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[[File:Nukuoro ISS013-E-28610.jpg|thumb|250px|right|[[ミクロネシア連邦]][[ヌクオロ環礁]]、[[アメリカ航空宇宙局|NASA]]による衛星写真]]
 
[[画像:サンゴ1542.jpg|thumb|250px|right|八重山黒島周辺のサンゴ]]
 
'''サンゴ礁'''(サンゴしょう、'''珊瑚礁'''、'''さんご礁'''、{{lang|en|Coral reef}})は、[[造礁サンゴ]]の[[群落]]によって作られた[[地形]]の一つ。[[熱帯]]の外洋に面した[[海岸]]によく発達する。
 
  
== 概要 ==
+
'''サンゴ礁'''(サンゴしょう、'''珊瑚礁'''、'''さんご礁'''、{{lang|en|Coral reef}})
[[Image:EilatFringingReef.jpg|thumb|[[紅海]]、[[エイラート]]のサンゴ礁]]
 
造礁サンゴの繁殖に適している[[海]]は、25-30℃ほどの高[[水温]]、3-4%ほどの高い[[塩分濃度]]、深くても[[水深]]30mほどの浅くてきれいな海域である。[[赤道]]付近では[[貿易風]]によって西向きの[[暖流]]が発生し、高緯度地方からの[[寒流]]がその後に入りこんでいる。[[太平洋]]、[[インド洋]]、[[大西洋]]どれも西側にサンゴ礁が集中し、東側にあまり見られないのはこの理由による。また、大規模なサンゴ礁でも、[[河口]]域を避ける形をとっているのが見られる。
 
  
日本では[[南西諸島]][[伊豆諸島]]、[[小笠原諸島]]など南部の島嶼部でサンゴ礁が見られるが、サンゴ礁は水温18℃ほどまで形成されるので、日本本土でも小規模なものならば[[対馬海峡]]以南と[[房総半島]]以南の各地で見られる。
+
[[刺胞動物]]の石灰質の骨格によって浅海域に形成された隆起地形。刺胞動物のうち,特にサンゴ虫が造礁性生物([[造礁サンゴ]])として主要な役割を果たしている。サンゴ礁はおもに[[熱帯]]海域に分布している。サンゴ虫は清澄な暖水海域の 50m以浅で,水温 18℃以上 35℃以下,塩分 34.5‰前後のところで成育するが,特に成育の盛んなところは,水温 25~30℃で,30m以浅,底が硬い岩盤の海水運動の盛んな海域である。[[裾礁]]から[[堡礁]]を経て,[[環礁]]ができるというサンゴ礁の成因説は,1842年にチャールズ・R.[[ダーウィン]]によって発表された。これに対して,1915年にレジナルド・A.[[デーリー]][[氷河]]制約説を提唱し,大陸氷河([[氷床]])が溶けて海面が上昇したため,結果的に沈降したとした。また今日見られる海面近くのサンゴ礁は,[[新生代]]の[[更新世]]に入ってからの約 100mの海面上昇の影響を受けているという折衷説もある。サンゴ礁は海岸生物の生息環境として重要で,またサンゴ虫と[[共生]]している褐虫藻の[[光合成]]により石灰質基盤が形成されるため,二酸化炭素を固定することによって[[地球温暖化]]防止に貢献している。([[サンゴ]])
 
+
造礁サンゴには[[ミドリイシ]]、[[ノウサンゴ]]、[[キクメイシ]]など数100種類もあるが、これらは直径1cm足らずの[[イソギンチャク]]に似た小さな[[ポリプ]]がたくさん集まって[[群体]]をなしたもので、様々な形のサンゴは、たくさんのポリプがそれぞれの種類によって独自の[[骨格]]を形成したものである。
 
 
 
