文藝春秋 2013.3
- へんこつ 文藝春秋 1975 のち文庫(曲亭馬琴が主役)
- この町の人 文藝春秋 1975 のち集英社文庫(テレビドラマ原作)
- 女の四季 東京文芸社 1975 のち角川文庫
- 花天女 中央公論社 1975 のち文庫
- ハサウェイ殺人事件 東京文芸社 1975 のち集英社文庫
- 密通 東京文芸社 1975 のち角川文庫
- 女ぶり 文芸社 1976
- 女の旅 文藝春秋 1976 のち文庫
- 結婚のとき 講談社 1976 のち文庫
- 絵島の恋 東京文芸社 1977.4
- 女の河 文藝春秋 1977(テレビドラマ原作)
- 小さくとも命の花は 文藝春秋 1977.3 のち文庫
- やきもの師 東京文芸社 1977.1 のち集英社文庫
- 五月の女 文藝春秋 1977.12 のち文庫
- 女の家庭 主婦の友社 1978.2 のち文春文庫
- 風子(ふうこ)新潮社 1978.1 のち文庫
- 結婚の四季 講談社 1978.4 のち文庫
- 火の航跡 朝日新聞社 1978.5 のち文春文庫
- 日蔭の女 文藝春秋 1978.7 のち文庫
- 呪いの家 花房一平シリーズ 東京文芸社 1978.10 「釣女」「女櫛」集英社文庫
- 女の幸福 文藝春秋 1978.10 のち文庫
- 日本のおんな 新潮社 1979.3 のち文庫
- 午後の恋人 文藝春秋 1979.4 のち文庫
- わたしは椿姫 講談社 1979.8 のち文庫
- 他人の花は赤い 文藝春秋 1979.9 のち文庫
- 女のそろばん 読売新聞社 1979.11 のち集英社文庫
- 風の墓標 新潮社 1979.12 のち文庫
- 江戸の娘 東京文芸社 1979.11 のち角川文庫
- 女たちの家 文藝春秋 1980 のち文庫
- 女たちの海峡 文藝春秋 1981.2 のち文庫
- 天の花地の星 日本のおんな 新潮社 1981.2 のち文庫
- 花の影 文藝春秋 1981.7 のち文庫
- 花祭 講談社 1981.8 のち文庫
- 結婚飛行 集英社 1981.11 のち文庫
- 色のない地図 文藝春秋 1981.12 のち文庫
- 花平家物語 相馬大共著 光村推古書院 1981.11
- 椿説弓張月(曲亭馬琴原作)学習研究社 1982.7 (日本の古典ノベルス)のち文庫
- 風祭 角川書店 1983.12 のち文庫
- 花ホテル 新潮社 1983.4 のち文庫
- 湖水祭 サンケイ出版 1983 のち文春文庫
- 橋の上の霜 新潮社 1984.10 のち文庫
- 祝婚歌 文藝春秋 1985.4 のち文庫
- 青の伝説 講談社 1985.2 のち文庫
- 白い序章 中央公論社 1985.3 のち文庫
- 青の回帰 講談社 1985.5 のち文庫
- 女の暦 東京文芸社 1986
- 紅梅館おとせ 東京文芸社 1986.10
- 青の背信 講談社 1986.6 のち文庫
- 葡萄街道の殺人 角川書店 1986.6 のち文庫
- 三味線お千代 東京文芸社 1986.6
- ありがとう 東京文芸社 1986.9
- 青い華火 東京文芸社 1987.1
- ちっちゃなかみさん 角川文庫 1987.1
- 秋色 文藝春秋 1987.3 のち文庫
- ふたりで探偵 新潮社 1987.6 のち文庫
- 平岩弓枝自選長篇全集 全15巻 文藝春秋 1987-1989
- パナマ運河の殺人 角川書店 1988.4 のち文庫
- 春の砂漠 文藝春秋 1988.4 のち文庫
- 火宅の女-春日局 角川書店 1988.10 のち文庫
- 芸能社会 読売新聞社 1989.2 のち文春文庫
- はやぶさ新八シリーズ
- はやぶさ新八御用帳 講談社、のち文庫
- 大奥の恋人 1989
- 江戸の海賊 1989
- 又右衛門の女房 1991
- 鬼勘の娘 1992
- 御守殿おたき 1993
- 春月の雛 1994
- 寒椿の寺 1996
- 春怨根津権現 1997
- 王子稲荷の女 1998
- 幽霊屋敷の女 1999
- はやぶさ新八御用旅 講談社、のち文庫
- 東海道五十三次 2001
