イスラエル

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イスラエル Israel

正式名称 イスラエル国。ヘブライ語で Medinat Yisra'el。アラビア語では Dawlat Isr'l
面積 2万1643km2(ガザ回廊地帯とヨルダン川西岸を除く)
人口 768万6000(2013推計。ヨルダン川西岸のイスラエル人を除く)
首都 エルサレムのイスラエル地区

西アジアの地中海に面した共和国。19世紀にヨーロッパで起こったシオニズム運動を背景として,各地のユダヤ人が旧パレスチナに移民として集まり,国際連合によるパレスチナ分割決議に基づき,1948年5月14日,2000年来の悲願をこめて独立宣言をしたユダヤ人国家。国土は冬季でも日中平均気温 15~18℃としのぎやすい地中海沿岸部,メロン山(1208m)を最高点とする北部と中部の丘陵地域,アフリカ大地溝帯の走る東部地域,夏季には気温 46℃にも上る南部のネゲブ砂漠の四つの地域からなる。北端部で年平均降水量 1120mm,南端部では 25mm。主要河川のヨルダン川がガリラヤ湖(海面下 209m)を経て死海(海面下 400m,塩分は通常海洋の 6倍)に注ぐ。ベールシェバより北は柑橘類,ユーカリ,針葉樹などの植林地と牧草地,あるいは荒地で,中小の動物は多様。

行政区はエルサレム,ハイファ,テルアビブヤフォのほか,北部,中央部,南部の 6地区,12県。一院制の議会民主政治だが成文憲法はなく,中央集権的傾向が強く,女子も含めて国民皆兵(アラブ人は免除)。

人口の約 75%がユダヤ人,約 20%がアラブ人。人口分散政策がとられているが,テルアビブヤフォやハイファなどの都市に集中化が続いている。

ユダヤ人の約半数は外国生まれで,1989年以後,ソビエト連邦からの移民が増大した。宗教事情は複雑で,ユダヤ教は西ヨーロッパ系のアシュケナジ派とアジア系のセファルディ派に分かれ,イスラム教はスンニー派が主。キリスト教は各派ともその代表機関を置いている。多様な文化圏からの移民も,再成したヘブライ語のもとに文化的共通性を確立しつつある。公用語はヘブライ語とアラビア語。

経済面ではアメリカ合衆国および在外ユダヤ人の援助,ドイツの巨額の賠償金(ホロコースト)などによる資本の流入と,高度な技術や頭脳をもつ多数の移民の流入により急速に発展,1958~70年には平均年 15%の成長率を保った。人口の約 5%が農業に従事し,自主自給集団農業キブツや自営農家協同組合モシャブを通じて,機械化による集約農業を行ない,水資源の不足に悩みながらも柑橘類の生産に力を入れている。鉱物資源の量は少ないが,カリウム,臭素,マグネシウム,銅,リン酸塩などの一部を輸出する。ダイヤモンド加工(研磨ダイヤモンドは輸出総額の約 4分の1),薬品工業,機械工業,特に航空機工業が発達し,巡礼を含む観光産業も盛ん。しかし 1980年代後半からは経済成長率も 5%を切り,インフレーションと失業者増大に苦しんでいる。

また,建国以来続くパレスチナ問題も和解と対立を繰り返し,不安定な状況にある(パレスチナ暫定自治協定)。(イスラエル史