サンゴのポリプは[[プランクトン]]を捕食するが、体内に[[光合成]]を行う[[褐虫藻]]を[[共生]]させ、その栄養分をもらうこともできる。成長したポリプは[[分裂]]して増え、海水中の[[二酸化炭素]]や[[カルシウム]]を取りこみ、[[炭酸カルシウム]]を主成分とした骨格をつくる。たくさんの造礁サンゴが生命活動を行った結果、サンゴの下には厚い[[石灰岩]]の層ができ、サンゴ自身はさらに上へ、沖へと成長する。
 
 
 
サンゴ礁付近の[[砂浜]]は波浪で折れたり、動物に齧られたりしたサンゴの残骸を含んで白っぽくなる。他にも[[貝類]][[ウニ]]、[[有孔虫]]の死殻なども海岸に堆積する。このようにサンゴ礁の砂浜の砂は、その大部分が生物起源であり、多くが石灰質である。これらの石灰分が堆積し、一部が溶けて再び固まることで、砂粒を含んだまま岩石となったものが[[ビーチロック]]である。
 
 
 
こうした生物と自然の営みが長い時間をかけて積み重なった結果、石灰岩の岩盤による広いサンゴ礁ができ、地形を変えてしまう。上空からサンゴ礁のある海域を見ると、藍色の海にサンゴ礁の浅瀬が水色やエメラルドグリーンに浮かび上がる。
 
<gallery>
 
ファイル:Coral_reef_locations.jpg|サンゴ礁の分布
 
ファイル:GreatBarrierReef-EO.JPG|[[グレート・バリア・リーフ]]の衛星写真
 
ファイル:Coral reef diagram.jpg|サンゴ礁の地形。Shore:海岸 Inner reef:内礁 Reef crest:礁縁部 Outer reef:外礁 Reef limestone:石灰岩層
 
</gallery>
 
 
 
== 分類 ==
 
サンゴ礁はその形態により、大まかに裾礁、堡礁、環礁の3つに分けることができる。
 
 
 
海岸部に接して発達したサンゴ礁を裾礁(きょしょう)という。外礁(サンゴ礁の縁)に囲まれた礁の内部は浅い礁池(しょうち)となり、上空から見ると水色に見える。現在の[[日本]]のサンゴ礁のほとんどが裾礁である。
 
 
 
外礁が[[防波堤]]のように環状に島を取り囲み、礁と島の間にやや深い礁湖(しょうこ・[[ラグーン]])があるものを堡礁(ほしょう)という。[[チューク島]](トラック諸島)などが例として挙げられる。堡礁は、中央の島を取り囲んでいるもの以外に、大陸を取り囲んでいるものもいう。大陸を中心に取り囲んでいるので有名なのが[[オーストラリア]]の[[グレート・バリア・リーフ]](大堡礁)である。
 
 
 
礁の中央に島がなく、環状の外礁と礁湖のみがあるものを[[環礁]](かんしょう)という。[[ムルロア環礁]]や[[沖ノ鳥島]]などが例として挙げられる。
 
[[File:Coral atoll formation animation.gif|thumb|200px|サンゴ礁形成と裾礁-堡礁-環礁の移行を示すアニメーション]]
 
 
 
このようなサンゴ礁の形態の違いは、島の沈降もしくは海面の上昇によると考えられている。堡礁や環礁の形成過程については、裾礁を抱える島が[[地殻変動]][[侵食]]により沈降し堡礁や環礁に変化したとする[[沈降説]]と、[[最終氷期]]の[[海水準変動]]によって生じた裾礁が海面の上昇により堡礁や環礁に変化したとする[[氷河制約説]]とがあり、共に一定の評価を得ている。特に沈降説は、[[チャールズ・ダーウィン]]によるもので、現在では[[プレートテクトニクス]]と連動している。
 
 
 
サンゴ礁が隆起や海面降下により島となる場合もある。[[宮古島]]や[[沖永良部島]]などがその例で、島が全体的に平坦な形となるのが特徴である。また、[[北大東島]]と[[南大東島]]は島の中央が凹んでおり、周囲を囲むように高い部分がある。これは、隆起した環礁であると考えられている。
 
 
 
また、[[パラオ]]などはサンゴ礁内に大きな[[鍾乳洞]]があるが、鍾乳洞は陸上でなければ形成されないので、かつてそこは陸上だったことになる。これはサンゴ礁が海面の降下で海面上に現れ、侵食を受けて鍾乳洞ができ、再び海面が上昇したときに海底となったもので、現在島となっている部分は侵食されずに残った部分である。
 
 
 
=== サンゴ礁の構成と化石 ===
 
サンゴ礁を形成するのは、必ずしも[[造礁サンゴ]]だけではない。他にも石灰質の骨格を大きく発達させるものがあれば、サンゴ礁を形成する要素となり得る。現在のサンゴ礁では、[[紅藻]]類である[[石灰藻]]が優占する場所もある。また、必ずしもサンゴ礁の形成には関わらないものの、石灰質の殻を作るため、サンゴ礁での石灰質の蓄積に関わるものとして、[[二枚貝]]類である[[シャコガイ]]や、大型の[[有孔虫]]である[[ゼニイシ]]や[[星の砂|ホシズナ]]が多数生息している。ホシズナはサンゴ礁の[[砂浜]]の構成要素となり、場所によってはほとんどホシズナだけの砂浜が見つかる。化石としてもサンゴ礁の[[化石]]は[[古生代]]以降、たびたび出現している。具体的には、[[造礁サンゴ]]の化石を含む[[石灰岩]]の形を取る。
 
 
 
現在のサンゴ礁は熱帯を中心とする、温暖で透明度が高く、浅い海域にのみ出現する。この理由は、造礁サンゴが[[褐虫藻]]という単細胞藻類を[[共生]]させているからである。これは単なる偶然や、栄養上の必要性だけではなく、褐虫藻の[[光合成]]があってこそ、サンゴの石灰質の骨格が、これだけの成長速度を維持できるらしいと考えられている。ちなみに、シャコガイやホシズナも褐虫藻を共生させている。このことから、過去のサンゴ礁でも似たような状況があったものと考えられる。そこで、'''サンゴ礁の化石'''が出た場合、その時代のその場所は、熱帯か亜熱帯の、温暖で浅い海域であったと判断することができる。このように、その化石の発見によって、その時代のその場所の[[環境]]が判断できる場合、そのような化石を[[示相化石]]とよんでいる。
 
 
 
ただし、サンゴ礁の形成は[[沈降説]]にも述べられているように、島の沈降と海洋プレートの移動が大きく関わっている。サンゴ礁の形成される海域と、化石となって出土する地点が大きく変わる可能性や、他の地層の中に取り込まれて出現する可能性も考えなければならない。
 
 
 
== サンゴ礁の環境と生物 ==
 
[[ファイル:Blue Linckia Starfish.JPG|thumb|180px|外部礁斜面に生息する[[アオヒトデ]]。[[ミドリイシ]]などのサンゴや[[ハナダイ]]類も見える。写真中央左にいるのは[[オニヒトデ]]ではなく[[ウミシダ]]。]]
 
礁の外側は急に深くなっており、波も高いが、外礁に囲まれた礁池や礁湖は、外礁が激しい波浪を止める天然の[[防波堤]]となるため、波が穏やかである。サンゴのすき間は小さな生物の隠れ場所に都合がよく、それらを捕食する大型動物も集まってくる。さらに礁池の内外には[[砂浜]]や[[アマモ]]場もできるので、これらも含めるとサンゴ礁には実に多様な環境が作られ、多くの生物が生息することとなる。サンゴ礁は[[生物多様性]]の観点からも重要な場所といえよう。
 
 
 
ここではサンゴ礁に生息する生物のごく一部を挙げる。
 
 
 
=== 海岸 ===
 
サンゴ礁付近の岩礁海岸や砂浜は石灰分を多く含むので、石灰分の多い土壌に適応した特有の植物が自生する。[[草本]]では[[イソフサギ]]や[[クサトベラ]]、[[ハママンネングサ]]など、[[木|木本]]では[[オオハマボウ]]や[[アコウ (植物)|アコウ]]などが挙げられる。これらの木陰には[[オカヤドカリ]]や[[ヤシガニ]]などの動物が生息する。なお、岩のすき間は[[ウミヘビ科|ウミヘビ類]]のねぐらや産卵場所となる。
 
 
 
砂浜では[[ハマヒルガオ]]や[[グンバイヒルガオ]]、[[コウライシバ]]などが自生し、植物が生えない波打ち際付近には[[ミナミスナガニ]]や[[ツノメガニ]]などの[[スナガニ]]類が生息する。なお、砂浜は[[ウミガメ]]類の産卵場所となる。
 
 
 
=== 礁の内側 ===
 
波が穏やかな礁の内側には多くの生物が生息する。ふだんは礁の外側に生息する大型魚が、産卵や採餌のために礁の内側へ入ってくることもある。
 
* [[爬虫類]] - [[タイマイ]]や[[アオウミガメ]]などの[[ウミガメ]]類、[[エラブウミヘビ]]や[[クロガシラウミヘビ]]などの[[ウミヘビ科|ウミヘビ]]類
 
* [[魚類]] - [[スズメダイ]]、[[チョウチョウウオ]]、[[ベラ]]、[[ネンブツダイ]]、[[ハリセンボン]]、[[ウツボ]]など
 
* [[軟体動物]] - [[シャコガイ]]、[[イモガイ]]、[[タカラガイ]]、[[ホラガイ]]、[[ヤコウガイ]]、[[コブシメ]]、[[テナガダコ]]、[[ヒョウモンダコ]]など
 
* [[甲殻類]] - [[オトヒメエビ]]、[[カクレエビ]]類、[[イセエビ]]類、サンゴガニ、[[オウギガニ]]類など
 
* [[棘皮動物]] - バイカナマコ、パイプウニ、[[ガンガゼ]]、[[オニヒトデ]]、[[クモヒトデ]]など
 
* [[刺胞動物]] - [[サンゴ]]類、[[サンゴイソギンチャク]]、[[ソフトコーラル]]、[[クラゲ]]類など
 
 
 
<gallery>
 
ファイル:GiantShell.jpg|シャコガイ(グレート・バリア・リーフ内ミコマス・ケイ)
 
ファイル:ChrysipteraCyanea.jpg|ルリスズメダイ(石垣島・白保)
 
ファイル:ChaetodonMelannotus.jpg|アケボノチョウチョウウオ(石垣島・白保)
 
</gallery>
 
 
 
=== 海草藻場 ===
 
礁池内の、潮下帯の浅いところから水深数m程度の所にかけて、[[海草]]の繁茂する[[藻場]]が各所に形成される。たとえば沖縄では[[ウミジグサ]]や[[ボウアマモ]]、[[ウミショウブ]]などの数種類の海草が生息している。藻場は様々な小型動物の生息場になり、魚類の稚魚の拠り所となる。さらに[[藍藻類]]が多量に生息することで[[窒素固定]]が行なわれる場でもあり、サンゴ礁の高い生産力を支えている。
 
 
 
=== 礁の外側 ===
 
外礁を過ぎると水深は急に深くなる。斜面には多くのサンゴが枝を広げ、礁の内側と同じように小魚もいるが、その周囲には[[キントキダイ]]や[[シマアジ]]、[[フエダイ]]、[[ハタ (魚類)|ハタ]]など大型魚が見られ、[[オニイトマキエイ]]や[[シュモクザメ]]なども姿を現す。
 
 
 
=== 危険な生物 ===
 
色とりどりのサンゴや生物に彩られたサンゴ礁だが、これらの生物には棘や[[毒]]をもった生物や獰猛な生物も多く、中には命に関わるほどの毒をもつものもいる。
 
* 爬虫類 - [[ウミヘビ科|ウミヘビ]]。東南アジアからオーストラリアにかけては[[イリエワニ]]も姿を現す。
 
* 魚類 - [[サメ]]、[[エイ]]、[[ミノカサゴ]]、[[ダルマオコゼ]]、[[アイゴ]]、[[ウツボ]]など
 
* 軟体動物 - [[ヒョウモンダコ]]、[[イモガイ]]類など
 
* 棘皮動物 - [[ガンガゼ]]、ラッパウニ、[[オニヒトデ]]など
 
* 刺胞動物 - [[サンゴイソギンチャク]]、[[スナイソギンチャク]]、[[ウンバチイソギンチャク]]、[[カツオノエボシ]]、[[ハブクラゲ]]、[[アナサンゴモドキ]]、[[シロガヤ]]など
 
 
 
また、食用魚にも注意が必要である。[[フグ]]類の毒はよく知られているが、サンゴ礁域に生息する[[バラハタ]]や[[バラフエダイ]]、[[ヒラマサ]]、[[イシダイ]]、[[イシガキダイ]]などの大型魚は藻類に由来する[[シガトキシン]]という毒を体内に蓄える。小さな個体は危険が薄いが、大型個体を食用にする際は注意しなければならない。
 
 
 
== サンゴ礁の生態系 ==
 
サンゴ礁はきわめて多様な生物が、高い密度で生息している環境である。ちょっと覗いただけでも、色とりどりの魚が乱舞するのが見られる。岩の上には[[ナマコ]]類がゴロゴロしており、また、サンゴの隙間や転石の下を見ても、さまざまな[[無脊椎動物]]を見ることができる。このように多様な生物が高い密度で生息できる理由として、いくつかの要因が考えられる。
 
 
 
* 年間を通じて温暖であること。熱帯亜熱帯の、年間を通じて高水温の海域である。一般に、寒冷な季節などの物理化学的条件の厳しい時期がない環境のほうが生物の多様性は高い。
 
* 海底を埋めるサンゴの骨格が、非常に多様な底質や[[足場]]を供給すること。板状や枝状のサンゴは、さまざまな大きさの隙間を作り、そこが大小さまざまの生物の隠れ家を提供する。また、通常の岩に比べてサンゴの骨格は柔らかいので、さまざまな[[穿孔性]]の生物が住みやすくなっている。また、サンゴ礁全体の構造もそれを支えている。
 
* サンゴ礁は透明度の高い、浅い海であるから、太陽の光も強く、そのことが[[生態系]]全体を支える'''生産量'''を裏打ちしているとも言える。しかしながら、透明度が高いということは、貧栄養であり、しかも[[プランクトン]]が少ないことを意味し、このことは生産量を確保する上では不利な点である。しかも、サンゴ礁では大型の[[海藻]]があまり見られない。では、サンゴ礁における[[生産者]]は何かと言えば、やはりサンゴである。サンゴは動物であるが、体内に[[褐虫藻]]を[[共生]]させているので、実質的には生産者としての役割をもっている。ただし、サンゴを直接に食べる動物はそれほど多くない。サンゴの骨格ごと齧りとるブダイ類や、[[オニヒトデ]]がある程度である。外に、[[チョウチョウウオ]]などもサンゴのポリプなど、軟体部をつまむように食べるらしい。それ以外には、サンゴを直接食べるものはあまりいない。それではどのように利用されているかと言えば、サンゴが体表から分泌する[[粘液]]がかなり利用されているらしい。
 
* 生産者による生産量に関する限定要因になるものには、光合成に直接かかわる要因の他に、窒素やリンなど、肥料分の量がある。この点でも、サンゴ礁では、見掛け上、それらの供給が多いとは思えない。窒素については、礁池の砂の表面に生息する藍藻類が窒素固定を行なっているともいわれている。
 
