マッコウクジラ

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マッコウクジラ(抹香鯨、Physeter macrocephalus

クジラ目ハクジラ亜目マッコウクジラ科マッコウクジラ属。体長は雄約 18m以上,雌約 12m以上。最大体重約 57t。出生体長は 3.5~4.5m。体色は全身茶褐色か茶色がかった灰色または青灰色で,吻部や臍 (へそ) を中心に白斑を有する。体表は年齢とともに白色化する。扁平な上顎骨の上に脳油と称する体油の貯蔵部があるため,前頭部が巨大で,ときには頭長が体長の3分の1に達する。噴気孔は1個で頭部左側の先端にあり,噴気の高さは3~4mで,水面に対して斜めに上がるため識別は容易である。下顎は上顎に比べてきわめて細長く,18~25対の円錐歯が並び,上顎にはこれらの歯が収まるくぼみがある。上顎歯は歯根内に痕跡的に残る。背鰭 (せびれ) は体の後方3分の2に位置し,頂上は丸みを帯びる。背鰭後方から尾鰭前方にかけて小隆起が連なる。また肛門直後が隆起する。胸鰭はうちわ状で短く,尾鰭は幅が広く後縁中央が切れ込む。潜水時間はクジラ類中最長で,通常は 30~40分であるが大型雄は1時間をこえることもある。尾鰭を水面に上げて垂直に潜水し,この際にしばしば脱糞する。大型雄は単独で行動し,中型の個体は 15頭前後の群れをよくつくる。おもに深海性のイカ類やタコ類を捕食するが,タラ等の大型底生魚類も捕食する。腸内には竜涎香と呼ばれるろう状物質があり,香料として珍重される。両半球の熱帯から氷縁にかけて分布し,深海域を好む。成熟した大型雄は高緯度の極地方に偏在する。 1988年商業捕鯨禁止まで日本沿岸で捕獲された。インドネシアでは先住民により捕獲されている。



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