空振
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空振(くうしん)は、火山の噴火や、核実験[1]などに伴って発生する空気中を伝わる空気振動である。圧力波の1種とされる。
概要
火山が爆発的な噴火を起こすとき、火口において急激な気圧変化によって、空気の振動が発生し衝撃波となって空気中を伝播する。火口から離れるに従って減衰し音波となるが、瞬間的な低周波音であるため人間の耳で直接聞くことは難しい。空振が通過する際に建物の窓や壁を揺らし、窓ガラスが破損するなどの被害が発生することもある。また、20Hz以上の周波数成分を含み人間の耳に聞こえる振動は爆発音と呼ばれる。
大きな空振は遠く離れた場所で観測されることもあり、1833年クラカタウ火山の噴火、1980年の米国のセント・ヘレンズ山、1991年のフィリピンのピナトゥボ山の噴火による空振は数千km離れた場所でも記録された[1]。
観測
観測は、空振計(低周波マイクロフォン)によって行い、天候不良で火口が見通せない状況でも噴火発生と概略規模を知ることができる。なお、火山周辺では、周期2秒から3秒程度のため微気圧計では観測に適さない[1]。また、発破や超音速飛行を行う航空機はノイズ源となる。気象庁による常時観測対象火山[2]のほか、大学などの火山観測組織[3][4]が独自に空振計を設置し観測を行っている。
日本での広域観測例
日本国内においては、爆発的な噴火を起こす桜島や浅間山などにおいてしばしば観測されており、1986年の伊豆大島三原山噴火の際には、関東地方の広い区域で人間の感じる空振現象が発生した[8]。
出典
- 坂井孝行、山里平、宇平幸一、火山観測における空振観測の重要性 験震時報第63巻 pp.1-16 (PDF)
- 各種の火山観測(常時観測・機動観測) 気象庁
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 坂井孝行、山里平、宇平幸一、火山観測における空振観測の重要性 験震時報第63巻 pp.1-16 (PDF)
- ↑ 地震・津波と火山の監視 火山の監視 気象庁
- ↑ 浅間山火口近傍の空振観測 東京大学地震研究所(第114回火山噴火予知連絡会) (PDF)
- ↑ 横尾亮彦、鈴木雄治郎、井口正人:桜島における空振アレイ観測 (PDF) 京都大学防災研究所年報 55号B 2012
- ↑ 石井晧, 岡部隆男、「昭和61年伊豆大島噴火にともなう空気振動について」 『騒音制御』 1987年 11巻 4号 p.209-211, doi:10.11372/souonseigyo1977.11.209
- ↑ 日本騒音制御工学会環境騒音振動行政分科会、「昭和61年伊豆大島噴火にともなう空気振動について-その1 空気振動現象の分布-」 『騒音制御』 1987年 11巻 4号 p.207-208, doi:10.11372/souonseigyo1977.11.207
- ↑ 石井晧, 岡部隆男、「昭和61年伊豆大島噴火にともなう空気振動について その2 千葉県内に見られた空気振動現象とその周波数特性」 『騒音制御』 1987年 11巻 4号 p.209-211, doi:10.11372/souonseigyo1977.11.209
- ↑ 風が無いのに窓ガラスや雨戸が振動するのみならず、閉め切った屋内の建具が揺れるといった現象が、大島から200-300km離れた栃木県や茨城県でも観測された。[5][6][7]