VAIO (企業)
VAIO株式会社(バイオ、英: VAIO Corporation)は、長野県安曇野市に本社を置き、主にパソコンの製造・販売とEMSを手がける企業である。
Contents
概要
2014年(平成26年)7月1日に、ソニーが「VAIO」ブランドにて展開していたパソコン事業が日本産業パートナーズに譲渡されることに伴い発足[1][2]。本社はVAIOの生産拠点である旧ソニーイーエムシーエス長野テクノロジーサイトに置かれた[1][2]。
販売は、引き続きソニーが携わる形でソニーマーケティングが行っており、VAIO OWNER MADEモデル及び法人モデルはソニーストア(ソニー時代はソニーショップでも取扱っていた)でも販売される。2015年3月6日からは、購入後すぐに持ち帰れる「個人向け標準仕様モデル」が一部機種に設定され、全国の大型家電量販店で販売が開始された[3]。
当社の生産分には「VAIO」ロゴの入った青紫色のメッセージカードが封入される。このカードに押されている「安曇野FINISH」(後述)のスタンプは全て手押し[4]。
2017年現在は、企業向け (BtoB) パソコンとEMSが事業の柱。社員の多くが元ソニーの技術者という点や、PCの技術者が手が空いた時はすぐEMSや新規事業の立ち上げに回るなどといった意思決定の速さ、および技術者が営業に回っていることから「営業が技術を解る」ことを売りとしている[5]。
歴史
事業の売却
『VAIO』は、インターネット黎明期である1996年の発売から17年以上の歴史を刻んできた国産パソコンのブランドであったが、2005年にはソニーのエレクトロニクス部門においてAIBOやCLIEなどに続き収益改善が見込まれない製品群とされていた。
2014年2月1日には日本経済新聞朝刊1面とNHKニュースで“レノボグループと合弁会社を設立し、パーソナルコンピュータ(VAIO)の海外向け事業を移管し、国内事業についても民族系企業再生ファンドの日本産業パートナーズから出資を受ける交渉に入った”と報道された。ソニーは報道を受けて交渉は否定するも事業の再編については検討していると一部容認するコメントを同日発表した。
2014年2月6日、ソニーは全世界でのパーソナルコンピュータ事業を終息し、生産や企画に携わる拠点(ソニーEMCS安曇野テック)・従業員を含めた同事業全てをJIPが設立する特別目的会社に譲渡し、2014年夏モデル以降はVAIOブランドを維持した上で新会社が担うことを発表。ソニーは新会社への出資を僅か5%に留め、同事業から実質的に撤退することになった。
ソニーが発売するVAIOは同年2月上旬までに順次発売された2014年春モデルが最終製品となり、ソニーストアでの『VAIOオーナーメイド(CTO方式)モデル』の発売は2014年4月20日に受注終了。カスタマイズ(完成)済みの『VAIOオーナーメイド速配仕様モデル』と家電量販店などで市販される『店頭販売モデル』は在庫が無くなり次第販売終了となる予定である。ソニー発売分のアフターサービスに関してはソニーマーケティングが担当する。
VAIOの設立
2014年5月2日、パーソナルコンピュータ事業を承継する新会社について詳細が発表され、同年7月1日付けで同事業を譲渡し、会社名はVAIO株式会社[6]に移管されることが公表。
2014年7月1日、当社に正式に移管。当面、日本国内向けの製品開発を進める計画で、Windowsを搭載したノートパソコンに製品を絞る。上位モデルは長野県安曇野市にある本社工場での生産を継続し、低価格のエントリーモデルはEMS方式で生産するが日本の本社工場での検品を通す「安曇野FINISH(あづみのフィニッシュ)」によって品質を確保する。
販売戦略は、ソニーの子会社であるソニーマーケティングが当社の販売総代理店を請け負い、ソニー直営店と直販サイト「ソニーストア」を販売の中心とする方針に転換し、家電量販店での販売は一部の機種とオーナーメイド受付のみとする[7]。
2015年6月日本産業パートナーズから送り込まれた双日元常務の企業再生専門家大田義実が社長に就任[8][9]。2015年12月に東芝と富士通との3社によるパソコン事業を統合する検討に入ったと報じられ、実現すれば日本シェア首位のパソコン企業が誕生する[10]ところであったが、2016年4月に統合交渉は白紙に戻った[11]。
2016年7月、初の営業黒字を達成したと発表[12]。2017年2期連続の黒字により、黒字定着化が実現したとして、元日本ビクター社長の吉田秀俊に社長が交代した[13][14]。
主要商品
商品ブランド
沿革
前史
- 1961年10月 - 東洋通信工業株式会社豊科工場として操業開始[15]。
- 1974年 - ソニー傘下に入り長野東洋通信工業株式会社に改称、ソニーオーディオ機器を主力に生産。[16]
- 1983年以降 - MSX・SMC-777・AXPC・Mylo・Sony Tablet(初期)・NEWS・AIBO等を生産[17]。
- 1989年 - ソニーデジタルプロダクツ株式会社に改称[18]。
- 1997年 - VAIO生産開始。(ノートPCのみ担当。デスクトップPCは木更津事業所が担当)[19]