* 魚類は種類が非常に多く、チョウチョウウオやブダイ類では近似種が多数あり、それぞれに異なった模様で共存している。視覚的情報で種を見分けているとも言われる。
 
* また、サンゴの隙間にも、さまざまな小型の無脊椎動物が生息している。その中にはサンゴと[[共生]]しているものも見られる。
 
* サンゴ礁に住む魚は一般にハデな色彩をしている。[[本川達雄]]によれば、限られた空間であるサンゴ礁には、様々な種類がひしめき合っており、水も透明で、ハデな色は魚同士のコミュニケーションの手段であり、その中から自分の仲間や配偶者を識別しなければならないからという。
 
 
 
== サンゴ礁の危機 ==
 
=== 赤土流出 ===
 
陸での乱開発等により、陸上の[[土壌]]が海に流れ込むと、水が濁り、サンゴに光が当たらなくなるだけでなく、それが沈殿するとサンゴの表面に泥が貯まり、そのためにサンゴが窒息する場合もある。そのため、陸の側で貯水池を作り、泥土を沈殿させて除去する等の対策も行われている。しかし、熱帯や亜熱帯の土壌に特有の[[ラテライト]](赤土)には、沈殿しにくい極微小な[[粘土]]粒子が多量に含まれ、豪雨時などは容易に海へ流出する。そのため、広範囲のサンゴ礁の破壊の原因となっている。
 
 
 
=== 白化 ===
 
褐虫藻がサンゴから抜けてしまうと、サンゴから色が抜け、石灰質から成る骨格の[[白]]色ばかりが目立つようになる。これをサンゴの白化(白化現象)という。白化は元に戻る場合もあるが、長く続くとやがてサンゴのポリプも死滅してしまう。白化の現象自体は古来から知られていたが、近年は大規模に起こる傾向がある。
 
 
 
2016年度の環境省調査では、白化度が100%から90%の地域も見られる<ref>[http://www.env.go.jp/press/103650.html モニタリングサイト1000サンゴ礁調査の平成28年度調査結果(速報)について](環境省)</ref>。2018年度のサイエンス誌に掲載された論文「Spatial and temporal patterns of mass bleaching of corals in the Anthropocene」での世界100カ所の1980年から2016年間の調査結果でも、地球温暖化によって白化期間からの回復期間が短く回復が難しくなっている現状が報告された<ref name=bbc2018/>。
 
 
 
====原因====
 
;富栄養化
 
:サンゴ礁はもともと外洋に面しており、光合成に必要な[[無機化合物|無機塩類]]に乏しい環境なので、[[海藻]]や[[植物プランクトン]]は少ない。サンゴの体内の褐虫藻はライバルの少ない環境で、サンゴが出す老廃物を利用して光合成を行い、ひいては宿主のサンゴも養うことができる。
 
 
 
:海が富栄養化すると、海中に漂う植物プランクトンの方が光合成に有利になるため、植物プランクトンの増殖により海水の透明度が低下、褐虫藻が生存できなくなる。
 
 
 
;水温の上昇
 
:その他にも水温の上昇などにより、褐虫藻がサンゴの組織内に保持できなくなる場合がある<ref name=bbc2018>[http://www.bbc.com/news/science-environment-42571484 Coral reefs head for 'knock-out punch'](BBC)</ref>。この場合のメカニズムは、[[富栄養化]]した海水中で水温が高くなると褐虫藻の光合成活性が著しく上昇し、炭酸同化に使いきれないほどの光エネルギーを吸収、これが[[活性酸素]]を大量に発生させてサンゴの体組織を損傷、褐虫藻の排出に至ると考えられている。
 
 
 
;その他
 
:日焼け止めに含まれるパラベンなどの成分が引き金となり低濃度でもサンゴの白化を誘発することが確かめられており、また、藍藻に有害なウイルスの増殖の誘発が同時に確認されている<ref>[http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200802160287.html 日焼け止めでサンゴが白化 伊大学、実験で確認]</ref>。
 
:[[マイクロプラスチック]]を取り込んだサンゴは、褐虫藻との共生が上手くいかないという研究結果もある<ref>[https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0025326X18304879 Microplastics disturb the anthozoan-algae symbiotic relationship] Marine Pollution Bulletin Volume 135, October 2018, Pages 83-89 著:大久保奈弥 Shunichi Takahashi、Yoshikatsu Nakano</ref>。
 
