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| − | '''堀 正旗'''（ほり せいき、[[1895年]][[3月14日]] - [[1953年]][[4月28日]]）は、[[宝塚歌劇団]]創成期の[[劇作家]]、[[演出家]]。理事。[[広島県]][[広島市]]生まれ。 | + | '''堀 正旗'''（ほり せいき、[[1895年]][[3月14日]] - [[1953年]][[4月28日]]） |
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| − | [[久松一声]]、[[坪内士行]]、[[岸田辰彌]]、[[白井鐵造]]、[[小野晴通]]らと宝塚の基盤を築いた功労者。[[1928年]]の外遊後、フランスに学んだ白井のパリ・オペレッタに対して宝塚に本式のドイツ演劇を持ち込んだ事で知られる。 | + | [[宝塚歌劇団]]創成期の[[劇作家]]、[[演出家]]。理事。[[広島県]][[広島市]]生まれ。 |
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| − | == 経歴 ==
| + | [[久松一声]]、[[坪内士行]]、[[岸田辰彌]]、[[白井鐵造]]、[[小野晴通]]らと宝塚の基盤を築いた功労者。 |
| − | 父親は医師で野添家の四男として生まれる。名前は日本が[[日清戦争]]に勝利した年の生まれで「正義の御旗」という意味で付けられたという。生後すぐに母親が死に、父が再婚したため堀家に[[養子]]に出される。広島市の済美学校を卒業すると[[郵政省|郵政]][[官僚]]だった長兄に引き取られ[[愛知県]]や[[大阪府]]などで育つ。[[愛知県立旭丘高等学校|愛知一中]]、[[大阪府立市岡高等学校|市岡中学]]を経て[[第三高等学校 (旧制)|第三高等学校]]入学。[[法律家]]になることを強要されたが[[肺結核]]を病み療養生活を送る。[[キリスト教]]に傾斜し[[山室軍平]]に師事、救世軍士官学校に進む。しかしまた結核がぶり返し再度の療養生活。この時[[小林一三]]が創設した宝塚国民座の脚本募集に入選し[[1919年]]、小林が国民劇創設のため作った「男子養成会」の創設メンバー・男子専科生第一期生として宝塚入りした。同期は[[青山圭男]]やのちに[[新国劇]]入りした[[辰巳柳太郎]]ら。半年後、岸田辰弥と白井鐵造も養成会入りした。
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| − | [[坪内士行]]を通じ[[坪内逍遥]]と知り合い、[[ウィリアム・シェイクスピア|シェイクスピア]]作品と出会う。のち一連のシェイクスピア劇を手掛けた。男子専科は1年持たず解散されたため『[[歌劇 (雑誌)|歌劇]]』誌編集部に入った。翌[[1920年]]3月、[[宝塚少女歌劇]]第25回公演のうち『思ひ出』で演出家デビューする。これは旧制三高時代に感激して読んだマイヤー・フェルスターの『[[アルト・ハイデルベルク]]』の改作である。[[1922年]]5月『歌劇』誌編集長。脚本集・楽譜集などの編集他、論文なども発表した。[[1923年]]7月編集長を降り、作者・脚本・教師・図書館長を兼任。[[1924年]]、新設された脚本部に転出。[[1928年]]小林の命により白井と照明家・井上正雄と洋行。当時全盛期を迎えていたアメリカ製[[ミュージカル]]や[[トーキー]]の[[レヴュー (演芸)|レビュー]]映画を見た後、レビュー全盛期のパリ入り。堀は当時演劇界に新風を巻き起こしていた[[新即物主義]]（ノイエ・ザハリヒカイト）の提唱者[[マックス・ラインハルト]]の拠点・[[ベルリン]]に留まり演劇の勉強を続けた。白井も3年パリに残った。
| + | [[1928年]]の外遊後、フランスに学んだ白井のパリ・オペレッタに対して宝塚に本式のドイツ演劇を持ち込んだ事で知られる。 |
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| − | 帰国後の白井によって上演された傑作レビュー『パリゼット』（[[1930年]]8月初演）で宝塚は大きく飛躍した。堀も帰国後座付作者となり、[[小夜福子]]を中心としたドイツ風の[[オペレッタ]]で、[[葦原邦子]]を中心とする白井のパリのレビュー風作品に対抗、"レビューの白井、演劇の堀"として高い人気を得た。代表作の一つ[[1934年]]の『青春』は女役が[[轟夕起子]]一人で、他は小夜福子以外、全員[[男役]]という異色の学生モノドラマだった。しかしあまりにもドラマがかっていて宝塚にふさわしくない、と批判も出た。小夜と葦原は宝塚の第1期黄金時代のトップスターだった。白井に比べると、堀の仕事や作品はどちらかといえば地味な印象だが、歴史に残る優れた作品を数多く作・演出している。それらの作品群は、重厚でありながら、かつ洗練された演劇的な香り高い名作が多い。またヨーロッパ演劇の理論や実際に精通した演出家・理論家として『歌劇』誌などに多数の論文を発表している。また図書館長時代の仕事として宝塚のエンサイクロペディア『寶塚少女歌劇廿年史』の編集などにもあたった。[[南風洋子]]の芸名の名付け親でもある。
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| − | 私生活では、[[1927年]]に[[宝塚歌劇団10期生]]の[[音羽瀧子]]（[[雪組 (宝塚歌劇)|雪組]][[娘役]]）と結婚した。同時期に白井と[[宝塚歌劇団10期生]]の[[沖津浪子]]（[[花組 (宝塚歌劇)|花組]][[男役]]）も付き合い始めたため、2組でよく連れ立って遊びに行っていたという。白井と沖津の結婚と合わせ以降、先生の生徒の結婚が常識となった。[[大阪大学]][[医学部]]時代に演劇をやっていた[[手塚治虫]]は、堀家によく出入りしていたという。親族は、実子にテレビドラマ『[[どてらい男]]』や『[[眠狂四郎 (1972年のテレビドラマ)|眠狂四郎]]』などの[[プロデューサー]]で[[関西テレビ放送|関西テレビ]]副社長を務めた野添泰男、義妹に[[宝塚歌劇団15期生]]の[[白濱小浪]]、姪に[[音羽滝子]]らがいる。
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| − | == 演出作品 ==
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| − | *思ひ出（[[宝塚音楽学校|宝塚少女歌劇]]、1920年3月）※ヴィルヘルム・マイヤーフェルスター作、「[[アルト・ハイデルベルク]]」の改作
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| − | *人格者（作も、[[雪組 (宝塚歌劇)|雪組]]、1922年9～10月）
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| − | *蘇生（作、[[花組 (宝塚歌劇)|花組]]、1923年4～5月）
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| − | *死の勝利（作、[[月組 (宝塚歌劇)|月組]]、1923年5月）
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| − | *檢察官（作、花組、1923年7～8月）
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| − | *葛の葉（月組、1924年10月）
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| − | *巡禮唄（共作、月、花、雪組、共同、1925年1月）
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| − | *貴妃酔酒（作、花組、1925年2月）
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| − | *舞踊劇・狐塚（作のみ、雪組、1925年3月）
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| − | *舞踊・五人道成寺（詞、雪組、1925年5月）
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| − | *出陣（花組、1925年6月）
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| − | *小田巻草紙（雪組、1925年11月）
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| − | *陽春（作、月組、1926年1月）
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| − | *玉取物語（雪組、1926年6月）
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| − | *夏三題（雪組、1926年8月）
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| − | *小萩塚物語（作、花組、1926年12月）