- 中仙道六十九次 2002
- 日光例幣使道の殺人 2004
- 北前船の事件 2006
- 犬のいる窓 毎日新聞社 1990.3 のち文春文庫
- 千姫様 角川書店 1990.9 のち文庫
- 花影の花 大石内蔵助の妻 新潮社 1990.12 のち文庫
- 嵯峨御絵巻 角川書店 1992.11
- 南総里見八犬伝(曲亭馬琴原作)中央公論社 1993.4 のち文庫
- 絹の道 文藝春秋 1993.1 のち文庫
- お夏清十郎 新潮社 1993.2 のち文庫
- 五人女捕物くらべ 講談社 1994.3 のち文庫
- セイロン亭の謎 中央公論社 1994.3 のち新潮文庫
- 太平記 講談社 1994.7 (少年少女古典文学館 第14巻)
- 水鳥の関 文藝春秋、1996 のち文庫
- 幸福の船 新潮社 1998.11 のち文庫
- 妖怪 文藝春秋 1999.1(鳥居耀蔵)のち文庫
- 平安妖異伝 新潮社 2000.6 のち文庫
- 獅子の座 足利義満伝 中央公論新社 2000.10 のち文春文庫
- 魚の棲む城 新潮社 2002.3 のち文庫
- 道長の冒険 平安妖異伝 新潮社 2004.6 のち文庫
- 西遊記 毎日新聞社 2007
映画脚本
- 青幻記 遠い日の母は美しく 1973 (成島東一郎、伊東昌輝との共同脚本)
主なドラマ脚本
- 明治の女(1963年(昭和37年)に東芝日曜劇場で放送されたTBSのテレビドラマ、原作・長谷川伸の脚本を担当)
- 女と味噌汁シリーズ(1965年(昭和39年)から1980年(昭和55年)まで東芝日曜劇場で全38話放送されたTBSのテレビドラマ、原作・脚本を担当)
- 肝っ玉かあさんシリーズ(1968年(昭和43年)から1972年(昭和47年)まで全3シリーズ放送されたTBSのテレビドラマ、原作・脚本を担当)
- ありがとうシリーズ(1970年(昭和45年)から1975年(昭和50年)まで全4シリーズTBSのテレビドラマ、原作・脚本を担当)
- 下町の女シリーズ(1970年(昭和45年)から1974年(昭和49年)まで東芝日曜劇場で全8話放送されたTBSのテレビドラマ、原作・脚本を担当)
- 新・平家物語(1972年(昭和47年)に放送されたNHKのテレビ大河ドラマ第10作目、原作・脚本を担当)
- この町の人(1975年(昭和50年)で土曜ドラマ枠で放送されたNHKのテレビドラマ作目、原作・脚本を担当)放送されたNHKのテレビドラマ、原作・脚本を担当)
- 明日がござる(1975年(昭和50年)に1年間放送されたTBSのテレビドラマ、原作・脚本を担当)
- 平岩弓枝ドラマシリーズ(1977年(昭和52年)から1985年(昭和60年)まで放送されたフジテレビのドラマシリーズ。原作だけでなく脚本も担当した)
随筆
- お宮のゆみちゃん 現文社 1967 のち文春文庫、中公文庫
- 旅路の旅 朝日ソノラマ 1969 のち中公文庫
- 女らしいということ 心を奪う魅力と知恵 大和書房 1970 のち文庫
- 愛するひとができたら 妻となる日の心得 大和書房 1971
- 女らしさの知恵 “ごめんなさい”と素直に言える心 祥伝社 1977 (ノン・ブック)「女らしいということ」大和文庫
- 隣の花はなぜ赤い 伊東昌輝共著 学習研究社 1979 「茶の間の人間学」ケイブンシャ文庫
- わたしの万葉集 大和書房 1986 のち新潮文庫
- 水曜日のひとりごと 毎日新聞社 1987.5 のち文春文庫
- 女性のための外国旅行 ミリオン書房 1990.10
- 窓のむこうに 広済堂出版 1995.10 のち新潮文庫
- 風よヴェトナム 新潮社 1998.2 のち文庫
- 極楽とんぼの飛んだ道 私の半生、私の小説 講談社 1999.2 のち文庫
- ものは言いよう 講談社 2000.9 のち文庫
- 伴侶の死(編)文藝春秋 2001 のち文庫
- 「御宿かわせみ」読本(編)文春文庫 2003.4
- 老いること暮らすこと 講談社 2003.12 のち文庫
- なかなかいい生き方 講談社 2007.4
作詞
脚注
関連項目
典拠レコード: