きりしま (列車)
きりしまは、九州旅客鉄道(JR九州)が宮崎駅・都城駅・西都城駅・国分駅・鹿児島中央駅間を、日豊本線・鹿児島本線経由で運行する特急列車である。
Contents
概要
特急「きりしま」は、1995年4月20日のダイヤ改正で特急「にちりん」の宮崎駅 - 西鹿児島駅(現在の鹿児島中央駅)間が区間分割され、同じく宮崎駅 - 西鹿児島駅間を運行していた快速「錦江」と統合する形で運行を開始した。当初は宮崎市 - 鹿児島市間の都市間輸送を主体としていたが、2004年3月13日に九州新幹線鹿児島ルートが部分開業した際に霧島神宮駅・国分駅 - 鹿児島中央駅間の列車が設定され、九州新幹線接続による観光誘致や、鹿児島都市圏内での通勤・通学需要としての役割も担うようになった。
2011年3月12日に鹿児島ルートが全線開業した際、宮崎駅 - 鹿児島中央駅間の列車が増発された代わりに利用が低迷していた霧島神宮駅発着列車は全廃され、国分駅発着列車も1往復に見直された。また、この改正では「ホームライナー」の「きりしま」への編入に伴い、「きりしま」では初めて鹿児島中央駅に乗り入れない宮崎駅 - 都城駅・西都城駅間運転の列車が設定された。
列車名の由来
鹿児島県と宮崎県県境付近に広がる霧島山が由来となっている。「きりしま」の名は、九州と結びつく言葉であることから、過去に九州連絡列車として以下の列車に使用されていた。
運行概況
宮崎駅 - 鹿児島中央駅間10往復、国分駅 - 鹿児島中央駅間1往復、宮崎発都城行きが下り1本、西都城発宮崎行きが上り1本の計12往復が運行されている。号数は宮崎駅 - 鹿児島中央駅間の列車は1 - 20号、国分駅発着列車は81・82号、都城行き・西都城発の列車は101・102号が与えられている。基本的に鹿児島中央駅では九州新幹線と、宮崎駅・南宮崎駅では「にちりん」などに接続している。列車番号は号数+6000が与えられている(6001M - 6020M、6081M・6082M)が、101号、102号のみ、6091M・6092Mとなる。なお、3号については、延岡発の特急ひゅうが3号が終点の宮崎到着後、きりしま3号と名称変更を行っている為、事実上の延岡ー鹿児島中央間の直通運転となっている。
宮崎市 - 鹿児島市間の都市間輸送では、宮崎交通の高速バス「はまゆう号」と競合関係にある。
停車駅
宮崎駅 - 南宮崎駅 - (清武駅) - (田野駅) - (山之口駅) - (三股駅) - 都城駅 - 西都城駅 - 霧島神宮駅 - 国分駅 - 隼人駅 - (加治木駅) - (帖佐駅) - (姶良駅) - (重富駅) - 鹿児島駅 - 鹿児島中央駅
- 81・82号は国分駅 - 鹿児島中央駅間、101号は宮崎駅 - 都城駅間、102号は宮崎駅 - 西都城駅間のみ運行。
- ()の駅は一部列車のみ停車。
- 清武駅・加治木駅は下り11号/上り12号以外の列車が停車。
- 田野駅・山之口駅・三股駅は下り101号/上り102号が停車。
- 帖佐駅は下り1・3・81号/上り4・16・18・20・82号が停車。
- 姶良駅・重富駅は下り1・81号/上り18・82号が停車。
- 帖佐駅は2004年3月13日 - 2011年3月11日に運行されていた霧島神宮駅・国分駅発着列車はすべて停車していた。その名残で近隣の姶良駅・重富駅よりも停車本数が多くなっている。
- 国分駅 - 鹿児島中央駅間には中間駅が8駅あるが、下り1・81号/上り18・82号がこの区間で通過するのは錦江駅と竜ケ水駅のみである。このうち竜ケ水駅は普通列車も約半数が通過する。
特急料金の特例
宮崎駅 - 南宮崎駅間は乗車券のみで普通車自由席に乗車可能で、宮崎駅から乗車し、都城・鹿児島中央方面との間で乗車する場合も特急料金は南宮崎駅以南の区間のみで計算される。また、この区間のみでグリーン車に乗車する場合はグリーン自由席扱いとなり、切符は車内で車掌から購入する形となる。これは宮崎駅 - 宮崎空港駅間における特例を、宮崎駅 - 南宮崎駅間に関して「きりしま」にも適用するため。
また霧島神宮駅 - 鹿児島中央駅間の自由席特急料金は、霧島神宮駅 - 鹿児島駅または鹿児島中央駅間は510円、そのほかの区間に関しては一律300円となっている。これは2004年に、霧島神宮駅・国分駅発着列車が設定された際、これらの列車が50km以内の短距離運転となるため設定された。国分駅発着列車が1往復のみとなった現在も継続している。
使用車両・編成
きりしま | ||||||||||||||||||||
← 鹿児島中央 宮崎 →