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| − | *阿七狂焔（作、雪組、1927年1月）
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| − | *曾我兄弟（作、花組、1927年3月）
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| − | *人格者（作、月組、1927年5月）
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| − | *國性爺（作、月組、1927年8月）
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| − | *南方女児国（1927年8月）
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| − | *嫁違ひ（作、花組、1928年2月）
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| − | *三人靜（作、月組、1928年3月）
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| − | *廻り燈籠（作、月組、1928年7月）
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| − | *室戸の鯨 他（月組、共同、1928年9月）
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| − | *貴妃醉酒（作、花組、1930年7月）
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| − | *楠木正成（作、雪組、1931年5月）
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| − | *ユング・ハイデルベルヒ（作、月組、1931年10月）
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| − | *第七天國（作、雪組、1932年1月）
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| − | *ベルリン娘（訳・演、月組、1933年5月）
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| − | *シェーネス・ベルリン（作、星組、1934年8月）
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| − | *シェーネス・ベルリン（雪組、1934年9月）
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| − | *青春（作、花組、1934年11月）
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| − | *モオンブルウメン(モンブルーメン)（作、月組、1935年6月）
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| − | *ブロンドローレ（雪組、1935年11月）
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| − | *人格者（作、花組、1936年2月）
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| − | *ズッセ・ブラウト（雪組、1936年3月）
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| − | *ルペン・ローゼ（作、花組、1936年5月）
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| − | *セレナーデ（作、雪組、1936年12月）
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| − | *セレナーデ（雪組、1937年1月）
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| − | *プリマ・ドンナ（花組、1937年2月）
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| − | *黎明（月組、1937年7月）
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| − | *皇國のために（花組、1937年10月）
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| − | *もつれた花束（月組、1938年3月）
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| − | *衣川合戦（星組、1938年5月）
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| − | *八幡船物語（花組、1939年10～11月）
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| − | *乙女の祈り（花組、1940年8～9月）
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| − | *國民（脚・演、花組、1940年11～12月）
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| − | *日本名婦傳（構、花組、1941年1月）
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| − | *樂しき隣組（雪組、1941年5～6月）
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| − | *郭公（月組、1942年11～12月）
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| − | *撃ちてし止まむ（雪組、1943年2～3月）
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| − | *日の丸船隊（花組、1943年6～7月）
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| − | *翼の女子挺身隊（月組、1944年1月）
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| − | *櫻井の駅（雪組、1944年2～3月）
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| − | *[[カルメン (オペラ)|カルメン]]（改、雪組、1946年4～5月）
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| − | *リラの花咲く頃（雪組、1947年11月）
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| − | *再び君が胸に（花組、1948年7月）
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| − | *[[ハムレット (宝塚歌劇)|ハムレット]]（雪組、1949年1月）
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| − | *ハムレット（花組、1949年12月）
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| − | *アレキサンドリアの舞姫（月組、共同、1949年4～5月）
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| − | *カルメン（花組、1949年7～8月）
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| − | *ロミオとジュリエット（改、星組、1950年2月）
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| − | *君を呼ぶ歌（雪組、1950年7月）
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| − | == 参考文献 ==
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| − | *津金澤聡広・名取千里編著 『タカラヅカ・ベルエポック 歌劇+歴史+文化=宝塚』 [[神戸新聞]]綜合出版センター、1997年
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