- 2001年 - ソニーイーエムシーエス株式会社長野テックに改称[20]。
- 2005年 - ソニーイーエムシーエス木更津テックからデスクトップPC生産移管[21]。
- 2010年 - VAIO事業本部を当地に移管。VAIOの設計・開発・生産機能の一本化[22]。
社業
- 2014年
- 2015年3月12日 - 日本通信と共同で、Androidを搭載したスマートフォン『VAIO Phone』を発表。
- 2016年
- 2月4日 - Windows 10 Mobileを搭載したスマートフォン『VAIO Phone Biz』を発表。
歴代社長
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 “PC事業の譲渡に関する正式契約の締結について” (プレスリリース), ソニー株式会社, (2014年5月2日) . 2014閲覧.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 “PC事業の譲渡に関する正式契約の締結について” (PDF) (プレスリリース), 日本産業パートナーズ株式会社, (2014年5月2日) . 2014閲覧.
- ↑ “「個人向け標準仕様」モデルの販売を大型家電量販店で開始” (PDF) (プレスリリース), VAIO株式会社, (2015年3月6日) . 2015閲覧.
- ↑ VAIO(株)製のPro13が到着!開梱レビューをお届けします。:ソニーな、お店が大阪にあった! - ソニーショップさとうちの店員によるブログ、2014年8月11日のエントリー
- ↑ ソニーが売却したVAIO、「V字回復」のワケ : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
- ↑ PC事業の譲渡に関する正式契約の締結について - ソニー ニュースリリース
- ↑ パソコン新機軸打ち出せるか VAIO新会社 2014年7月1日 日本経済新聞
- ↑ 「VAIO新社長にファンドのプレッシャーか 垣間見える成長への焦り」経済界2015年8月24日
- ↑ 「VAIO社長に元双日の大田氏 関取氏は副会長に」日本経済新聞2015/6/8付
- ↑ http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ03HSY_T01C15A2MM8000/
- ↑ http://mainichi.jp/articles/20160420/k00/00m/020/046000c
- ↑ 「VAIO、初の営業黒字に 16年5月期 」日本経済新聞電子版2016/7/15
- ↑ 「ソニーが売却したVAIO、「V字回復」のワケ」読売新聞2017年04月21日
- ↑ VAIO、3代目プロ社長「小規模だから勝てる」東洋経済オンライン2017年09月07日
- ↑ http://saiplus.jp/special/2008/10/08.php
- ↑ http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/gyokai/20160413_752878.html
- ↑ http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/gyokai/20160413_752878.html
- ↑ http://saiplus.jp/special/2008/10/08.php
- ↑ http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/gyokai/20160413_752878.html
- ↑ http://saiplus.jp/special/2008/10/08.php
- ↑ http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/gyokai/20160413_752878.html
- ↑ http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/gyokai/20160413_752878.html
- ↑ “VAIO株式会社事業開始のお知らせ” (PDF) (プレスリリース), VAIO株式会社, (2014年7月1日) . 2014閲覧.
- ↑ 川崎絵美 (2014年12月25日). “VAIOと日本通信がモバイル事業で協業、VAIOブランドのスマートフォン投入へ”. ケータイ Watch . 2015閲覧.
- ↑ 25.0 25.1 井原 敏宏 (2015年8月26日). “2年目迎えるVAIO、稼ぐ力と独自色の両立で問われる大田社長の手腕”. 日経コンピュータ . 2015閲覧.
関連項目
- 後藤禎祐 - デザイナー。当社に引き継がれたVAIOのロゴをソニー時代にデザインした。
外部リンク
- 公式サイト
- パーソナルコンピューター VAIO(VAIO株式会社製) - ソニーストア内の販売ページ。