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大分鉄道事業部大分車両センターに所属している787系電車、および南福岡車両区に所属している783系電車(ハイパーサルーン)が充当されている。宮崎駅 - 鹿児島中央駅間の列車2往復(下り1・13号/上り8・18号)は783系、その他は787系での運転である。いずれも2011年3月12日の九州新幹線鹿児島ルート全線開業に伴うダイヤ改正から投入された。「にちりん」「ひゅうが」との共通運用である。
787系は4両編成が充当されている。これは「有明」などで使われていた編成である。 783系は5両編成が充当されている。これは2011年3月11日まで「かもめ」などで使われていた編成である。全ての車両が、中央の乗降口を境に鹿児島中央寄りがA室、宮崎寄りがB室に分かれている。
過去の使用車両
1995年の運行開始から787系・783系の投入までは全列車485系電車で運行されていた。当初は「KIRISHIMA EXPRESS」の愛称で緑色に塗装された車両が使われていたが、2001年に車両が「にちりん」「ひゅうが」と共通運用になり、「にちりん」で運用していた「RED EXPRESS」車両と、2000年まで「ハウステンボス」で使用されていた車両を転用した「KIRISHIMA & HYUGA」車両で運行されるようになった。2004年に霧島神宮駅・国分駅発着列車が設定された際には、車両が不足することから、保留車となっていた3両を「KIRISHIMA EXPRESS」塗装とした上で営業運転に復帰した。この編成はのちに国鉄色に塗装変更されたため、2010年7月をもって「KIRISHIMA EXPRESS」塗装での運行を終了した。
- JRkyushu485Kirishima.jpg
1995年の列車設定時に登場した「KIRISHIMA EXPRESS」色
- Kirishima 5B 09sum.jpg
「RED EXPRESS」色(2009年)
- JR九州 485系 きりしま・ひゅうが.jpg
2000年3月以降に登場した「KIRISHIMA & HYUGA」色
- JRK 485 kirishima G.jpg
1995年の登場時からの塗装である485系「きりしま」(2009年6月)
- 783 Kirishima Beppugawa bridge.jpg
2011年3月のダイヤ改正で投入された783系
沿革
宮崎対鹿児島連絡列車「錦江」
- 1960年(昭和35年):西鹿児島駅 - 山川駅間を指宿枕崎線経由で運行する準急列車として「錦江」(きんこう)運行開始。
- 1961年(昭和36年):「錦江」を宮崎駅発着に延長。
- 1966年(昭和41年):「錦江」を急行列車に格上げ。
- 1968年(昭和43年):「錦江」の指宿駅発着列車を増発。
- 1975年(昭和50年):山陽新幹線開通に伴うダイヤ改正により、従来「青島」・「高千穂」の系統を立て替る形で「錦江」を4往復増発。
- 1979年(昭和54年):日豊本線南宮崎駅 - 鹿児島駅間電化により、「錦江」の2往復に475系電車を投入、特急「にちりん」格上げのため1往復減。また、指宿枕崎線乗り入れを1往復にする。
- 1980年(昭和55年)10月1日:「錦江」は指宿枕崎線乗り入れ終了。宮崎駅 - 西鹿児島駅間を運転する快速列車に格下げ。
特急「きりしま」
- 1995年(平成7年)4月20日:快速「錦江」を廃止し、特急「にちりん」の南宮崎駅 - 西鹿児島駅間を系統分離。それらを統合し、宮崎駅 - 西鹿児島駅間にエル特急「きりしま」を新設。
- 2004年(平成16年)3月13日:九州新幹線開業によるダイヤ改正により霧島神宮駅・国分駅発着列車を設定。
- ただし、九州新幹線の乗り継ぎ割引が設定されていないことから、観光誘致と鹿児島都市圏の通勤・通学輸送の側面が大きくなった。
- 2006年(平成18年)3月18日:ダイヤ改正により、宮崎駅発着列車は1号から、霧島神宮駅・国分駅発着列車は101号からの付番を変更。
- それ以前は鹿児島中央駅の着発順に1号から付番をしていた。
- 2007年(平成19年)3月18日:ダイヤ改正により、霧島神宮駅・国分駅発着列車の付番を100番台から80番台に変更。
- 2008年(平成20年)6月:エル特急の呼称を中止。
- 2009年(平成21年)3月14日:全車禁煙化。
- 2011年(平成23年)3月12日:ダイヤ改正により以下のように変更。
- 2014年(平成26年)10月1日:車内販売を廃止[1]。
- 2018年(平成30年)3月17日:ダイヤ改正により、787系使用列車でのワンマン運転を実施。
脚注
- ↑ “一部特急列車の車内販売等の終了について(お知らせ) (PDF)”. 九州旅客鉄道 (2014年9月2日). 2014年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2017閲覧.
関連項目
外部リンク
- その他特急列車 | JR九州の列車たち - 九州旅客鉄道