アイルランドの首相
アイルランドの首相は、ティーショク(アイルランド語: Taoiseach [ˈt̪ˠiːɕəx] 英語発音: [ti:ʃəx, ti:ʃək])と呼ばれる。ティーショクはアイルランド議会(ウラクタス)の下院(ドイル・エアラン)における選出で決定され、大統領により任命される。現在のティーショクはフィナ・ゲール(統一アイルランド党)の党首であるレオ・バラッカーが務める。
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概要
アイルランド憲法においては、首相は下院議員から選出されなければならないと規定されている。下院において首相の信任が失なわれた場合には、辞任もしくは下院を解散しなければならない。大統領には下院の解散を拒否する権限が与えられているが、これまでのところこの権利を行使した大統領は存在しない。辞任した場合には後継の首相府が組織されるまで、前職がその任にあたることになっている。
首相は政府の閣僚を指名し、議会の承認を得た上で大統領により任命される。首相には閣僚を解任する権利を有する。また上院(シャナズ・エアラン)の議員のうち7名を指名する権利が与えられている。
歴史
Taoiseach および Tánaiste 英語発音: [ˈtɔːnɪʃtə](副首相)という言葉は中世ゲール語に由来しており、古代から存在していたティーショク(タニストリー)という言葉は単に指導者を意味する。歴史家の中には古代アイルランドにおいてティーショクは小王を指しており、Tánaiste は王が何らかの事情により存在しない王国における摂政であったと主張する者もいる。ウェールズ語にも似たような言葉 Tywysog [təˈwəsɔg] が存在する。
近代的なティーショクは、1937年に制定されたアイルランド憲法により規定されている。1922年から1937年まで存在したアイルランド自由国においては、首相は行政評議会議長(President of the Executive Council)と呼ばれていた。自由国における首相は閣僚の解任、下院の解散を行う権利を持たず、現在のティーショクよりも限られた権限しか持たなかった。連立政権が成立した場合には慣例的に多数党の党首が首相に任命される。この例外として、1948年には連立党からの反対により、多数党であった共和党の党首リチャード・マルコイの代わりに同党のジョン・A・コステロが首相に任命された。
歴代首相の一覧
アイルランド自由国
行政評議会議長(President of the Executive Council)
代 | 行政評議会議長の氏名 | 所属政党 | 評議会 | 就任日 | 退任日 | 期 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ウィリアム・コスグレイヴ William Thomas Cosgrave |
100px | クマン・ナ・ゲール Cumann na nGaedheal (CnaG) |
第1次 | 1922年12月6日 | 1923年9月19日 | 3 |
第2次 | 1923年9月19日 | 1927年6月23日 | 4 | ||||
第3次 | 1927年6月23日 | 1927年10月11日 | 5 | ||||
第4次 | 1927年10月11日 | 1930年4月3日 | 6 | ||||
第5次 | 1930年4月3日 | 1932年3月9日 | |||||
2 | エイモン・デ・ヴァレラ Éamon de Valera |
100px | フィアナ・フォイル Fianna Fáil (共和党) |
第6次 | 1932年3月9日 | 1933年2月8日 | 7 |
第7次 | 1933年2月8日 | 1937年7月21日 | 8 | ||||
第8次 | 1937年7月21日 | 1937年12月29日 | 9 |
アイルランド共和国
首相(Taoiseach)