ジョージ・C・スコット
ジョージ・C・スコット(George C. Scott, 1927年10月18日 - 1999年9月22日)はアメリカ合衆国バージニア州出身の俳優。
来歴
1945年から1948年まで海兵隊に参加。その後、ミズーリ大学でジャーナリズムを学ぶが、演劇に興味を持つようになり、1年で大学を去る。ブロードウェイの舞台に出演するようになり、『The Andersonville Trial』などで高い評価を得る。1959年に映画デビューし、同年ジェームズ・スチュワートと共演した『或る殺人』でアカデミー助演男優賞にノミネートされた。1961年にも『ハスラー』で助演男優賞にノミネートされたが、この時は即座にノミネートを辞退した[1]。
1970年には『パットン大戦車軍団』でアカデミー主演男優賞を受賞したが、これを辞退した[2]。栄えあるアカデミー賞の受賞辞退という前代未聞の行動が話題になった。この時、スコットは主催者へ丁重に辞退を申し入れたが、別の所では「あんなのは皆、下らないお祭り騒ぎさ。関わるのはご免だね。」と語っていた[1]。1971年の『ホスピタル』でも主演男優賞にノミネートされたが、これも辞退した。主演男優賞の受賞を辞退した例としては他にマーロン・ブランドがいるが、スコットの場合はついに最後まで1度も壇上に現れることはなかった。
1980年代初頭までは、リベラルで、時に重厚かつ正統派の演技者として厳格な存在感を示していた。しかし、1984年の『クリスマス・キャロル』以降は性格俳優として不気味な悪役や、ホラー映画でのヒーローなど別の一面を披露。同時に大型テレビシリーズ『ムッソリーニ』では、20世紀初頭のイタリアを統率したムッソリーニを演じ、いぶし銀の魅力に箔をかけていた。また『ジェネシスを追え』ではブランドと共演し、演技合戦に火花を散らせたことで話題になる。1990年代も主に大作映画では脇役で存在感を示し、B級作品での主演などでも第一線であった。晩年は、テレビドラマでの活躍が主だった。
『博士の異常な愛情』のタージドソン将軍役について、スタンリー・キューブリック監督はアドリブで強い印象を残したピーター・セラーズと対比して「同じ演技を何度でも繰り返せる俳優」とコメントしている。
私生活
生涯で5度結婚しており、2度結婚した女優のコリーン・デューハーストとの間の息子キャンベル・スコットは俳優になった。
晩年、最後に連れ添ったトリッシュ・ヴァン・ディヴァーとは幾度か共演作を残している。
主な出演作品
公開年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1959 | 縛り首の木 The Hanging Tree |
ジョージ | |
或る殺人 Anatomy of a Murder |
クロード・ダンサー | アカデミー賞助演男優賞ノミネート | |
1961 | ハスラー The Hustler |
バート・ゴードン | アカデミー賞助演男優賞ノミネート |
1964 | 博士の異常な愛情 Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb |
バック・タージドソン将軍 | |
黄色いロールス・ロイス The Yellow Rolls-Royce |
パオロ | ||
1966 | 天地創造 The Bible: In the Beginning... |
アブラハム | |
おれの女に手を出すな Not with My Wife, You Don't! |
タンク・マーティン | ||
1967 | 恋とペテンと青空と The Flim-Flam Man |
モルデカイ | |
1968 | 華やかな情事 Petulia |
アーチー | |
1970 | パットン大戦車軍団 Patton |
ジョージ・S・パットン大将 | アカデミー賞主演男優賞受賞 |
ジェーン・エア Jane Eyre |
エドワード・ロチェスター | テレビ映画 | |
1971 | ラスト・ラン/殺しの一匹狼 The Last Run |
ハリー・ガームス | |
ホスピタル The Hospital |
ハーバート・ボック | アカデミー賞主演男優賞ノミネート | |
1972 | センチュリアン The New Centurions |
キルビンスキー | |
激怒 Rage |
ドン・ローガン | 監督・主演 | |
1973 | オクラホマ巨人 Oklahoma Crude |
ノーブル・メイソン | |
イルカの日 The Day of the Dolphin |
ジェイク・テレル | ||
1974 | 悪の天才たち・銀行略奪大作戦 Bank Shot |
ウォルター・アップジョン・バレンティン | |
ロンリー・アイランド The Savage Is Loose |
ジョン | 監督・主演 | |
1975 | ヒンデンブルグ The Hindenburg |
フランツ・リッター大佐 | |
1976 | 美女と野獣 Beauty and the Beast |
野獣 | テレビ映画 |
1977 | 海流のなかの島々 Islands in the Stream |
トーマス・ハドソン | |
王子と乞食 Crossed Swords |
Ruffler | ||
1978 | ブルックリン物語 Movie Movie |
Gloves Malloy/Spats Baxter | |
1979 | ハードコアの夜 Hardcore |
ジャック・ヴァンドーン | |
1980 | チェンジリング The Changeling |
ジョン・ラッセル | |
ジェネシスを追え The Formula |
バーニー・ケイン | ||
1981 | タップス Taps |
ハーラン・ベイシュ将軍 | |
1982 | オリバー・ツイスト Oliver Twist |
ファギン | テレビ映画 |
1983 | チャイナ・ローズ China Rose |
バートン・アレン | テレビ映画 |
1984 | 炎の少女チャーリー Firestarter |
ジョン・レインバード | |
クリスマス・キャロル A Christmas Carol |
スクルージ | テレビ映画 | |
1985 | ムッソリーニ Mussolini: The Untold Story |
ベニート・ムッソリーニ | テレビ・ミニシリーズ |
1986 | パットン将軍 最後の日々 The Last Days of Patton |
ジョージ・S・パットン大将 | テレビ映画 |
モルグ街の殺人 The Murders in the Rue Morgue |
C・オーギュスト・デュパン | ||
1990 | エクソシスト3 The Exorcist III |
キンダーマン | |
引き裂かれた天使 Descending Angel |
フロリアン・ストロイア | テレビ映画 | |
1993 | カリブの渇いた銃弾 Curacao |
コーネリウス・ウェッターリング | テレビ映画 |
冷たい月を抱く女 Malice |
マーティン・ケスラー | ||
1995 | どんな時も Angus |
イヴァンおじいさん | |
1996 | ザ・タイタニック Titanic |
エドワード・J・スミス | テレビ映画 |
1997 | ファミリー・レスキュー Country Justice |
クレイトン・ヘイズ | テレビ映画 |
12人の怒れる男/評決の行方 12 Angry Men |
陪審員3 | テレビ映画 | |
1999 | グロリア Gloria |
ルビー | |
ロッキー・マルシアーノ/伝説のチャンプ Rocky Marciano |
Pierino Marchegiano | テレビ映画 | |
風の行方 Inherit the Wind |
マシュー・ハリソン・ブラディ | テレビ映画 |
脚注
- ↑ 1.0 1.1 “Show Business: Meat Parade” (英語). TIME (1971年5月8日). . 2010閲覧.
- ↑ “Actor George C. Scott Dead at 71”. The Washington Post. Associated Press. (1999年9月23日) . 2011閲覧.
関連文献
- Ancestry of George C. Scott (by Kip Hamilton) on World Connect
外部リンク
- ジョージ・C・スコット - allcinema
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