 
 
=== オニヒトデ ===
 
また、世界各地のサンゴ礁で[[オニヒトデ]]による[[造礁サンゴ]]の食害も問題となっている。オニヒトデは大型で、毒の棘が全身に生えているため、駆除も難しい。オニヒトデの[[天敵]]は[[造礁サンゴ]]で、オニヒトデ浮遊幼生を[[造礁サンゴ]]ポリプが食べて相互の天敵関係となる。ホラガイがオニヒトデの天敵であるという説があるが、ナマコやウニなども捕食する他、1個のオニヒトデを消化するのに1週間かかると言われており、大発生したオニヒトデの前では天敵となり得ない。しかもホラガイの実はおいしくて食用利用され、貝殻もきれいなので高価に取引され、これらがホラ貝の減少を招いている事実もある。ホラガイの種苗生産技術は確立していない。
 
 
 
=== 青酸カリ ===
 
[[潜水士|ダイバー]]にとって一種の憧れである[[メガネモチノウオ]](ナポレオンフィッシュ)は、高級食材としても有名である。これを漁獲するために[[シアン化カリウム]](青酸カリ)を使用する漁業者がおり、そのために[[インドネシア]]などのサンゴ礁はぼろぼろになっている。
 
 
 
=== 爆弾漁法 ===
 
[[ダイナマイト]]を使い魚を殺して浮き上がらせる漁法([[ダイナマイト漁]])は通常の漁法よりも漁獲量が多いために世界各地で行われているが、サンゴ礁をひどく破壊し造礁サンゴを死滅させる恐れもある。
 
 
 
==世界のサンゴ礁の状況==
 
2012年におけるサンゴ礁の状況は以下の通りである<ref>地理 統計要覧 2014年版 ISBN 978-4-8176-0382-1 P,146</ref>。
 
{| class="wikitable"
 
|-
 
!地域
 
!総面積(千km<sup>2</sup>)
 
!危機にある面積(%)
 
|-
 
|[[中東]]
 
|14.4
 
|65
 
|-
 
|[[大西洋]]
 
|25.8
 
|75
 
|-
 
|[[インド洋]]
 
|31.5
 
|66
 
|-
 
|[[東南アジア]]
 
|69.6
 
|94
 
|-
 
|[[太平洋]]
 
|66.0
 
|48
 
|-
 
|[[オーストラリア]]
 
|42.3
 
|14
 
|-
 
|([[モルディブ]])
 
|5.3
 
|38
 
|-
 
|([[フィリピン]])
 
|22.5
 
|98
 
|-
 
|([[ハワイ]])
 
|3.8
 
|17
 
|-
 
|'''世界計'''
 
|'''249.7'''
 
|'''61'''
 
|}
 
 
 
== サンゴの移植・植付け ==
 
映像でのメッセージや植付け本数・面積などで広報しやすいことから、多くの企業が[[環境保護]]活動や[[環境教育]]イベントとして、[[サンゴの移植]]・植付けを行っている。しかし、科学的には移植した海域の環境条件がサンゴの育成にとって好ましくなければ、結局そのサンゴは死滅してしまうこと、親サンゴ(ドナー)を損傷する恐れがあることなどから、[[日本サンゴ礁学会]]では[[サンゴの移植]]を奨励していない。
 
 
 
2004年11月、[[日本サンゴ礁学会]]は「造礁サンゴの移植に関してのガイドライン」を発表した<ref>[http://www.jcrs.jp/old/information/ishoku-guideline.pdf http://www.jcrs.jp/old/information/ishoku-guideline.pdf]</ref>。
 
 
 
