憲法

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constitution

憲法の語には,およそ法ないし掟の意味と国の根本秩序に関する法規範の意味との2義があり,聖徳太子の「十七条憲法」は前者の例であるが,今日一般には後者の意味で用いられる。後者の意味での憲法はおよそ国家のあるところに存在するが (実質憲法) ,近代国家の登場とともにかかる法規範を1つの法典 (憲法典) として制定することが一般的となり (形式憲法) ,しかも,フランス人権宣言 16条にうたわれているように,国民の権利を保障し,権力分立制を定める憲法のみを憲法と観念する傾向が生れた (近代的意味の憲法) 。

(1) 17世紀以降この近代的憲法原理の確立過程は政治闘争の歴史であった。憲法の制定,変革という重大な憲法現象が政治そのものである。比較的安定した憲法体制にあっても,社会的諸勢力の利害や階級の対立は,重大な憲法解釈の対立とともに政治的,イデオロギー的対立を必然的に伴っている。したがって憲法は政治の基本的ルールを定めるものであるとともに,社会諸勢力の経済的,政治的,イデオロギー的闘争によって維持,発展,変革されていくという二重の構造をもっている。

(2) 憲法の改正が,通常の立法手続でできるか否かにより,軟性憲法と硬性憲法との区別が生れるが,今日ではほとんどが硬性憲法である。近代的意味での成文の硬性憲法は,国の法規範創設の最終的源である (授権規範性) とともに,法規範創設を内容的に枠づける (制限規範性) という特性をもち,かつ一国の法規範秩序のなかで最高の形式的効力をもつ (最高法規性) 。日本国憲法 98条1項は憲法の最高法規性を明記するが,日本国憲法が硬性憲法である (96条参照) 以上当然の帰結である。今日最高法規性を確保するため,なんらかの形で違憲審査制を導入する国がふえてきている。なお,憲法は,制定の権威の所在いかんにより,欽定・民定・協約・条約 (国約) 憲法の区別が,歴史的内容により,ブルジョア憲法と社会主義憲法あるいは近代憲法 (自由権中心の憲法) と現代憲法 (社会権を導入するにいたった憲法) といった区別がなされる。なお,下位規範による憲法規範の纂奪を防止し,憲法の最高法規性を確保することを,憲法の保障という。 (憲法の変動 ,成文憲法,不文憲法)