== サンゴ礁の調査・モニタリング活動 ==
 
* [[リーフチェック]] (Reef Check) - ダイバーによる世界各地で行われているサンゴ礁の調査。
 
* [[コーラルウォッチ]] (CoralWatch) - サンゴに損傷を与えずに白化現象を監視し、サンゴの健康状態を判定。
 
* モニタリングサイト1000(重要生態系監視地域モニタリング推進事業)<ref>[http://www.biodic.go.jp/moni1000/index.html モニタリングサイト1000]</ref> - 環境省自然環境局[[生物多様性センター]]
 
 
 
== サンゴ礁保全活動に取り組んでいる主な日本企業 ==
 
* [[全日本空輸]]<ref>[http://www.ana.co.jp/pr/04-0103/pdf/04-030.pdf 今度の『私の青空』環境貢献活動は サンゴ礁の再生!〜沖縄県・恩納村との官民共同で美ら海を蘇らせます〜]</ref>
 
* [[三菱商事]]<ref>[http://www.mitsubishicorp.com/jp/csr/so_report/s_cont0601-01.html サンゴ礁保全プロジェクト]</ref>
 
* [[住友生命保険]]<ref>[http://www.sumitomolife.co.jp/news/071030.pdf 社会貢献事業「サンゴ礁保全プロジェクト」について]</ref>
 
* [[コーセー]]<ref>[http://www.kose.co.jp/jp/ja/ir/common_ir/pdf/news/20100614.pdf 雪肌精「SAVE the BLUE」キャンペーン2年目 化粧水・乳液購入でボトルの底面積分、サンゴの森を広げます]</ref>
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[サンゴ]] - [[造礁サンゴ]]
 
* [[石灰岩]]
 
* [[岩礁]]
 
* [[沈降説]] - [[氷河制約説]]
 
* [[オニヒトデ]] - [[ホラガイ]]
 
* [[密漁]]
 
* [[朝日新聞]]([[朝日珊瑚事件]])
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://wwwsoc.nii.ac.jp/jcrs/ 日本サンゴ礁学会]
 
* [http://www.coremoc.go.jp/ 国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター]
 
* [http://coral.h2o.co.jp/ リーフチェク]
 
* [http://www.wwf.or.jp/shiraho/ WWFジャパン サンゴ礁保護研究センター白保さんご村]
 
* [http://www.amsl.or.jp/ 財)阿嘉島臨海研究所]
 
* {{EoE|Coral_reef|Coral reef}}
 
{{Commonscat|Coral reefs}}
 
  
 
{{地形}}
 
{{地形}}
 +
{{テンプレート:20180815sk}}
 
{{DEFAULTSORT:さんこしよう}}
 
{{DEFAULTSORT:さんこしよう}}
 
[[Category:海]]
 
[[Category:海]]

2018/10/26/ (金) 23:34時点における最新版

サンゴ礁(サンゴしょう、珊瑚礁さんご礁Coral reef

刺胞動物の石灰質の骨格によって浅海域に形成された隆起地形。刺胞動物のうち,特にサンゴ虫が造礁性生物(造礁サンゴ)として主要な役割を果たしている。サンゴ礁はおもに熱帯海域に分布している。サンゴ虫は清澄な暖水海域の 50m以浅で,水温 18℃以上 35℃以下,塩分 34.5‰前後のところで成育するが,特に成育の盛んなところは,水温 25~30℃で,30m以浅,底が硬い岩盤の海水運動の盛んな海域である。裾礁から堡礁を経て,環礁ができるというサンゴ礁の成因説は,1842年にチャールズ・R.ダーウィンによって発表された。これに対して,1915年にレジナルド・A.デーリー氷河制約説を提唱し,大陸氷河(氷床)が溶けて海面が上昇したため,結果的に沈降したとした。また今日見られる海面近くのサンゴ礁は,新生代更新世に入ってからの約 100mの海面上昇の影響を受けているという折衷説もある。サンゴ礁は海岸生物の生息環境として重要で,またサンゴ虫と共生している褐虫藻の光合成により石灰質基盤が形成されるため,二酸化炭素を固定することによって地球温暖化防止に貢献している。(サンゴ




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